Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

ヤフーオークションに出品しました

2012-05-27 23:56:55 | ドールドレス
さきほどオークションにSDサイズのロマンティックドレスを2点出品しました。


まず1点目。
ミントグリーンよりもひと色落ち着いたシャンタン生地を使って、
SDサイズのロマンティックドレスを作りました。

上半身は薔薇刺繍が豪華な白いレースを使った深めのスクエアネックにし、
背中の部分も同様にし、さらに細幅のレースやビーズワークを施しました。
胸元のネックレスには、ペリドットカラーのスワロフスキーを組み合わせて、
金色のチェーンを使って小ぶりで上品なものをご用意しました。

袖は3段切替えで上段はパフスリーブ、中段はレース使いのストレートライン、
袖口は柔らかな白いチュールレースを車ヒダに折ってたっぷり使いました。

スカート本体は3段切替えで、上段から下段にかけて少しずつ太くなるよう、
白いモチーフレースやチュールレースを、何種類も組み合わせています。
オーバースカートは裾をあまり長く引かず、Aラインのシルエットを生かして、
あえてレースを1種類使っただけの、とてもシンプルな仕上がりにしました。

その代わりに使っているレースはご覧頂いてわかる通り、繊細で豪華な、
ラインがとても美しいものを選びました。写真ではわかりづらいのですが、
そのレースに沿って、オーバースカートのラインをぐるりとなぞるかのように、
びっしりとビーズワークが施されています。なんとその長さは1m以上。

お花のコサージュ、リボンコサージュ、ボンネットともに決して手を抜かず、
ドレスに合う色のお花を探してコサージュを作り、リボンコサージュは共布、
ボンネットは正面からは見えないところにまでレースやビーズワークを施し、
巻き薔薇を飾り、コサージュのお花に合わせた色のリボンをあしらいました。

生地は少し抑えめのとてもきれいなグリーンで、なかなか見ない色です。
使っているシャンタンという素材はとてもしっかりしていて張る生地なので、
スカートもボンネットのつばも綺麗なラインが出ています。

生地の持つ雰囲気を壊さないよう、「シンプルで上品」というテーマのもと、
素材選びにこだわり、とても手間をかけたドレスが出来上がりました。
(後姿の画像が、一番実物の色に近いと思います)


そして2点目。
ゴールドとも黄色ともいえない、淡い卵色のような柔らかなサテンを使って、
SDサイズのロマンティックドレスを作りました。

上半身は動きのある白いレースを生かしたラインの珍しいネックに仕上げ、
背中の部分はVラインに、前から後ろまでぐるりとビーズワークを施しました。
胸元のネックレスは金色の華奢な台にシトリンカラーのガラスカメオを嵌め、
パールビーズで作った本体に合わせてボリュームを出しました。

袖は3段切替えで上段はパフスリーブ、中段はレース使いのストレートライン、
袖口は淡い黄色のチュールレースを使ってふんわりと仕上げました。

スカートは3段切替えで上段は本体と同じ柔らかな卵色のサテン生地を使い、
中段は淡い黄色のチュールレースと黄色のオーガンジーを組み合わせて、
下段は同じく淡い黄色のチュールレースと白のオーガンジーを合わせました。

ベースとしてはまるでお花のように広がるシンプルなAラインスカートですが、
正面の写真を見て頂くとわかる通り、上からグラデーションになっています。
卵色からだんだんと色合いが薄くなっていき、一番下は白いオーガンジー。
なかなか面白と思いませんか?

これは生地に合うレースに出会うまでが大変で、しばらく作れませんでした。
やっとぴったりと合う淡い黄色のチュールレースを見つけることができたため、
生地とレースのバランスを考え抜き、グラデーションの形に辿り着きました。

お花のコサージュ、リボンコサージュ、ボンネットともに決して手を抜かず、
お花はレースの色やドレスの雰囲気とよく合う卵色のコロンとしたバラを使い、
リボンコサージュは裾と同じ白いオーガンジーでまるで妖精の羽のように、
ボンネットはサテン生地にスカートと同じ淡い黄色のチュールレースを重ね、
つば部分は白いオーガンジーで中に淡い黄色のチュールレースを合わせ、
巻き薔薇を飾って、ドレスに良く合う艶のある卵色のリボンをあしらいました。

