年の初めに、昨年も多分一番頼らさせていただいた、きーこさんの、猛烈文字起こしを紹介させていただきます。
↓以下、転載はじめ
「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と私はお願いしたいと思います。小出裕章氏12/31報道するラジオSP(文字起こし)
新しい年になりました。
2013年1月1日の初めての文字起こしが、小出先生であった事がとても嬉しいです。
でも内容は、「2030年代原発ゼロ」どころではなく、新しい原発をつくる、という安倍首相の話でした。
報道するラジオ 来年の話をしよう!
鬼が笑う年末スペシャル2012 1179MBSラジオがお送りしています。
水野:
毎日新聞専門編集委員近藤勝重さんと、わたくし水野晶子で、スタジオをお送りしています。
近藤さん、ここからしばらくの時間はですね、原発について、小出先生とお話しいただこうと思っております。
さっそくお呼びいたしましょう。
京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。
小出さ~ん、こんにちは、というか、こんばんはになりましたかね。
小出:はい、こんばんは。
水野:近藤さんはお久しぶりでございませんか?
近藤:いや;あ、お久しぶりです。お元気ですか?
小出:はい、何とか生きています。
水野:
今日も、この大晦日という日に、小出さんとお話しさせていただく、大変お忙しいのに申し訳ないんですが、
やはりどうしても、今年2012年にね、原発をめぐる動きがどうであったのか?
そして、来年どうなっていくのか?っていうのは、なんとしても小出さんに伺いたい、という思いがございます。
そして、小出さんに質問したいというリスナーの方も、いろいろと送ってきて下さっているんです。
で、まず一番多くのお声を頂いているのは何か?と言いますと、今日、毎日新聞の一面トップ。
近藤さん、これ、毎日新聞がドドンと掲げましたね。
近藤:ええ。
日本にもっと原発・新設
水野:
「安倍首相原発新設に意欲」
つまり、新しくつくるという意味ですね。
「新たにつくっていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものとは全然違う。
何が違うのかについて、国民的な理解を得ながら、それは新規につくっていくことになるのだろう」
というふうに、安倍総理がおっしゃったと。
つまり、新しくつくって増やしていく、という事ですね。
近藤:ん。
水野:
これについてですね、聞いて下さっている方が多いんです。
「大掃除しながら聞いていますけど、え、え?そういうことなんですか?再稼働に向けてどんどん動き出しているということなんですか?」とかですね、
「ホンマに前とは違う、福島とは違うものなんでしょうか?」って言うふうに聞いて下さっているんです。
ここのところからまず始めたいと思いますが、まずこの、安倍総理の発言について、どうお感じになります?
小出:
呆れた人だと思います。
水野:
そうですか。
「今の原発は昔のものと全然違う、と安倍さんは言いますが、じゃあ、具体的に、どこがどう違うんですか?小出先生教えて下さい」とおっしゃっております。
いかがでしょう?
小出:
まず、日本で、原子力というものを進めてきたのは、自民党なんですね。
福島第一原子力発電所も含めて、日本国内に、50何基もの原子力発電所を建ててしまったのは、全て自民党のせいです。
福島第一原子力発電所の事故を起こしたのも、自民党のせいです。
その自民党が、また新しい原子炉をつくるというような事を言っているわけですが、
福島第一原子力発電所だって、自民党が、安全な原子力発電で運転していい、と許可を出したものなのです。
水野:
そうか、そうかそうですね。
自民党政権の時に、政府が許可を出したんですよね。
小出:
そうです。
「日本の原子力は技術が進んでいる」「日本だけは事故を起こさない」と言うような事を、自民党がずーっと言いながらきて、事故を起こしているのです。
先ず、その責任というものを、安倍さん自身がきっちりと言わなければいけないし、
これから新しい原子力発電所をつくるというなら、先ずそれが、どこがどう違っているかを、安倍さん自身が言わなければいけません。
そして、私から見れば、まったく変わっていないのです。
今は改良型の軽水炉、改良型の加圧水型原子炉、改良型の沸騰水型原子炉というようなものを、これから作るという事を言っている訳ですけれども、
水野:
「改良型」っていう名前が付いているんですね。
小出:そうです。
水野:
そうすると私たちは、素人は、「あ、改良されたんだ」「大丈夫なんだ」というイメージを持つわけです。
小出:
はい。
技術というのは、少しずつ進歩していく訳で、悪いところを見ながら改良していく、というのは当たり前な事なのであって、
1年経てば、少しずつまた改良されているというのは、当たり前の事なんですね。
で、特に日本の場合には、その改良という事が、たとえば原子炉の大型化であったり、経済性の追求であったり、そういう事で来てしまったわけで、
改良というのはむしろ、私から見ると、改悪になってしまっているのです。
水野:あぁ~……、
小出:
で、いかなる原子力発電所も、原子炉というものを使う限りは、放射能をつくってしまいますし、
機械である以上は、壊れるという事は時にはある、と覚悟をしなければいけないものなのです。
そういう意味で言えば、全く変わっていない旧態依然、また自民党がやろうとしている、という事です。
水野:
う~ん……近藤さん、自民党安倍政権は、その原発推進シフトで、閣僚はかなり固めているんですってね?
