ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」、世界を変えた崇高なる不屈の魂!

2024-05-01 09:40:05 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆☆

第二次世界大戦下で強制収容所に送られ生死の狭間を生き、70年代には女性のために中絶法を勝ち取ったフランスの伝説的な女性シモーヌ・ヴェイユを描いた作品。

2022年フランス国内映画年間興行成績NO.1! 10週連続トップ10入り、240万人動員のロングランヒット!
アウシュビッツを生き抜き、人権のためにフランス議会で闘い、女性初の欧州議会議長となった、最も強く、最も優しき、奇跡の人。

1974年パリ、カトリック人口が多数を占め更に男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった-。

題材がよいだけに、崇高な作品となった。

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「DOGMAN ドッグマン」、規格外のダークヒーロー爆誕!

2024-03-11 21:27:07 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★ (劇場鑑賞)

PG12

「レオン」のリュック・ベッソンが実際の事件に着想を得て監督・脚本を手がけたバイオレンスアクション。

女装男子で車椅子で、シェイクスピアが好きでたくさんの犬を愛するドッグマン、

幼いころ、父の虐待で、犬小屋に住まわされ、拳銃で撃たれて、半身不随。

そのひずんだからだと性格から、犬たちと暮らす怪しげな男。

だが、その男は、キャバレーのステージでシャンソンの女王、エディット・ピアフになり切り喝采を浴びる。

一方で、金持ちからは、宝石などを巻き上げ、義賊気取り、そしてギャングどもと対峙。

きらびやかな、けれんみたっぷりのベンソン節。

展開が読めないから、目が離せない、圧巻の二時間。

 

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「それでも私は生きていく」、病気の父親の介護、仕事、子育て、あたらしい恋、懸命に生きる女!

2024-03-06 19:30:05 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

フランス・イギリス・ドイツ合作  R15+

ミア・ハンセン=ラブ監督が、父の病への悲しみと新たな恋への喜びという相反する感情に直面したシングルマザーの心の機微を、自身の経験を基に描いたヒューマンドラマ。

博識だった父親が病のため一人での生活もままならなくなり、衝撃を隠せないシングルマザーの主人公サンドラ。既婚者の男友達クレマンとの仲が急接近し、父の介護と新しく始まった恋愛とが並行に描かれる。

サンドラを演じるレア・セドゥ。現代フランスを生きる等身大の女性の姿を通して今を生きる人間が見えてくる。彼女のたたずまいが本作を活気づけている。

一方でフランスにおける介護事情。家族は振り回される姿は日本も同様だ。

 

 

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「落下の解剖学」、これは事故か自殺か殺人か?

2024-02-28 17:16:38 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆☆ (劇場鑑賞)

2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞のパルムドールを受賞したヒューマンサスペンス。

視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。

自殺か、妻による殺人か。

裁判で、次から次へと真相が暴かれていく。

夫婦の喧嘩(弁論合戦)がクライマックス。

成功者の妻と敗者の夫。愛憎劇は、セックスにまで及ぶ。

ラストは、この劇のカギを握る息子の証言。

結果は、妻の無罪だが、見ているものを納得させられない結末。

趙高な裁判劇!

 

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「ダンサー イン Paris」、未知なる人々やダンスと出会い、新たな人生のドアを開く!

2024-02-27 17:11:05 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

フランス・ベルギー合作

セドリック・クラピッシュ監督が、挫折した若き女性ダンサーの第二の人生を描いたヒューマンドラマ。

パリ・オペラ座バレエで、エトワールをめざすエリーズ。だが、夢の実現を目前にしながら、「ラ・バヤデール」のステージの最中に、恋人の裏切りを目撃し、ジャンプの着地に失敗して足首を痛めてしまう。医師から踊れなくなる可能性を告げられたエリーズは、一晩で恋も仕事も失って呆然とする。幼い頃から支えてくれた母を亡くしてからも、ひたすらバレエ一筋の日々を送ってきたが、完治しなければ新しい生き方を探すしかない。

エリーズは、サブリナやロイックとともにブリュターニュへと旅立つ。才能あふれるアーティストたちへ練習の場を提供する瀟洒なレジデンスで、料理係のアシスタントを務めることになるのだった。そこで、芸術を愛するオーナー・ジョジアーヌや、今を時めくホフェッシュ・シェクター率いるダンスカンパニーと出会い、独創的なコンテンポラリーダンスが生み出される過程を目撃する。やがて、怪我をした足を気にしながらも、誘われるまま練習に参加したエリーズは、未知なるダンスを踊る喜びと新たな自分を発見していく——。

主役エリーズを演じるMarion Barbeauはパリ・オペラ座の主席ダンサーとのことで、6歳からバレエをやっているが映画主演ははじめてだそう。だが女優が余技というわけではなく、ちゃんと魅力ある主人公をつとめている。

 

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「オンディーヌ 官能の目覚め」、愛に変わるとき、女は官能に目覚める!

2024-02-11 20:20:03 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆

官能映画好き ☆☆☆

Unext鑑賞  2001年製作

ヨーロッパ女性の繊細で華奢な肉体が、圧倒的な官能をつむぎ出すフレンチエロス。異性をモノにすることにかけては天才的なアンディとマルティナ、18歳のアンジーと美人ピアニスト・クリスティーナの2人の処女、4人がインモラルな世界に堕ちていく。

異性をものにすることにかけては天才的なアンディとマルティナ。マルティナは恋人の1人が自分を捨てて若い処女と結婚しようとしていることに気づき、アンディに復讐するよう仕向ける。一方アンディは、著名なピアニストで処女のクリスティーヌに目をつけ…。

後半は、全裸セックスシーンのオンパレード。

残念ながら、Unextでは、大きなぼかしが入っているので、興味をそがれる。

それでも、セーヌ川で、船の中のシーンは秀逸。

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「ポトフ 美食家と料理人」、その一口が永遠となる!