カラードレスはレースとの出会い次第なので、二度と同じものは作れません。
今回はメインで袖やスカートに使っている淡い黄色のチュールレースの他に、
スカート上段のサテンとチュールレースの境目にあしらったモチーフレースも、
淡い黄色と白で織り出された、このドレスにぴったりのものを選んでいます。

生地はとても柔らかな色合いですが、サテンなので光次第で表情が変わり、
飽きのこないベーシックなデザインにグラデーションという遊び心を加えて、
長く楽しめる可愛らしいドレスに仕上がりました。
(正面の画像や上半身の画像が、一番実物の色に近いと思います)



†Maria Callas†のロマンティックドレスは繊細な生地を使っておりますが、
どなたにも扱いやすいよう、着替えの際に負荷のかかり易い身頃部分は、
全て裏地を付けて縫い上げ、強度を加えております。

また、裏を返して見て頂いても綺麗なように、縫い糸や生地の処理などは、
人間の洋服と変わらないような作りになっております。

こだわり抜いて作った上質なドレス、是非一度お手にとってください




ゆっくりブランチ / 東をどりを見に新橋演舞場へ / 美味しいワッフル

2012-05-27 23:49:17 | 京都花街
今朝は少し遅めに出勤する夫と一緒に、ゆっくりとブランチをしました。
このところいつもお料理をしてくれているお礼に、日曜日のブランチだけは、
私が用意するようにしています。

今朝も夫が身支度を整えている間に作ってテーブルに並べたら、拍手をして
「すごいよく出来ました」と褒めてくれました。焼いただけなんですけど
家事の期待度が低いと助かります(笑)


アスパラとズッキーニと自家製パンチェッタをオリーブオイルでじっくり焼いて、
ゆで卵は夫ごのみのトロトロ半熟にして、メゾンカイザーのパン オ フィグと、
おかし屋ぱれっとのスコーン2種類に、プチトマトを添えて

夫を駅まで送ったあと、お化粧をしてヘアセットをし、着物に着替えました。
新橋演舞場で今日からスタートする、新橋芸者さん達のおどりの会である、
「東をどり」を見に行くことになっていたのです

4日間のみの公演なのですが、今日は知り合いの芸者さんがお茶席でお点前
をされることになっていて、それに合わせて芸者さんにチケットを手配して頂き、
見に行ってきました。

あと数日で6月とはいえ、まだ暦の上では5月なので袷で行くつもりでしたが、
あまりの暑さに「これは無理」と判断し、少し先取りになりますが、
単衣の着物で伺いました。長襦袢と帯は絽。帯揚げ帯締めも夏物で。

単衣の着物はお稽古用の軽い柄の小紋かこの訪問着しかもっていないので、
ちょっとやりすぎかなぁとも思いましたが、芸者さんへご挨拶もするので、
軽いお稽古着よりは…と、訪問着に決定しました。


この着物は去年の9月に、元同僚の結婚式に出席するために誂えたもの。
招待状を頂く前から「是非」と言って頂いていたので、春頃から準備をし、
約半年かけてつくってもらいました

この着物の製作を引き受けてくださったのは、京都の「公庄工房」さん。
ちょうどいま、私が黄色い袷の訪問着の別誂えをお願いしている工房です。
工房については、日記の一番下でご紹介させて頂きますね


着物は翡翠色をごく淡~く明るくしたような地色のさらっとした縮緬地に、
銀彩で描かれた流水に、初夏~初秋の花を載せた花筏が流れている柄の、
とても爽やかで華やかな印象の単衣の訪問着。全て手描き友禅です。
上前には菊をメインに、桔梗や菖蒲や芙蓉の花筏が描かれています。
帯は白い絽地に金糸銀糸使いの爽やかな色で花菱が織り出された袋帯。
帯揚げはオフホワイトの絽縮緬地に赤い絞りの輪出し。
帯締めはピンクと白銀のリバーシブルになった夏の礼装用の平組紐。