近藤:
う……ん、そうですよ。甘利さんとかね、
いずれにしても僕は、12政党の中で、脱原発に最も消極的だったのが、自民党だったわけです。今度の選挙でも。
小出:そうですね。
近藤:
で、にも関わらす、それが政権政党になっちゃったわけです。
そこのところがね、自民党のものの言い方っていうのが、結構いろいろとあいまいな部分があって、
「原発に依存しなくてもいい社会を目指す」っていう予防線を張ったり、いろんな事を言って、なんとなく争点からぼかしていったんですよ。
水野:選挙の時に、争点になかなかなりませんでした。
近藤:
ですからね、そういう争点外しを意図的にやったうえで、今になってですよ、原発新設に意欲を示すような発言をするっていうのは、
それはやっぱり、千年に一度と言われる未曽有の災害、その事のいろんな豊かさの本質とか、そういうことを問う選挙でね、
原発の問題の是非を本当に問う選挙でね、そういうことをはずして国民に投票させて、そしてそののちにですよ、こういう事を言い出すっていうのはね、僕はある意味、それはフェアーじゃないと思うんだよね。
だから、ここはやっぱり公明党がね、一緒に政権をつくっている訳ですけれども、その話にどう反応するのか?って言う事をね、
とりあえず、そこのところを見なくちゃいけないなっていう気がしていますけどね。
東電の刑事責任
水野:
小出さん、今起こっている事のもうひとつの側面でね、福島原発の事故をめぐって、検察当局が、東電の幹部から事情を任意で聞いているっていう、そういう事実もあるんですね。
で、あの……このポイントがどこか?って言いますと、
「津波の危険性を予測しながら、津波に対する安全対策を怠ったんじゃないか」
そこがどうだったんだ?って言うのがポイントになっている、という事なんですよ。
これについて、小出先生はどう見てらっしゃるか、教えていただきたいんですが。
小出:
もちろん、津波に対しての対策を怠っていたのですね。
で、それだけではなくて、原子力発電所が機械であって、さまざまな要因でその機械が壊れるという事について、十分な対策を取らないまま来てしまったわけです。
もちろん、「地震という出来事で、原子力発電所の一部が壊れたかもしれない」という事は、
福島第一原子力発電所の国会事故調査委員会すらが指摘しているわけで、東京電力の責任は、私はモーレツに重いと思います。
たとえば、皆さん考えていただきたいのですが、どこかのちいちゃな町の工場が、毒物を周りになにか漏らしてしまって、周辺の人に迷惑をかけたというような事をすれば、
すぐに警察が踏み込んで、何がしかの法的な手続きを取る筈だと思いますけれども、
福島第一原子力発電所の事故の場合には、何十万人もの人が家を奪われる、そしてその中で、命を落としていくという事が進行してきている。
今でも進行しているわけですし、何百万人もの人が、放射線の管理区域に指定しなければいけないようなところで、生活を強いられてしまっている、という事実があるのです。
それなのに、東京電力の会長社長以下、誰も責任を問われていないという、この国はいったいどういう国なのか?と、私は思います。
近藤:
刑事責任のレベルで言うと、津波の高さをね、どの程度彼らが想定していたか、というのが大きなポイントなんですよね。
水野:ポイントになるんですよね。
近藤:
だから、いわゆる6m説、15m説、いろいろあるけれども、東電の現場では、たとえば15mと見ていたとすればね、
その対策を取っていたか取っていないという事になると、大きな違いがあるわけですよね。
だから、地検が関心を持っているのは、まずとりあえず、「津波の高さをどの程度想定できてたか?」
水野:ああ、そこになるんですか。ただ、
近藤:できてないっていう
水野:事であれば、責任を問えなくなるわけですね。
近藤:いわゆる予見、可能性の問題だよね。
水野:
でもそうしますとね、あの、ある意味、津波の危険性をどう捉えていたか?っていうポイントの、ま、訴訟だからそれはしょうがないんでしょうけども、
告訴告発があっての事だから、しょうがないのかもしれないけれども、じゃあ「津波が無かったら原発は安全なんだ」と、いう話にもつながっていきやすい論理じゃないですか?