2024-01-22 17:19:38 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★ (劇場鑑賞)

料理好き ☆☆☆☆

19世紀末のフランスの田舎で美食を追求するドダンと、彼の思うメニューを実現する料理人ウージェニーを描いたドラマ。手間暇かけたフランス料理ができるまでを精緻に描き、味わえないまでも目で楽しむ料理の数々。グルメ映画。

その一方でドダンとウージェニーの料理で繋がる愛の物語としても、若いポーリーヌへの技術の伝承の物語としても、そして突然最愛の人を失う悲痛なドラマとしても感銘を受けた。

冒頭30分、野菜つくりから、肉(鶏肉と牛肉)の下ごしらえ、家庭料理を専門料理に格上げする、料理を丁寧に描写。日本でいうポトフとは一段とも二段とも高級。

ドダンの求愛をうまく受け止めるウージェニーの恋愛機微。そして、彼女の死。

ラストの、恋と料理との天秤とその答えの機微。

2023年・第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞

 

 

 

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「テノール! 人生はハーモニー」、この出会い不協和音か、それともーー!

2024-01-04 16:51:36 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

いかにもフランスらしい、ラッパーがオペラ歌手に!

パリ・オペラ座を舞台に、類まれな美声を持つラッパーと一流オペラ教師の運命的な出会いを描いたヒューマンドラマ。

フランス・パリ、昼は寿司屋の出前のアルバイト、夜は仲間と趣味のラップバトルに興じるパリ郊外出身のアントワーヌはある日、出前のオペラ座・ガルニエ宮を訪れる。そこで偶然耳にしたオペラレッスンの歌声に魅せられるも、生徒に場違いな様を冷やかされたアントワーヌは、ムキになり馬鹿にするつもりでオペラの歌真似をすると……その場は騒然!?アントワーヌの素人離れした歌声に皆が驚きを隠せずにいた。そこに居合わせたオペラ教師のマリーはその才能に惚れ込み、何としてもアントワーヌをオペラの世界に引き込むべく、彼を口説くのだった。はじめは抵抗を見せるアントワーヌも次第に自らの可能性を信じはじめ、とうとう押し切られてマリーの教え子になる。しかし、恥ずかしさと後ろめたさから地元の友人や家族には言い出せないまま、これまで慣れ親しんだ郊外での生活と、煌びやかで胸踊るオペラ座でのオペラレッスンの二重生活がはじまる。

主人公のラッパーを演じるのはMB14というビートボクサー。劇中の楽曲の歌唱もしているとのこと。で、その歌声が凄い。この人物がいて、できた作品ということか。

 

 

 

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「ガンパウダー・ミルクシェイク」、新時代をぶち抜くシスター・ハードボイルド・アクション!

2023-12-24 15:17:42 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆

アクション映画好き ☆☆☆★

フランス・ドイツ・アメリカ合作   PG12

ウーマン・パワーとオタク・パワーが奇跡の合体。渦巻く硝煙の中に芽生えた女たちの連帯と共闘を、CG に頼らない生身の格闘、壮烈なカー・チェイス、迫真のガン・ファイトの連続で描いたシスター・ハードボイルド・アクション。

暗殺組織に所属する凄腕の殺し屋サムは、ターゲットの娘エミリーを匿ったせいで組織を追われ、命を狙われてしまう。次々と送り込まれる刺客たちを蹴散らしながら夜の街を駆け抜けるサムは、かつて殺し屋だった3人の女たちが仕切る図書館に飛び込む。女たちはジェーン・オースティンやバージニア・ウルフの名を冠した武器を手に、激しい戦いへと身を投じていく。

殺し屋の協会組織、殺し屋御用達のダイナー、図書館を装った武器商店、歯科を装った闇病院などの存在はまるで『ジョン・ウィック』とよく似ていているが、ポップなプロダクション・デザインやファッション、強調されたネオン・カラーやどこか童話やお伽噺を思わせるような台詞回しや仕草など、よりコミック的。

飛び交う銃弾とほとばしる血しぶき、渦巻く硝煙の中に女性たちの連帯と共闘を描き、シスターフッドを盛大に讃えた、熱き「女たちの挽歌」。

 

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「メグレと若い女の死」、謎の先に彼女の人生が見えてくる!

2023-12-20 16:53:50 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆

探偵映画好き ☆☆☆★

フランスの名匠パトリス・ルコントが8年ぶりに長編映画のメガホンをとり、代表作「仕立て屋の恋」の原作者ジョルジュ・シムノンのミステリー小説を映画化。

巨漢をいかしてメグレ警視役に挑んだジェラール・ドパルデューがよい。

メグレが取り組むのは、血で染まったイブニングドレスをまとい、広場に放置された若い女性の殺害事件。データベースもDNA鑑定もない時代に、身元不明の変死体でしかなかった被害者の人物像が、検死と鑑識と地道な聞き込みという警察捜査の王道によって浮かび上がってくる。その過程を通して、正統派ミステリーらしい謎解きの妙味が味わえる。

夢を抱いてパリにやってきた地方の娘たちの哀れな末路に、現代の移民事情を被せてみることは容易だ。明暗、光と影を強調した映像にはそんな意味合いも込められていたのかもしれない。

メグレ警視の地道な捜査。

 

 

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