ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「CLIMAX クライマックス」、最高に決まる、最低な一夜!

2023-12-18 21:05:24 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆

ダンス映画好き ☆☆☆

R18+ フランス・ベルギー合作

2018年製作  Unext鑑賞

フランスの鬼才ギャスパー・ノエが、ドラッグと酒でトランス状態になったダンサーたちの狂乱の一夜を描いた異色作。

カンヌ国際映画祭が動揺した! 世界を挑発し続ける鬼才ギャスパー・ノエ最新作。理性も理屈も理解もいらない――97分間、堕ちまくれ。

1996年のある夜、人里離れた建物で、有名な振付家の呼びかけで選ばれたダンサー22人が集まる。そこには電話もなく、山奥のために携帯も通じず、外は雪が降っている。アメリカ公演のための最後の仕上げともいうべき激しいリハーサルを終えたダンサーたちは、打ち上げパーティを始める。爆音の音楽に体を揺らしながら、大きなボウルに注がれたサングリアを浴びるように飲んでいたが、そのサングリアにはLSDが混入していた。ダンサーたちは次第に我を忘れてトランス状態に陥り、エクスタシーを感じる者、暴力的になる者、発狂する者……ダンスフロアは一部の者にとっては楽園だが、大半の者にとっては地獄と化していく。一体誰が何の目的で飲物にドラッグを入れたのか? 理性を失くした彼らの狂った饗宴はどうなるのか……?

ダンス好きでないと。

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「エージェント:アンヌ」、美しき元諜報員、女は必ず遂行っする!

2023-11-20 19:20:38 | フランス映画

おすすめ度 ☆★

フランス・スイス合作

劇場未公開 Unext鑑賞

現役を退いたスパイが、過去に係った諜報活動に巻き込まれて苦悩する物語。

2008年。かつて諜報員だったアンヌは、スイスの山荘で身を潜めて暮らしてた。しかし、誰も知るはずがないその住処で、盗聴器を発見する。そんな中、多国籍メディアのNGOからアンヌ宛てに極秘の連絡が入る。米大統領候補オバマ氏の選挙顧問カン博士が、実はロシアのスパイだったというネタを突き止めたという。そして、その真相を知っているはずであるアンヌに対して、協力を要請してきたのだ。世界を揺るがす告発に関わったら命の危険に晒されると判断したアンヌは、その要請を断る。時を同じくして、アンヌがひとりで暮らす山荘に、何者かの気配が近づく―。それは、アンヌのかつての同僚であり恋人だった―。

各国の政府の機密を暴露するサイトの関係者から、アンヌが所有するアメリカ大統領候補のオバマ候補のスキャンダルの証拠画像の提供を依頼される。

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「幻滅」、このパリでは、悪質な人間ほど高い席に座る!

2023-10-19 19:20:30 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

R15+

2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。2022年・第47回セザール賞で作品賞を含む7部門に輝いた。

19世紀フランスの文豪、オノレ・ド・バルザックの「人間喜劇」の一編、「幻滅-メディア戦記」を映画化したもの。

19世紀前半。フランスでは恐怖政治が終焉を迎え、宮廷貴族たちが自由と享楽的な生活を謳歌していた。詩人としての成功を夢見る田舎町の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズとパリへ駆け落ちするが、世間知らずで無作法な彼は社交界で笑いものにされてしまう。生活のため新聞記者の仕事に就いた彼は、金のために魂を売る同僚たちに影響され、当初の目的を忘れて虚飾と快楽にまみれた世界へと堕落していく。

19世紀フランスを舞台に描かれる若者の野心・成功・挫折…。擦られまくったテーマながら、現代にも通ずる当時の風俗や『メディアによる情報操作の闇』なども知れて興味深い。

 

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「グラン・ブルー グレート・ブルー完全版」、そこには、音もなく、重力もなく、悲劇もない!