近藤:
それは、またその話の別個の性格として出てきますよね。
ただ、とりあえず起きた事故は、その津波と無縁じゃないわけで。
水野:もちろんね。
近藤:大いに関係があるわけだからそこを、
水野:そこで今は、
近藤:過失を問えるか、問えないか?というのは、そこのところが大きいという判断はあると思うんですよ。
水野:でも、過失を問えない可能性もある、ということですね。
近藤:あるでしょうね。
水野:はぁあ~……、
近藤:あの、刑事事件的に言えばね、ん……そういう性格のもんでしょうね。
全ての原発が止まった日~大飯再稼働
水野:
小出さ~ん、
今年というのは、5月5日に、全ての原発がストップしたんですよね。
小出:そうでしたね
水野:あの時の小出さんの言葉を私、覚えているんですよね。
小出:はい。
水野:「ああこんな日がやってくるんだ」という、非常に感慨深いものがおありだったと思うんですが、
小出:はい。嬉しかったです。
水野:
ねぇ、そうおっしゃった。
しかし、続きませんでしたね、その状況は。
小出:そうでしたね。
水野:
んーーー、
その後、ま、2カ月弱で、大飯の3号機が再稼働するという形、7月1日に再稼働しましたので、2カ月弱で、全ての原発が停止している状況は日本から消えました。
小出:はい。
水野:
で、その間ね、あの、何があってそういうふうになったのか?って、いろいろ見ていくと、たとえば、大飯の再稼働に反対していた関西広域連合が、
「限定的だったら再稼働は認めざるを得ない」というふうに態度を変えたと、いうような事もあります。
小出:はい、
水野:
そしてどんどん、どんどん雰囲気が変わって行ったんじゃないかと思うんですけれど、小出さんは、そのあたりはどんな風に、日本の人達の気持ちの変化を見ていらっしゃいますか?
小出:
大飯の再稼働という事は、「再稼働をしないと停電になるぞ」という脅しをかけられたのです。
ですね、で、橋下さんなんかは、ころりと再稼働反対から容認に変わってしまうと、いうことになりました。
しかし、事実でいうのであれば、大飯なんか再稼働させなくても、電気は十分足りたのです。
それを、国民がみなさん騙された。
橋下さんも騙されたふりをして、結局認めていくという事になりました。
私は、日本の電力需給の状況というのを、もっとみなさんが、しっかり知らなければいけないと思いますし、
国や電力会社は、正直に、現在の状況というものを説明するべきだ、と私は思います。
水野:
実際、再稼動無しでも、この夏電力不足にならなかったというのは、ま、後で検証してみたらはっきりしたんですよね。
小出:
もちろん、後でしてもハッキリとしましたし、初めから分かっていた事なのです。
水野:
小出先生は、初めから分かっているとおっしゃって、そのベースになるデータは、国が出してるっておっしゃっていましたよね。
小出:
そうです。
国がきちっと、どこの原子力発電所は何万kw、火力発電所が何万kwというデータを公表していますし、
そのデータを見る限りは、現時点で原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなる時も停電にはならないのです。
その事をみなさん、どうしてわかってくれないか、私には大変不思議です。
近藤:
そこのところが先生あれなんでね、選挙の間、そこのところが浸透してたら、また話がちょっと変わってたんだよね。
小出:と思います。
活断層
近藤:
それとね、ぼくね、先程、自民党の責任云々の話で、どうしても今日……付け加えて、先生の事に付け加えて言いたいんだけど、
東通原発の問題で、学者の方全員でしょ、全員が活断層の危険を言うてますよね。
小出:はい
近藤:
にもかかわらず東北電力は、それを「膨潤」だと、地下水を吸ってるんだと、いうことで、要するに、安全なんだという事でまかり通ったでしょ、
で、まかり通した事で、誰の政権の時だったのか?と考えれば、これも自民党ですよね。
そうすると、この手の活断層をめぐるいい加減な、ある意味いい加減な処理の仕方、あるいは、その時何がどうでOKになったのか?という、その経過。
ここらあたりをもう1回やる事がですね、あの、僕、すごく大事じゃないかと最近よく思うんですよ。
こんないい加減な形で、ぼんぼんぼんぼん原発が出来ていったのか、と、
今ぞっとするような感じの、要するに、いわゆる原子力ムラっていうのは、こういうことだったのか?!みたいなね、実態すら、そこに私なんか感じるんですけどね、
小出:
そうですね。
マスコミの方、報道の方にもっとしっかりと、こういう事実をきちっと調べて、報道して欲しいと願います。
近藤:
ほんとうに、今になってね、なんかそういう事を言っても、なんかある種の虚しさがあるんだけども、いまからでも、追及する側としては遅くない気がするんですよね。
小出:そうですね。
民主党の2030年代原発ゼロ
水野:
やらねばならない事ですよね。
あの、そして今年、かえすがえすも、「あの時何でああなったんやろ?」と思いますのは、
民主党がね、2030年代原発ゼロって言っておきながら、閣議決定しませんでしたよね。
あのあたりのところを小出先生はどう見ていらっしゃいますか?
