寝ずの番とは、お通夜に寝ずの番をすることである。番をしながら、生前をしのぶ。
落語家一家、その主が亡くなり、寝ずの番をするが、主は落語家。話題も多い。
まず、死に際に、外を見たいと言ったのを「そそが見た」と勘違いして、2番弟子の妻にその役をやらせる。
落語家の主に、監督(マキノ雅弘=津川)の兄、長門裕之が扮し、これが実にいい味を出している。
各エピソードで、その所作の多くが笑いを呼ぶ。役者としての集大成か。
特に、便意を催し、苦労するさまはきつい。
そして、一番弟子を演じるのが、笹野。松竹の笑いに欠かせない彼の持ち味もたいしたものだ。
初監督だが、いい役者といい話(中島らも原作)を得て、じつに楽しい映画を作った。
しかし、後半、主の妻の死とその寝ずの番。堺正章がでてきて、話はあまり面白くなくなる。
妻役の藤純子も、きれいだし、はまり役のようだが、年を隠せず、笑いについていけない。(演出のせいか)
最後は、猥歌の大合唱だが、凡庸だ。
中では、二番弟子(中井貴一演じる)の妻役の木村佳乃がなんともいい味を出している。