2023-08-28 16:33:14 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

海の映画好き ☆☆☆☆

NHK BS プレミアム 鑑賞  

1988年製作  R15+  フランス・イタリア合作

リュック・ベッソン監督の出世作「グレート・ブルー」に49分の未公開場面が加えられた完全版。 169分の長尺

(大いなる青)のフランス語のタイトルは『Le Grand Bleu』。 青色のイメージは、フランスでは、「夢」や「希望」のイメージカラーです。 その意味から言えば、『グラン・ブルー』は、「大いなる夢」という意味に解釈しても間違いではない。

幼い頃からイタリア少年エンゾにライバル扱いされていたフランス少年ジャック。大人になったエンゾは、ジャックを探し出し再び勝負を挑むのだった。素潜りで深度を競うフリーダイビングにかける男たちの物語。

ジャックは、いるかとも共感する海の男。彼に惚れる女性は、結局報われることはない。そういう男を愛したのだから。

スキューバーの道具を使わず、素潜りで深度を競いあうフリーダイビングの世界記録にチャレンジする2人。それはあまりにも危険すぎる競技だった。

全編、ほぼ海を描いて、テーマは海。

海にとらわれた男の物語。

 

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「パリ13区」、つながるのは簡単なのに愛し合うのは難しい!

2023-08-23 19:44:12 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

R18+

再開発による高層マンションやビルが並び、アジア系移民も多く暮らすなど、パリの中でも現代を象徴する13区。

洗練されたモノクロームの映像で大胆なセックスシーンを描いている。

コールセンターでオペレーターとして働く台湾系フランス人のエミリーのもとに、ルームシェアを希望するアフリカ系フランス人の高校教師カミーユが訪れる。二人は即セックスする仲になるものの、ルームメイト以上の関係になることはない。同じ頃、法律を学ぶためソルボンヌ大学に復学したノラは、年下のクラスメートに溶け込めずにいた。金髪ウィッグをかぶり、学生の企画するパーティーに参加した夜をきっかけに、元ポルノスターでカムガール(ウェブカメラを使ったセックスワーカー)の“アンバー・スウィート”本人と勘違いされ、学内中の冷やかしの対象となってしまう。大学を追われたノラは、教師を辞めて一時的に不動産会社に勤めるカミーユの同僚となり、魅惑的な3人の女性と1人の男性の物語がつながっていく。

ストーリーは自在に変化し、人物は交錯する。ぶつかり合うドラマツルギーではなく、オフビート感覚で、どこか調子を外していく。パリの文化を支えてきた生粋のフランス人ではなく、台湾系、アフリカ系のパリのたたずまいを新しい空気とともに写し撮った佳作。

 

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「ベネデッタ」、私は告白する!

2023-08-22 15:54:12 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

R18+

鬼才ポール・バーホーベン監督が、17世紀にレズビアン主義で告発された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの数奇な人生と彼女に翻弄される人々を描いた伝記映画。

17世紀イタリア。幼い頃から聖母マリアと対話し奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは6歳で修道院に入る。純粋無垢なまま成人したベネデッタは、ある日修道院に逃げ込んできた若い女性を助ける。様々な心情が絡み合い2人は秘密の関係を深めるが、同時期にベネデッタが聖痕を受け、イエスに娶られたとみなされ新しい修道院長に就任したことで周囲に波紋が広がる。民衆には聖女と崇められ権力を手にしたベネデッタだったが、彼女に疑惑と嫉妬の目を向けた修道女の身に耐えがたい悲劇が起こる。そして、ペスト流行にベネデッタを糾弾する教皇大使の来訪が重なり、町全体に更なる混乱と騒動が降りかかろうとしていた…。

実際の裁判記録を題材に、奇蹟を起こす修道女が嫉妬からの告発により教会に裁かれる様を描く。彼女は子供の頃から幻視を体験し、聖痕が身体に現れるのだが、それが偽りとも解釈できるような描き方をしている。

暴力と、セックスと、教会の欺瞞を挑発的に描く

 

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「ヴィーガンズ・ハム」、人狩りに行こうぜ!

