音楽の喜び フルートとともに

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チャイコフスキーのアンダンテカンタービレ

2010-05-10 21:17:50 | ロマン派
チャイコフスキーのアンダンテカンタービレは、弦楽四重奏OP.1の第2楽章の通称です。
弦楽四重奏だけでなく、チェロで演奏されることも多いですが、フルートでも良く演奏されます。
チャイコフスキーはウクライナの労働歌をもとに作ったそうです。
その元歌は、これではないかと思います。

「ヴォルガの舟歌」
http://www.youtube.com/watch?v=G23Xozc-G6Q

このレーピンの絵が
その頃の労働者の置かれた過酷な状況を示していると思います。


http://www.youtube.com/watchv=KfsWoNpHg2s&feature=related


それまで、弦楽四重奏があまり作られていなかったロシアで、この曲を含む一連の作曲で、チャイコフスキーがそのジャンルを確立しました。

この曲の逸話として、1876年12月トルストイを迎えた特別演奏会でのこと、この2楽章が演奏されると、チャイコフスキーの横に座っていたトルストイが、涙を押さえ切れず、最後には泣き伏してしまったということです。
トルストイは直後の手記で

「・・・私は至福を感じ、身震いした。…この調べが橋渡しとなって天上の神が私の心に入り、私は神のものとなった。」

と書き、執筆中の「光あるうち光の中をすすめ」にも少なからず影響を与えたということです。

また、チャイコフスキーも「あの時ほど喜びと感動をもって、作曲家として誇りを抱いたことは、おそらく私の生涯に二度と無いであろう。」と後に書いています。

この曲を作ったチャイコフスキーの感性もすごいですが、トルストイの感性、素直な表現もすごいと思います。そういえば、小澤征爾もよく感動して泣いています。
天才とか、アーティストは、こういう感性を磨耗させていない人のことを言うのではないかと思います。