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偽りの夜明け

2009-05-02 06:44:54 | 金融全般
あの日銀、白川総裁がニューヨークで4月23日に卓見を述べております。それは、日本がバブル崩壊後の1990年代に何度か一時的な景気回復局面を経験したことを踏まえ、「偽りの夜明け」を本物の回復と見誤るな、というものです。

そして、人間の常として、物事が幾分改善すると楽観的な見方になりがちだ、とも述べております。

こういう冷静な言辞が吐ける中央銀行総裁を抱いている日本は、その分、多少は救われる気がしますね。バーナンキもトリシェも、景気回復のかすかな兆候が見えるとか言って、少しでもマーケットの動揺を引き起こさないことに必死ですが、この時期、しかも外国でこうした発言が出来るとは、見かけによらず彼は大物かも知れません。いや、学者肌で仕事が趣味のようですから、それだけ経済・金融に対する造詣が深いのでしょう。

先日失業率変化度とリセッションという記事をご紹介しましたが、これほどはっきりとリセッション脱出のサインを現している指標にはお目にかかっておりません。

この図表と同じものを作るまでもなく、日本の失業率はバブル崩壊後の1990年、1991年の2.1%を底にしてその後一貫して上昇し、2002年に5.4%のピーク値を付けたあと2003年にやっと下落に転じております。つまり1991年から2002年まではずっと不況が続いていたということになります。その間の1990年代は「偽りの夜明け」が何度もあったことでしょう。

ついでながら、対前年比変化度を見てみます。

・1990年 -0.2%
・1991年 +-0%
・1992年 +0.1%
・1993年 +0.3%
・1994年 +0.4%
・1995年 +0.3%
・1996年 +0.2%
・1997年 +-0%
・1998年 +0.7%
・1999年 +0.6%
・2000年 +-0%
・2001年 +0.3%
・2002年 +0.4%
・2003年 -0.1%(やっとマイナスになり不況脱出)
・2004年 -0.6%
・2005年 -0.3%
・2006年 -0.3%
・2007年 -0.2%
・2008年 +0.1%(またプラスに転じる)

そして5月1日発表の2009年3月の失業率は2月から0.4%も上昇し4.8%となり前年比+0.8%と過去最悪の結果です。驚くべきことに1ヶ月で0.4%の上昇です。各国の失業率の推移参照。

筆者は2002年の失業率5.4%を今回は超えると見ております。解雇しやすい非正規労働者がバッファーとして増えていることや、世界同時不況と未曾有の財政出動などで当時より日本を取り巻く状況が悪いためです。

結論として、アメリカがリセッションの底を打ったのかどうかの判断は、失業率がマイナスに転じないことには話になりません。その前に、雇用統計の結果が安定的に良くなっていく必要がありますがまだその兆候は見えておりません。

このあたりを冷静に見ながら「偽りの夜明け」には騙されないようにしたいものです。

この際、はっきりとした夜明けを判別するため、梟(フクロウ)でも狭い自宅で飼いたいのですが、メジロと同じで「益鳥」扱いだと飼うと違法となり、この年になって豚箱に入るのも嫌だし、また夜明けを嗅ぎ取るのに長けた訓練された梟は安価で容易に入手出来そうもなく、そして何よりも、我が家の猫どもの餌食になっては梟が可哀そうなので断念しました。5月10日から16日まで愛鳥週間だしね。
コメント
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