小出:
情けないことだと思いました。
もともと民主党政権が、国民にパブリックコメントというのを求めて、2030年にゼロにするのか、15にするのか、25にするのか、と言って意見を求めたのですね。
水野:なん%原発に依存するのか?っていう話ですね。
小出:
そうですね、
そして、その政権の求めに応じて、多くの国民が意見を寄せました。
そして、その大部分はゼロにせよと。
そして、2030年ではなくて、即刻ゼロにしろ、という意見が多かったのです。
水野:そうでしたね、はい。
小出:それを受けて民主党政権は、今度は30年代という、一つ「代」という言葉を付け加えて、
水野:最初は、2030年まででしたよね。
小出:
そうです。
2030年に、と言っていたんですが
水野:
に、ゼロにするというてたのに、気が付いたら2030年代に、10年も増えていましたよね
小出:
2039年12月31日までに延ばしてしまった。
つまり、10年そこで、パッとサバを読んでしまったわけで、それでもま、一応はゼロを目指すと言ったのですね。
だから、その閣議決定すらが出来ないという状態で、情けない政権だな、と私は思いました。
近藤:
これは先生、すごく大きかったんですよ。
僕は、民主党政権の普天間の問題もおかしかった。
そして、八ッ場ダムもおかしかった。
そこへもってきて、30年代でぼやけてしまって、閣議決定しなかったでしょう。
そういう連続の中で、主党に対するイメージって言いますかね、なんかこう、ぼやけちゃったですね。
小出:
そうでしょうね、こんな政権はやはり支持を失う、と私は思います。
福一廃炉の費用は国が負担
水野:
その間ですね、株式市場でなにが起こったか?
東京電力の株価はですね、ま、事故後ずーっと落ちて言ったわけですけど、今やですね、一番低かった夏場の株価の、倍以上に跳ね上がりました。
えー、安倍さん達自民党が圧勝、と伝えられた直後の東京電力の株価は、もうこれ以上値がつけられませんというストップ高にまでなるという、跳ね上がったんですよね。
で、小出先生ね、さらにこんなことを、安倍さんは言っています。
「福島第一原発の廃炉の作業を、政府が全面支援する」というふうに言っているんですね。
「政府として、それはやってもらわなきゃあかん」という気がする一方で、
という事は東電が廃炉にしていく費用を税金、つまり、私らのお金で負担していくっていう事になるん違うんですかね。
小出:
そうですね、
「私らの」と水野さんのお金でもあるわけだし、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、
何よりも、福島第一原子力発電の事故で、今家を奪われて流浪化している人たち、そして、汚染地帯に捨てられてしまった人たち、
そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済するということをやるのです。
水野:
そういう事になりますよね。
ハァー、廃炉に、福島についてもね、「廃炉にホンマにできるんですか?」と聞いていらっしゃいますけど、それぐらい思うような廃炉って、お金はどのくらいかかるんですか?
小出:
わからないのです。
ようするに、人間が初めて遭遇した事なのですね、今。
一度に4基もの原子炉が溶け落ちてしまって、放射能がそこから噴き出してきている、という状況になってきてしまっているわけで、
一体どうやれば廃炉に出来るのか?その事自身が分からないのです。
もちろん、東京電力が、自分でやろうとすれば簡単に倒産するいう、それほど難しい事なのであって、
日本の国家が、もちろん、なにがしかの財政負担もやらなければならないというのは当然なことなのですけれども、
こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、
その全ての負担を、国民、そして今苦しめられている人たちに、また負わせようとしているのです。
ーCM-
「原発推進」なんでこうなるの?
水野:
小出さ~ん、引き続き伺いたいんですけれども、多くの方達が脱原発を望んだ、という事実があります。
しかしながら、今になったらですね、選挙で大勝した政権のリーダーは、「新しく作っていく」ということに意欲を示しているという、これがいま日本の実情なんですよね。
小出:そうですね。
水野:
「なんでこんなことになるのか?」ということを、ま、いろんな見方があると思いますけど、小出さんはどう思います?
小出:
まぁ、また騙されたのですね。
水野:
また騙された。ですか。
小出:
要するに、近藤さんが先程、きちっとおっしゃって下さったけれども、選挙の時には、自民党が明白に、自分たちは進めるという事は言わなかった。
水野:
ま、「10年でいろいろ考えます」、みたいな話でしたね。
小出:
でも、初めから進めるという事を、彼らは明白に腹をくくっていた訳ですし、それを言わないまま選挙というものが行われて、国民がまた騙されたという事です。
水野:
あの、このぅ、「騙された」という感覚ね、
ん……確かにそれは騙されたかもしれないけれど、わたしは、自民党は、こんなふうに原発政策を考えているだろうというのを、安倍さんがハッキリおっしゃらなくても感じていましたよ。
小出:
そうですね( ´艸`)★。、::。.::・'゜
水野:
小出先生ももちろん、小出先生はもちろんですけれど、感じている人は私だけじゃなくて、「あ、自民党は多分こうするんだろうな」って、感じてたんじゃないですかぁ?
近藤:
騙されたっていうかね、要するに、優先度が下がったんですよ。
国民の意識の中で、自民党のものの言い方で。
水野:
もう、今すぐ株をあげて欲しい、自分の暮らしをよくしてほしい意識が上がったっていう事ですか?
