音楽の喜び フルートとともに

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ギターの聖地 伝説のグラナダでの演奏

2017-08-28 22:42:19 | コンサート
土曜日、ギターの聖地。
スペイン居酒屋グラナダで演奏しました。
梅田東通り商店街を東へ東へと米澤さんの後をついていくと、長年梅田に通っていても、行ったことのないディープな大阪。
どこまでいくのだろう?と考え始めた頃、「ここです。」と示された所は古い雑居ビル。昭和の匂い漂うお店の看板が並んでいます。
エレベーターで4階まで上がるとありました。

「ちょっと、早かったかな?」米澤さんがドアノブを回したら鍵がかかっていました。
しかし、中で誰かが動いている気配が。
「すみません。ちょっと待ってね。」

しばらく待っていると、ドアが開きました。
「お待たせして、すみません。」
ハキハキしたいい声で、伝説のマスターが迎えてくれました。
1972年から日本のギター史を支えて来られたマスターなかのかつきさん。
自らもギター演奏、歌も歌われるそうです。
若々しく、軽やかな方です。

日本で一番古くて小さなライブハウスと、ホームページにありましたが、確かに小さい!
しかし、工夫されていて奏者にスポットライトが当たり、背の高い椅子。
アコースティックをうまくひらうこだわりのマイク。
調度もスペイン直輸入。

さて、「いつも、来てくれてる人が来ないから1人か2人違うかなぁ。」と米澤さんが言っていたので、『お客さまが1人でもがんばろう!』と、思っていました。
始めにやって来たのは大学生が2人。
「よおっ!」と米澤さん。
「僕の神大の後輩。彼はコンクールで日本一になったYくん。」
ひえ〜!すごい。
よし!2人。と、思っていると、また1人「彼はね、市大ギター部のOB。」とマスター。それから、また1人
「彼もね〜。日本一とったことあるんよ。」
「それから、おおじいさんたち2人。フラメンコやってたんだよね。」
なんだか、すごい人たちが続々とやって来て、マスターは、みんなのギター歴と関係を知っていてさっと紹介してくれるのでした。
開演前には、お店はいっぱい。
電話もかかってきて、「後、3人。途中で入られると邪魔になるから、早く来てください。」と、マスター言っています。
「後10分お待ち下さい。」10分待っている間にも女性が3人。
「彼女も活躍中のギタリスト。」とマスターがすかさず紹介してくれます。

詰め詰めで座って、足りず、上がりがまちにまで椅子をおきました。
「さて、コンサートの間は、私語厳禁、ノーオーダー、禁煙になっておりますので、ご協力お願いいたします。」
と、マスターが言うと、照明が消えて、スポットライト。
はっきり言って客席は真っ暗。
一番近いお客様は、椅子一個分しか離れていません。
息遣いまで聞こえそう。

米澤さんの演奏は、バッハのフルートソナタをギター一本で弾きます。
この曲は何回も吹いたけど、こんなのは初めて、びっくり!いいです。
みなさん、一杯入っているのに暗闇の中、4楽章を身じろぎもせず聴いています。
終わるとドリンクがまわり、また、暗闇。

そして、フルートとギターのためのジュリアーニのセレナーデ。
それからデュオコンチェルタント。
「繰り返しありありで。」と米澤さんが耳打ち。
4楽章、一曲で20分を超えます。

なんて言う経験でしょう!
ホールで演奏するのとも、サロンで演奏するのとも違います。

マスターは、40年以上かけて、この環境を作ってきたと言います。

この場所がなぜ伝説で、聖地なのかわかったような気がしました。

アンコールに米澤さんが、武満徹を弾き終了。

どんなホールよりも、厳しく温かい場所でした。
本当にグラナダで演奏できて幸せでした!

終わってからも、飲みながら音楽談義が続きました。

「音楽は、場作りが大事。」
演奏家は、そのことをあまりにも知らないです。

ギターのための定位置。