前の左肩には撫子、左袖には菊と紫陽花。


後ろ裾には撫子と菊と紫陽花。


右袖の後ろには芙蓉と朝顔。
右側の写真で分かり頂けるとおり、黄色っぽく見える花筏については、
全て金彩で鹿の子模様が表現されています。とっても豪華

新橋演舞場に向かい、入口でお稽古場の大きいおねえさんと待ち合わせ。
訪問着で浮かないかと心配していましたが、付下げや訪問着で来ている
方もたくさんいらっしゃって、ちょっと安心しました


演舞場受付の上にある提灯には「東をどり」の文字。ワクワクします
チケットを受付で受け取り、さっそく芸者さんがお点前をされている場所へ。


お茶席の入口では、茶券と交換で小箱入のお茶菓子を受け取りました。
虎屋が東をどり用に特別に作った、菖蒲が刻印されたお饅頭です。


お茶席に入ってみると芸者さんがちょうどお点前をされているところでした。
とても混んでいたのですが、少し待つと目の前に座ることができました
お点前はのりえさん、半東(ここでは半使というようですが)は喜美丸さん。


お点前を見ていると、水屋からお茶が運ばれてきました。
先ほどのお饅頭を開けると淡い藤色の皮に菖蒲が刻印されてとても綺麗
抹茶の緑と緋毛氈の赤によく映えます。


おそらく三客くらいまでは芸者さんが点てていたようですがあとは影出しで、
正面には金霞と遠山が描かれ、後ろに「東をどり」と書かれたお茶碗でした。

お点前が終わって芸者さん方が後ろに下がられたので、タイミングをみて、
のりえさんにお声かけをしたところ、お忙しい中わざわざお出ましくださって、
少しお話をしたり写真を撮らせて頂いたり。どうもありがとうございました
お忙しいと思うのでチケットのお礼を言って、また後日...とお伝えし客席へ。


をどりの最中は撮影が出来ないので、幕が上るまえに舞台をパチリ
銀地で扇面の中に四季の花が織り出された緞帳が下がっていました。



舞台写真はないのでパンフレットの写真ですが、思っていたよりも若手の
芸者さんも多く、とても華やかな舞台でした。今まで花街のおどりの会は、
祇園の「都をどり」や、宮川町の「京おどり」しか見たことがなかったので、
京都の花街は各街で踊りの流派が一つなのに、新橋は尾上流、花柳流、
西川流と、流派がいくつもあることに驚きました。

前半は「賤の苧環」をベースにした「静幻想」と、「三社祭」を取り入れた
「川びらき」の2つ。静幻想は美しく格調高く、川びらきは粋で華やかに。

流派による違いまでは私にはわかりませんが上手な方はとてもお上手で、
やはり芸者さんの踊りは柔らかいなぁと思いながら見ていました。


前半と後半のあいだに、幕間が30分ほどありました。
幕間には観客がお土産物屋さんでお買い物をしたり、お茶席に入ったり、
お酒コーナーを楽しんだりと、ロビーはたくさんの人で賑わっていました。
後半が始まる前には、舞台は緞帳から定式幕に変わっていました。

後半は江戸情緒たっぷりな6景で構成された、「お好み 春夏秋冬」。
日本橋を舞台に往来する人々を描いたり、町娘たちが華やかに遊んだり、
女伊達と男伊達のからみや、贔屓の関取に惚れた芸者と半玉のやりとり、
福島への応援となっているおどりや、黒紋付の引き着の芸者さんたちが
口上を述べた後に踊る華やかなフィナーレなど、見る人を飽きさせない、
とても楽しい舞台でした

華やかなをどりも見終わり、このまますぐに帰るのも...と思っていたところ、
大きいおねえさんがお茶にお誘いくださったので、劇場近くのカフェへ移動。
おねえさんオススメの美味しいワッフルのお店です


少し待ちましたが、注文したワッフルが届いた瞬間、一気にテンションUP
やわらかめの美味しいワッフルに、バニラアイスとブルーベリークリーム添え、
そしてブルーベリーソースがかけられていて、とっても美味しかったのです
美味しいワッフルと冷たいアイスティーを頂きながらの楽しいおしゃべり。

おねえさんは私の母よりも上の年齢ですが、とっても気さくで優しい方で、
お師匠さんの一番弟子ということもあり、お稽古場の顔のような存在です。
着物もお好きな方なので、色々とお話をさせて頂きました