近藤:
うん、そっちの方がむしろ、いわゆる生活者レベルの方の感覚の方が上にあがっちゃったんだね。
そやけど、本当言うと、やっぱり主権者、主権者としての感覚が、一番優先されなければならない総選挙だったんだわ。
水野:本当はね。
近藤:うん。
水野:
そこのところを騙された。
騙されてしまう私たちっていうところを、小出さんはどう見ていらっしゃるのか。
小出先生もね、子どもの頃は騙されたっておっしゃってたじゃないですか。
戦後間もない時代にね、子ども時代を迎えられて、あの、戦争の話とこの原発の話って、ちょっと似ているところがありませんか?
小出:
はい、私はずっとそう言ってきましたし、私が関わり続けてきた原子力の歴史というものを見ると、「戦争の時とそっくりだな」と思い続けてきましたし、今でもそう思います。
水野:
どういう事でしょう?
小出:
要するに、国家という存在が戦争をやると決める。
あるいは、原子力をやると決めて、いわゆる体制というものが全部で、それにのめり込んでいくという、そういう流れだったのだと思います。
戦争はもちろんそうでしたし、原子力もそうでした。
マスコミも含めてみんなが、原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れをつくってしまって、
国民の多くは、それをただただ信じてきてしまった、という流れだったと思います。
でも、少なくても、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです。
苦しみがなにも軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と、私はお願いしたいと思います。
水野:
何で私たちは、騙されてしまうんでしょうか?
小出:
今、近藤さんがおっしゃって下さったけれども、やはり生活、日々の生活。
もっと景気が良くならないかとか、そういう事にやはり、どうしても引きずられてしまうということが、一番大きな要因だと思います。
水野:
ん……あの、戦争についても近藤さん、あれですね、「責任をちゃんと取れているのか?」という事を、ずっと問われ続けてきた日本ですよね。
近藤:
ええ、広島・長崎を見て、そして福島を見た訳ですよ。
これは要するに核と原子力の負の連鎖ですよね。
こんな国ないですよ!
水野:うん
近藤:
ない!
時に選挙があったんだけど、その答えが出なかった。
水野:
私達は出せなかった、
近藤:
そうですね、そういうことがね、辛いところです
水野:
自民党の得票率が、ね、決して上がっている訳ではないという事実が、そこにあるわけですね。
えー、小出さん、あの、この番組は「来年どうなっていくのか?」という話をみなさんに伺っているんですが、
小出さんはこの原発問題に関して、どう見ていらっしゃいますか?
小出:
少なくとも、自民党が政権を取ったわけですから、脱原発、あるいは、原子力をゼロに目指していくという流れは、「大きく変えられてしまうだろう」と、私は思います。
ただし、このまま反省のないまま、また、新しい、再稼動どころでないんですね、自民党の場合は。
水野:
新しくつくるんですから。
小出:
そうです、再稼働なんか当たり前で、さらにまた、新しくつくるというような事を、自民党という政党が言っているわけですね。
私は、そんな事は到底させたくないと思っていますし、次の参議院選挙がまたあるわけですから、きちっと皆さん考えていただきたいと思います。
水野:
そうですね、また来年7月に、私たちが問われる段階がやってくるんですね。
小出:
そうですね。
水野:でも、その時また、あの、この……原発の問題は隠れるかもしれませんね。
小出:
また、自民党は多分、参議院選挙までは、あまり明確に、進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうような事になれば、「もうそれで終わり」という事になると思います。
水野:
小出さん、あのー、また、来年「希望のある話を聞かせて下さい」なんて簡単に言えないんですけれど、何とか希望のある話が出来ればと願っております。
小出:
と、思います。
水野:
どうもありがとうございました。
京都大学原子炉実験所小出裕章さんに伺いました。
ーーー
安倍さんは、2012年4月5日報道ステーションで、原発に関してこう語っていらっしゃいました。
「えーっと、わたくしはですね、賛成とか、反対とかいう事ではなくて、再稼働が必要であると考えています」
我々は、過酷な事故を経験したが、それに委縮することなく、わたしたちの知恵と技術で克服していこう。
「原発再稼働わたしはこう思う」安倍晋三4/5(動画・内容書き出し)
この時はまさか、安倍さんが、また総理大臣になる日が来るなんて、想像力が豊かな私にも想像できませんでした。
これほどの圧勝で自民党が勝つという事も、私には想像できませんでした。
(私の想像力もショボい(。♋ฺ‸♋ฺ。)ウルウル)
投票所は、今までと違う年齢層の、小さな子どもを連れた人々で、長い長い行列が出来ていました。
あの方々は、みんな自民党に入れたのでしょうか?
開票速報も、開票率が10%なのに確定が出ています。
やっぱり、どうしても気になります。
投票用紙は、人々の手で、2日ぐらいかかってもいいからキッチリと数えて欲しい、と思っているのですが……。
国民は本当に、そんなに簡単に騙されてしまうものなのでしょうか?