2023-08-10 16:41:54 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

B 級映画として秀逸

肉屋の夫婦が繰り広げる人間狩りを描いたフランス発のブラックコメディ。

題名のヴィーガンズは、完全菜食主義者のことで、その人肉を加工して売る。そのために、人殺す。まさに、カニバリズム。

結婚して30年になる肉屋の夫婦ヴィンセントとソフィーは、結婚生活も家業の経営も危機に陥っていた。そんなある日、店がビーガン活動家たちに荒らされ、ヴィンセントが犯人の1人を殺害してしまう。死体の処理に困ったヴィンセントは、ハムに加工して証拠隠滅を図る。しかしソフィーの勘違いでそのハムを店頭に並べると、思わぬ人気商品となり……。

直接的な描写を避けたため、スプラッター場面は少ない。

フランスらしいシリアスコメディ。

おいしい肉という、イメージを作り出している。

 

 

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「彼女のいない部屋」、なぜ、どこへ!

2023-06-30 20:18:07 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆

変わった映画好き ☆☆☆★

第74回カンヌ国際映画祭の「カンヌ・プレミア部門」に選出。

本国フランスでの劇場公開前に明かされたストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1文のみで、物語の詳細は伏せられており、主人公の女性クラリスを軸に、一見するとバラバラのピースがつなぎ合わさることで、ある真実にたどり着く。

「彼女のいない部屋」は邦題で、原題は「Serre moi fort」、ぎゅっと抱きしめて。

内容は、主人公の妄想シーンで成り立っており、難解極まりない。

結局、夫と子供三人が山で遭難死する物語。

その悲しみがテーマの映画。

音楽や映像は美しくそれだけでも楽しい。

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「あのこと」、あなたは彼女を体験する!

2023-06-29 17:42:26 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆

堕胎映画 ☆☆☆☆

2022年度のノーベル文学賞を受賞した作家アニー・エルノーが若き日の実体験をもとにつづった短編小説「事件」を映画化。

第78回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。 R15+

堕胎が法律で禁止されて、違反すると医師も患者も罰せられる1960年代フランスの話。

アンヌの毎日は輝いていた。貧しい労働階級に生まれたが、飛びぬけた知性と努力で大学に進学し、未来を約束する学位にも手が届こうとしていた。ところが、大切な試験を前に妊娠が発覚し、狼狽する。中絶は重罪。アンヌはあらゆる解決策に挑むのだが ̄。

アンヌ自身の手による堕胎シーン。細い鉄棒を熱して消毒、手鏡で子宮の奥を突く。そして専門の業者の手によって、漂白剤を子宮に挿入する。最後は、漂白剤が効いたのか効かなかったのか、トイレで12週の人工流産となる。

アンヌ目線で描かれるので、自らが体験しているような錯覚。

男性にはつらい映画。

 

 

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「シェルブールの雨傘」、愛してるは、愛してるは!

2023-06-15 16:09:18 | フランス映画

おすすめ度 ☆☆☆★

NHK BS プレミアム 鑑賞 1964年製作

セリフがすべて歌で綴られるミュージカル。第17回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。

カトリーヌ・ドヌーブが若かりしこと、美しい。

フランス北西部の港町シェルブール。自動車修理工の青年ギイと傘屋の娘ジュリビエーブは結婚を誓い合った恋人同士だったが、ギイに送られてきたアルジェリア戦争の徴兵令状が2人の人生を大きく翻弄する。

ジュリビエーブは、子供までできるが、2年の出征に我慢ならず他の男と結婚してしまう。

そんな悲恋物語を、ミシェル・ルグランの音楽が盛り上げる。

ラスト、ギイは別の女性と結婚、子供をもうける。ガソリンスタンドに、ギイとの子を連れて現れたジュリビエーブ。お互いの幸福を確認して別れる。

やはり、前半の恋物語がハッピーだ。

 

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