ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

三人姉妹

2009年10月08日 | ひとりごと
あ~難しいっ!女の子達っていうのは、う~ん、なんちゅうか、なんぼ頑張ってもスカッとした解決案が無いっつぅか……。

うちに来る生徒さんに、三人姉妹がいます。双子姉妹のリナとエリィ、末っ子のアビ。
彼女達の両親はとても成功した人達で、彼女達が赤ちゃんの頃からの世話は、住み込みのベビーシッター(独身女性)がしています。
彼女達を教え始めたのは、今から6年も前、双子のリナとエリィが5才になったばかりの頃でした。
途中から、一つ年下のアビも加わり、今年まではわたしが彼女達の、お城のような家に出張して教えていましたが、今年のはじめから、うちに三人一緒に通ってくるようになりました。

その途端、ある問題が勃発。
毎回、うちに居るほんの1時間半の間に、壮絶な姉妹喧嘩が始まるのです。
待ち時間に座るソファのどの面積を使うかだの、誰々の持ち物を床にバンと落としただの、誰々が何々に触っただの……、
わたしにしたら、それがどないしたん?と思うことばかりでも、本人達にとったら大きなことなんでしょうけど……。

でも、今日はとうとう、というか、入ってくるなり上の子が泣き叫んでいたので、レッスンを中断して、話し合うことにしました。

リナとエリィとアビ。三人をソファに座らせて、三人に言いたいことを言ってもらうことにしました。
どうやら、感情の起伏が激しいリナを持て余し気味のエリィが、末っ子のアビを手なずけて(嫌な言い方ですが)、リナを事ある毎に無視したり、あからさまに呆れたり、
それで疎外感に沈没しそうなリナは、雲母のように重なってくる怒りと寂しさの鎧にすっかり囲まれている、そんな感じがしました。

男の子達の世界にだって、なかなかに陰湿な、そして人からは見えないようなわずかな隙間で意地悪することがあります。
でも女の子のそれは、いかにも多彩で、回数が多くて、目に見えないのになんだか刺さっているような気がするトゲが、気がつかないうちに体中に刺さってしまっていて、
痛くて痒くて気持ちが悪くて、心の中がザラザラして、そして知らない間に怒りの感情が固まってしまうのだと思いました。
でもその塊の表面はとても薄くて、少しでも突かれるとその穴からマグマのように沸騰した怒りがビュッと飛び出してくる。
その怒り狂う様がまた可笑しくて、それを無意識のうちに誘い出してからかおうとする、冷静を演じる側の女の子達。
彼女達の今の様子を見る限りでは、リナが怒りの女王、それを迷惑そうにしながら冷笑しているエリィとアビ。そういう図式が見えます。

今夜はレッスン時間の半分近くを使って、彼女達の言い分を聞いたり、わたしから見た率直な意見を言ったりしました。
そして、わたしはわたしが彼女達ぐらいの年頃だった時に対峙していた、トンデモ人生の話を少しだけしてみました。
だからといって、わたしのようなハチャメチャな人生と比べて、あなた達は幸せだと言うつもりはありません。
ただ、本当の悲惨というのはどういうことなのか、この世の中には、あなた達には想像もつかない、とても辛い世界の中で息をしている人達がいるという事実を、
少しでもいいから、本当のところは全く理解できてなくてもいいから、想像してみてほしい、とお願いしました。

まあね、正直言って、一介のピアノ教師が、それも一週間に一度顔を合わすだけのわたしが、彼女達の心の中をちゃんと分かってあげてるのかって聞かれたら……う~ん、自信ありません……。
それに、そんな大きな話をしても、子供がそれをちゃんと受け取って、これからの自分の態度に反映できるのかってことも、
そんなこと、大人の、しかももうかなりいい年の自分でも難しいっていうか、ほとんどできないことなんだから、
基本的にはわたしは今夜、あなた達と話がしたかっただけで、だからといって何も期待していない、とはっきりと伝えておきました。
わたしの英語が英語だけに、向こうがわたしの思いをちゃんと正確に受け取ってくれたかどうかは分からないのですが……。

ただ、その話し合いの後、彼女達は全員とても落ち着き、リナは帰り際に「まうみ、ごめんね」と言いながらハグしてくれました。

三人とも、かわいい生徒達です。これからもずっと教えていきたいと思っています。
でも、息子しか育ててないわたしには、やっぱりなんとな~く難しい、女の子の世界です。
コメント (6)
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