だけど、私の周りを見てみると、騙されているのかもしれないとも思います。
騙されているというか、なんにも考えていないんじゃないかな?と。
やっぱコロコロ騙されてしまうようなおバカなんだなぁ~きっと(◞‸◟ㆀ)。
おバカというよりも、自分の事以外に関心がないのかも、と思います。
危機感も無いのかな?とも思います。
参議院選挙までに国民の目を覚まさせるためには、何が出来るんだろうか?
安倍首相:「国民的な理解を得て」…原発新増設に前向き
毎日新聞 2012年12月30日 21時23分(最終更新 12月30日 23時06分)
安倍晋三首相は30日、首相官邸でTBSのインタビューに応じ、今後の原子力政策について
「新たにつくっていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした(東京電力)福島第1原発のものとは全然違う。
何が違うのかについて国民的な理解を得ながら、それは新規につくっていくことになるのだろう」
と述べ、新増設に前向きな考えを示した。
首相は21日の記者会見で、原発の新増設を原則認めないとした民主党政権の方針について「もう一度見直していきたい」と述べ、新増設を認める可能性を示唆していた。
首相は、
「当面の電力需要にどう対応していくかが国民も不安なのだろう。
だから、簡単に『脱原発』『卒原発』と、やや言葉遊びに近い形で言ってのける人たちは、(衆院選で)信用されなかったのだろう」とも述べた。
茂木敏充経済産業相も、27日の記者会見で、既に着工しているJパワー(電源開発)大間原発と、中国電力島根原発3号機の建設を容認する方針を表明。
着工前の原発の新増設についても、「専門的知見を十分蓄積したうえで、政治判断していきたい」と含みを持たせていた。
国内には、未着工の原発建設計画が9基ある。
大半は、開発当初の設計に安全性や効率面で改良を加えた「改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)」「改良型加圧水型軽水炉(APWR)」と呼ばれる原子炉を採用している。
新増設を認めた場合、「2030年代に原発稼働ゼロ」という民主党政権の方針は、白紙に戻る。
首相は29日、
「直ちに政策になっていくということではない」と述べゼロ方針を踏襲しない意向で、「脱原発依存」の転換を図る姿勢が鮮明になっている。
ただ、自民、公明両党は、連立政権合意に「可能な限り原発依存度を減らす」ことを盛り込んだ。
公明党は新増設に反対の立場で、原発政策を巡り温度差が生じている。【中島和哉】
よく、戦争の時とそっくりやと言うのを聞く。
わたしは戦争を知らんと生きてきた。
けども、こちらで、イラク戦争になだれ込んでいった時の、なんとも言えん、抵抗の仕様がない、反対しても全く歯が立たんという実感、
国や軍みたいな、ものすごく大きな権力を持つ人間が一旦決めたら、もうどうにもならんという現実をまざまざと見せつけられたあの虚無感、
ハンパやない人数の市民が、多分特に両海岸の人間が、必死になって訴えて、それが全国に広がってって、あちこちで声が上がったのに、
マスコミのプロパガンダの凄さと、テロで生じた怒りや悲しみを巧妙に利用する狡さと、テロがまた起こるというデマを流しては恐怖心を煽る横暴さでもって見事に潰された。
あの、まさに、坂道をころころと転げ落ちていくような感じ、しかも後になるほど加速していく恐怖感を、今の日本に感じてしまう。
小出氏の言葉から抜粋してもういっぺん。お願いやから、よう読んで、よう考えて、周りをよう見てください。
「国がきちっと、どこの原子力発電所は何万kw、火力発電所が何万kwというデータを公表していますし、
そのデータを見る限りは、現時点で原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなる時も停電にはならないのです。
その事をみなさん、どうしてわかってくれないか、私には大変不思議です」
「要するに、国家という存在が戦争をやると決める。
あるいは、原子力をやると決めて、いわゆる体制というものが全部で、それにのめり込んでいくという、そういう流れだったのだと思います。
戦争はもちろんそうでしたし、原子力もそうでした。
マスコミも含めてみんなが、原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れをつくってしまって、
国民の多くは、それをただただ信じてきてしまった、という流れだったと思います。
でも、少なくても、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです。
苦しみがなにも軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と、私はお願いしたいと思います」
「こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、
その全ての負担を、国民、そして今苦しめられている人たちに、また負わせようとしている」
「東電が廃炉にしていく費用を税金、つまり「私らの」と水野さんのお金でもあるわけだし、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、
何よりも、福島第一原子力発電の事故で、今家を奪われて流浪化している人たち、そして、汚染地帯に捨てられてしまった人たち、
そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済する」
「また、自民党は多分、参議院選挙までは、あまり明確に、進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうような事になれば、「もうそれで終わり」という事になると思います」
今度の選挙だけはもう、どないしても「あ~あ」では済まされへん。
そう、腹の底から思う。
↓以下、転載はじめ
「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と私はお願いしたいと思います。小出裕章氏12/31報道するラジオSP(文字起こし)
新しい年になりました。
2013年1月1日の初めての文字起こしが、小出先生であった事がとても嬉しいです。
でも内容は、「2030年代原発ゼロ」どころではなく、新しい原発をつくる、という安倍首相の話でした。
報道するラジオ 来年の話をしよう!
