埃アレルギー持ちのわたしは、掃除機にチトうるさい。
自分の問題だけならまだしも、生まれてきた息子達も埃アレルギー持ちだとわかってからは、掃除機の排気にかなりこだわりだした。
その頃教えていた楽器店のある店員が、店の運営の一環だかなんだか、そこのところは全く覚えていないのだけれど、いきなり掃除機の通信販売を始めた。
当時、出産を控えている講師がちらほらといて、特にその、初めての出産でワクワクどきどきな新米妊婦の家庭に重点を置いて回っていたように思う。
わたしはその新米妊婦の中のひとりだった。
最初に、その店員が入ってきて、えっちらほっちらと運んできたその掃除機を見た時、「なんじゃこりゃ!」という言葉がスルッと出てきた。
飛行機を作っている会社が製造した物で、まさにミニチュア飛行機とも言える、飛行機と同様の強度を誇る本体です。
吸い込んだ埃やゴミは、このフィルターと次のフィルターを通り、最終的にこの、特殊な繊維で作られている布袋の中の紙袋に入り、一度入ったものが排気口から逆流することはありません。限りなく100%に近く清浄された空気のみが部屋の中に戻ります。
この吸引力、すごいでしょう~。(近くで会話していてもよく聞き取れないほどの爆音がした)
確かにとんでもなく強い吸引力だった。
掃除機本体はとんでもなく重かったけれど、丸くて滑らかなゴロゴロキャスターの足回りはとても良く、どういう角度にもスムーズに動いてくれた。
ホースが長くて柔軟だったので、あちこち細かい隅なども徹底的に吸い取ることができた。
そしてなにより、コードが異様に長かったので、一度プラグに差し込むと、ほとんどの部屋がそのままで掃除できた。
布団のダニや見えないぐらいの小さな埃も、すっきり吸い取った。
布団用のノズルもすごく使い勝手が良かったし、他のノズルも皆、それぞれに良くできていた。
でも値段が……その当時、1986年の当時で、25万円だった……。
そんなお金を掃除機に使うなっ!って話なんだが、その時はもう、赤ん坊のためならえんや~こら♪だったので、ついサインをしてしまった。
値段と重さとうるささ以外はもう、それはそれは気に入っていて、日本からこちらに来る時ももちろん、その掃除機も一緒だった。
もともと米国製だったので、掃除機にとっては里帰り。
こちらではなんとなく、前よりもっと自然な感じがした。
が……如何せん、日本とアメリカでは電圧が違った……。
知っていたけれど、ちゃんと使えていたので、ついつい大丈夫だと過信してしまった。
突如、コードの根元の辺りから白い煙が出てきたある日、それっきりその、25万円の飛行機掃除機は動かなくなってしまった。
三代に渡って使っていただけます、なんていうキャッチフレーズが、その煙とともにヘラヘラと笑いながら天井に消えて行った。
アメリカが、電化製品の質のいい加減さと悪さを誇る国だなんて露とも知らなかったわたしは、何台かの掃除機を買っては腹を立て、蹴飛ばしたり罵声を浴びせたりした。
それならばと、日本の会社の物を買っても、それがアメリカで売られているとなぜか、とんでもなくうるさいだけで全く埃を吸わない駄掃除機に成り果てる。
なぜっ!?
そこでとうとう精魂尽き果てたわたしは、ヨーロッパものを探し始めた。
で……ミーレ。
日本に居る時からこの名前はよく聞いていた。
自社の製品の性能と質にとことんこだわり続けているドイツの会社だと。
今、うちでは、本体が真っ白なミーレの掃除機が働いてくれている。
音が静かなのにとてもよく吸い込んでくれる。小回りも良く、ホースの根元が360度ぐるりと回るのも使い勝手が良い。
5万円もした(買う時かなり苦しんだ)けれど、掃除機をかけるたびに血圧がドカンと上がったあの不快感が無くなったことを思えば、全く文句は無い。
そしてこの掃除機もアレルギー用にいろんな工夫が施されていて、それはとてもありがたいのだけど、この9層特殊フィルター構造のダストバッグ、高度なろ過性能ってのはわかるけど、いっぱいになって捨てる時、なんだかとっても悪い事をしている気分になってしまう。
値段も高いので、そうやすやすと交換したくない。
だからもう、パッツパツにはちきれそうになるまでゴミをためて、お願いだからわたしをここから出してぇ~と悲鳴を上げる寸前、いや、もう上げているかもしれない……に捨てることにしている。一度なんて、引っ張り出すのに数十分かかったことも……あった……。
なのになのに……まだあと数回は余裕だな……と思っていたのに……、
カメムシの赤ちゃんを、旦那の漢方の錠剤だと勘違いして、うっかり吸い込んでしまった、らしい……
一瞬にして、辺りはカメムシのカホリでいっぱい!いくらミーレでも、カメムシのカホリは除去できないのだった……
残念ながら、このちっちゃな赤い蓋の向こうに居る埃まみれでパニクっているカメムシを、指でつまみ出す勇気も無く、泣く泣く新しいバッグと取り替えた
はい、これでよし。
今日も最高最低ともに零下の、とっても寒い日。カメムシだって避難したいよな、暖かい部屋に。
でもね、お願いだから、わたしが掃除機をかける時に、床を歩いたりしないでね