とっても楽しい東をどり、来年も是非見に行きたいと思います。
来年はのりえさんのお点前の日とをどりに出演される日、両方行きたいです


今日の訪問着の製作を請け負ってくださった「公庄工房」さんについては、
以前のブログで掲載していますので、そのままの転載でご紹介します

・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

昨年から私が訪問着の別誂えをお願いしているのは、こちらの工房です。
今までは許可を頂いていなかったので名前を掲載していませんでしたが、
先日京都に行ってお話をして許可を頂いたので、ご紹介させて頂きます

「公庄工房(ぐじょうこうぼう)」さん
http://www.yuuzen.jp/

今までの職人悉皆仲間問屋前売り問屋小売店顧客という、
驚くほどに多くの中間業者を通して行われてきた古い慣習的流通を見直し、
職人顧客というダイレクトな流通にする事により、中間マージンを抑え、
着物をより身近なものにするとともに、職人さんの生活も支えていくという、
まったく新しい手法を取り入れられた工房です

過去数十年、欧米文化や洋服が入ってきたという背景はあったものの、
着物の値段が上がっていったことも一因となり、民族衣装にも関わらず、
自分で着物を着られる人がほんの一握りとなるほどの着物離れが起き、
それにより仕事を失った職人さん達は、次々と廃業に追い込まれました

そんな中で問屋さんが打った手は、安価な「プリント着物」の量産でした。
最近の安い着物の多くは、インクジェットプリントで作られているのです。

これによりなんとか残っていた職人さん達も更に仕事がなくなってしまい、
このままでは後継者も育たず、数十年後には数えるほどになるでしょう。
そんな状況に異を唱え、新しい風を吹き込もうと頑張っていらっしゃいます

私は百貨店での別誂え経験もありますが、それと比べてもかなり質の高い、
そしてセンスも良い、素晴らしい着物を作っていただけます

気になる事にはとことん答えて下さいますし、密にコミュニケーションを取り、
アドバイスもして下さり、安心して製作をお任せする事ができる工房です。
業界内でも質が高いとされる染匠さんの仕事を任されている職人さんで、
その腕は確かです

何でもそうですが、モノは業者を通せば通すほどマージンで値段が上がり、
最終的に顧客に渡るときには数倍の値段になることもしばしばあります

流通を変える事で、顧客は質の良いものをコストを抑えて買うことができ、
職人さんは「プリント着物」に奪われてしまった仕事を取り戻すことができ、
着物業界は大切な伝統技術を継承し守っていくことができます。

昨年秋に作った流水花筏文の単衣の訪問着も、こちらでお願いしたもの。
現在私が別誂えをお願いしてる訪問着も、百貨店を通せば150万以上の
値段になるものだとおっしゃっていました。

私のような庶民が数百万単位の着物をちょくちょく作ることはできませんが
こちらの工房でお願いできるくらいの予算であれば、毎年でも可能です。
(そこは夫の理解があるので、ありがたいと思っています。ありがとう

きちんと予算に合わせて、その範囲内で最大限の努力をしてくださいます。
百貨店では最初に伝えた予算から十万以上あがることもしばしばですが、
こちらではそんなことはありません。

それでも洋服と比べると数十万という価格は大きく感じるかもしれませんが、
着物は洋服と違い数十年単位で着られますし、子供に譲ることも出来ます。
私は着物が大好きなので、「プリント着物」は苦手ですし(持ってはいますが)、
私の子供の世代まで、手描きの着物が残っていって欲しいと願っています

私は公庄工房さんの考えに全面的に共感し、その新しく素晴らしい活動を、
今後も着物をお願いする事で、出来る限り応援していきたいと思っています。
小紋以外は、今後こちらに一任するつもりでいます。

店頭に置いてある在庫の中から選ぶことが普通になっている現代ですが、
昔は多くの着物が別誂えでした。好きな柄を好きな色で好きな生地に。
そんな楽しい着物が出来上がったら、本当に大切に出来るものです。

もし別誂えに興味はあるけれども躊躇しているという方がいらっしゃったら、
是非一度、お問い合わせだけでもしてみてください。
きっと誠実にお答え頂けます