鬼が笑う年末スペシャル2012 1179MBSラジオがお送りしています。
水野:
毎日新聞専門編集委員近藤勝重さんと、わたくし水野晶子で、スタジオをお送りしています。
近藤さん、ここからしばらくの時間はですね、原発について、小出先生とお話しいただこうと思っております。
さっそくお呼びいたしましょう。
京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。
小出さ~ん、こんにちは、というか、こんばんはになりましたかね。
小出:はい、こんばんは。
水野:近藤さんはお久しぶりでございませんか?
近藤:いや;あ、お久しぶりです。お元気ですか?
小出:はい、何とか生きています。
水野:
今日も、この大晦日という日に、小出さんとお話しさせていただく、大変お忙しいのに申し訳ないんですが、
やはりどうしても、今年2012年にね、原発をめぐる動きがどうであったのか?
そして、来年どうなっていくのか?っていうのは、なんとしても小出さんに伺いたい、という思いがございます。
そして、小出さんに質問したいというリスナーの方も、いろいろと送ってきて下さっているんです。
で、まず一番多くのお声を頂いているのは何か?と言いますと、今日、毎日新聞の一面トップ。
近藤さん、これ、毎日新聞がドドンと掲げましたね。
近藤:ええ。
日本にもっと原発・新設
水野:
「安倍首相原発新設に意欲」
つまり、新しくつくるという意味ですね。
「新たにつくっていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした福島第一原発のものとは全然違う。
何が違うのかについて、国民的な理解を得ながら、それは新規につくっていくことになるのだろう」
というふうに、安倍総理がおっしゃったと。
つまり、新しくつくって増やしていく、という事ですね。
近藤:ん。
水野:
これについてですね、聞いて下さっている方が多いんです。
「大掃除しながら聞いていますけど、え、え?そういうことなんですか?再稼働に向けてどんどん動き出しているということなんですか?」とかですね、
「ホンマに前とは違う、福島とは違うものなんでしょうか?」って言うふうに聞いて下さっているんです。
ここのところからまず始めたいと思いますが、まずこの、安倍総理の発言について、どうお感じになります?
小出:
呆れた人だと思います。
水野:
そうですか。
「今の原発は昔のものと全然違う、と安倍さんは言いますが、じゃあ、具体的に、どこがどう違うんですか?小出先生教えて下さい」とおっしゃっております。
いかがでしょう?
小出:
まず、日本で、原子力というものを進めてきたのは、自民党なんですね。
福島第一原子力発電所も含めて、日本国内に、50何基もの原子力発電所を建ててしまったのは、全て自民党のせいです。
福島第一原子力発電所の事故を起こしたのも、自民党のせいです。
その自民党が、また新しい原子炉をつくるというような事を言っているわけですが、
福島第一原子力発電所だって、自民党が、安全な原子力発電で運転していい、と許可を出したものなのです。
水野:
そうか、そうかそうですね。
自民党政権の時に、政府が許可を出したんですよね。
小出:
そうです。
「日本の原子力は技術が進んでいる」「日本だけは事故を起こさない」と言うような事を、自民党がずーっと言いながらきて、事故を起こしているのです。
先ず、その責任というものを、安倍さん自身がきっちりと言わなければいけないし、
これから新しい原子力発電所をつくるというなら、先ずそれが、どこがどう違っているかを、安倍さん自身が言わなければいけません。
そして、私から見れば、まったく変わっていないのです。
今は改良型の軽水炉、改良型の加圧水型原子炉、改良型の沸騰水型原子炉というようなものを、これから作るという事を言っている訳ですけれども、
水野:
「改良型」っていう名前が付いているんですね。
小出:そうです。
水野:
そうすると私たちは、素人は、「あ、改良されたんだ」「大丈夫なんだ」というイメージを持つわけです。
小出:
はい。
技術というのは、少しずつ進歩していく訳で、悪いところを見ながら改良していく、というのは当たり前な事なのであって、
1年経てば、少しずつまた改良されているというのは、当たり前の事なんですね。
で、特に日本の場合には、その改良という事が、たとえば原子炉の大型化であったり、経済性の追求であったり、そういう事で来てしまったわけで、
改良というのはむしろ、私から見ると、改悪になってしまっているのです。
水野:あぁ~……、
小出:
で、いかなる原子力発電所も、原子炉というものを使う限りは、放射能をつくってしまいますし、
機械である以上は、壊れるという事は時にはある、と覚悟をしなければいけないものなのです。
そういう意味で言えば、全く変わっていない旧態依然、また自民党がやろうとしている、という事です。
水野:
う~ん……近藤さん、自民党安倍政権は、その原発推進シフトで、閣僚はかなり固めているんですってね?