自分の問題だけならまだしも、生まれてきた息子達も埃アレルギー持ちだとわかってからは、掃除機の排気にかなりこだわりだした。
その頃教えていた楽器店のある店員が、店の運営の一環だかなんだか、そこのところは全く覚えていないのだけれど、いきなり掃除機の通信販売を始めた。
当時、出産を控えている講師がちらほらといて、特にその、初めての出産でワクワクどきどきな新米妊婦の家庭に重点を置いて回っていたように思う。
わたしはその新米妊婦の中のひとりだった。
最初に、その店員が入ってきて、えっちらほっちらと運んできたその掃除機を見た時、「なんじゃこりゃ!」という言葉がスルッと出てきた。
飛行機を作っている会社が製造した物で、まさにミニチュア飛行機とも言える、飛行機と同様の強度を誇る本体です。
吸い込んだ埃やゴミは、このフィルターと次のフィルターを通り、最終的にこの、特殊な繊維で作られている布袋の中の紙袋に入り、一度入ったものが排気口から逆流することはありません。限りなく100%に近く清浄された空気のみが部屋の中に戻ります。
この吸引力、すごいでしょう~。(近くで会話していてもよく聞き取れないほどの爆音がした)
確かにとんでもなく強い吸引力だった。
掃除機本体はとんでもなく重かったけれど、丸くて滑らかなゴロゴロキャスターの足回りはとても良く、どういう角度にもスムーズに動いてくれた。
ホースが長くて柔軟だったので、あちこち細かい隅なども徹底的に吸い取ることができた。
そしてなにより、コードが異様に長かったので、一度プラグに差し込むと、ほとんどの部屋がそのままで掃除できた。
布団のダニや見えないぐらいの小さな埃も、すっきり吸い取った。
布団用のノズルもすごく使い勝手が良かったし、他のノズルも皆、それぞれに良くできていた。
でも値段が……その当時、1986年の当時で、25万円だった……。
そんなお金を掃除機に使うなっ!って話なんだが、その時はもう、赤ん坊のためならえんや~こら♪だったので、ついサインをしてしまった。
値段と重さとうるささ以外はもう、それはそれは気に入っていて、日本からこちらに来る時ももちろん、その掃除機も一緒だった。
もともと米国製だったので、掃除機にとっては里帰り。
こちらではなんとなく、前よりもっと自然な感じがした。
が……如何せん、日本とアメリカでは電圧が違った……。
知っていたけれど、ちゃんと使えていたので、ついつい大丈夫だと過信してしまった。
突如、コードの根元の辺りから白い煙が出てきたある日、それっきりその、25万円の飛行機掃除機は動かなくなってしまった。
三代に渡って使っていただけます、なんていうキャッチフレーズが、その煙とともにヘラヘラと笑いながら天井に消えて行った。
アメリカが、電化製品の質のいい加減さと悪さを誇る国だなんて露とも知らなかったわたしは、何台かの掃除機を買っては腹を立て、蹴飛ばしたり罵声を浴びせたりした。
それならばと、日本の会社の物を買っても、それがアメリカで売られているとなぜか、とんでもなくうるさいだけで全く埃を吸わない駄掃除機に成り果てる。
なぜっ!?
そこでとうとう精魂尽き果てたわたしは、ヨーロッパものを探し始めた。
で……ミーレ。
日本に居る時からこの名前はよく聞いていた。
自社の製品の性能と質にとことんこだわり続けているドイツの会社だと。
今、うちでは、本体が真っ白なミーレの掃除機が働いてくれている。
音が静かなのにとてもよく吸い込んでくれる。小回りも良く、ホースの根元が360度ぐるりと回るのも使い勝手が良い。
5万円もした(買う時かなり苦しんだ)けれど、掃除機をかけるたびに血圧がドカンと上がったあの不快感が無くなったことを思えば、全く文句は無い。
そしてこの掃除機もアレルギー用にいろんな工夫が施されていて、それはとてもありがたいのだけど、この9層特殊フィルター構造のダストバッグ、高度なろ過性能ってのはわかるけど、いっぱいになって捨てる時、なんだかとっても悪い事をしている気分になってしまう。
値段も高いので、そうやすやすと交換したくない。
だからもう、パッツパツにはちきれそうになるまでゴミをためて、お願いだからわたしをここから出してぇ~と悲鳴を上げる寸前、いや、もう上げているかもしれない……に捨てることにしている。一度なんて、引っ張り出すのに数十分かかったことも……あった……。
なのになのに……まだあと数回は余裕だな……と思っていたのに……、
カメムシの赤ちゃんを、旦那の漢方の錠剤だと勘違いして、うっかり吸い込んでしまった、らしい……
一瞬にして、辺りはカメムシのカホリでいっぱい!いくらミーレでも、カメムシのカホリは除去できないのだった……
残念ながら、このちっちゃな赤い蓋の向こうに居る埃まみれでパニクっているカメムシを、指でつまみ出す勇気も無く、泣く泣く新しいバッグと取り替えた
はい、これでよし。
今日も最高最低ともに零下の、とっても寒い日。カメムシだって避難したいよな、暖かい部屋に。
でもね、お願いだから、わたしが掃除機をかける時に、床を歩いたりしないでね