近藤:
う……ん、そうですよ。甘利さんとかね、
いずれにしても僕は、12政党の中で、脱原発に最も消極的だったのが、自民党だったわけです。今度の選挙でも。
小出:そうですね。
近藤:
で、にも関わらす、それが政権政党になっちゃったわけです。
そこのところがね、自民党のものの言い方っていうのが、結構いろいろとあいまいな部分があって、
「原発に依存しなくてもいい社会を目指す」っていう予防線を張ったり、いろんな事を言って、なんとなく争点からぼかしていったんですよ。
水野:選挙の時に、争点になかなかなりませんでした。
近藤:
ですからね、そういう争点外しを意図的にやったうえで、今になってですよ、原発新設に意欲を示すような発言をするっていうのは、
それはやっぱり、千年に一度と言われる未曽有の災害、その事のいろんな豊かさの本質とか、そういうことを問う選挙でね、
原発の問題の是非を本当に問う選挙でね、そういうことをはずして国民に投票させて、そしてそののちにですよ、こういう事を言い出すっていうのはね、僕はある意味、それはフェアーじゃないと思うんだよね。
だから、ここはやっぱり公明党がね、一緒に政権をつくっている訳ですけれども、その話にどう反応するのか?って言う事をね、
とりあえず、そこのところを見なくちゃいけないなっていう気がしていますけどね。
東電の刑事責任
水野:
小出さん、今起こっている事のもうひとつの側面でね、福島原発の事故をめぐって、検察当局が、東電の幹部から事情を任意で聞いているっていう、そういう事実もあるんですね。
で、あの……このポイントがどこか?って言いますと、
「津波の危険性を予測しながら、津波に対する安全対策を怠ったんじゃないか」
そこがどうだったんだ?って言うのがポイントになっている、という事なんですよ。
これについて、小出先生はどう見てらっしゃるか、教えていただきたいんですが。
小出:
もちろん、津波に対しての対策を怠っていたのですね。
で、それだけではなくて、原子力発電所が機械であって、さまざまな要因でその機械が壊れるという事について、十分な対策を取らないまま来てしまったわけです。
もちろん、「地震という出来事で、原子力発電所の一部が壊れたかもしれない」という事は、
福島第一原子力発電所の国会事故調査委員会すらが指摘しているわけで、東京電力の責任は、私はモーレツに重いと思います。
たとえば、皆さん考えていただきたいのですが、どこかのちいちゃな町の工場が、毒物を周りになにか漏らしてしまって、周辺の人に迷惑をかけたというような事をすれば、
すぐに警察が踏み込んで、何がしかの法的な手続きを取る筈だと思いますけれども、
福島第一原子力発電所の事故の場合には、何十万人もの人が家を奪われる、そしてその中で、命を落としていくという事が進行してきている。
今でも進行しているわけですし、何百万人もの人が、放射線の管理区域に指定しなければいけないようなところで、生活を強いられてしまっている、という事実があるのです。
それなのに、東京電力の会長社長以下、誰も責任を問われていないという、この国はいったいどういう国なのか?と、私は思います。
近藤:
刑事責任のレベルで言うと、津波の高さをね、どの程度彼らが想定していたか、というのが大きなポイントなんですよね。
水野:ポイントになるんですよね。
近藤:
だから、いわゆる6m説、15m説、いろいろあるけれども、東電の現場では、たとえば15mと見ていたとすればね、
その対策を取っていたか取っていないという事になると、大きな違いがあるわけですよね。
だから、地検が関心を持っているのは、まずとりあえず、「津波の高さをどの程度想定できてたか?」
水野:ああ、そこになるんですか。ただ、
近藤:できてないっていう
水野:事であれば、責任を問えなくなるわけですね。
近藤:いわゆる予見、可能性の問題だよね。
水野:
でもそうしますとね、あの、ある意味、津波の危険性をどう捉えていたか?っていうポイントの、ま、訴訟だからそれはしょうがないんでしょうけども、
告訴告発があっての事だから、しょうがないのかもしれないけれども、じゃあ「津波が無かったら原発は安全なんだ」と、いう話にもつながっていきやすい論理じゃないですか?
近藤:
それは、またその話の別個の性格として出てきますよね。
ただ、とりあえず起きた事故は、その津波と無縁じゃないわけで。
水野:もちろんね。
近藤:大いに関係があるわけだからそこを、
水野:そこで今は、
近藤:過失を問えるか、問えないか?というのは、そこのところが大きいという判断はあると思うんですよ。
水野:でも、過失を問えない可能性もある、ということですね。
近藤:あるでしょうね。
水野:はぁあ~……、
近藤:あの、刑事事件的に言えばね、ん……そういう性格のもんでしょうね。
全ての原発が止まった日~大飯再稼働
水野:
小出さ~ん、
今年というのは、5月5日に、全ての原発がストップしたんですよね。
小出:そうでしたね
水野:あの時の小出さんの言葉を私、覚えているんですよね。
小出:はい。
水野:「ああこんな日がやってくるんだ」という、非常に感慨深いものがおありだったと思うんですが、
小出:はい。嬉しかったです。
水野:
ねぇ、そうおっしゃった。
しかし、続きませんでしたね、その状況は。
小出:そうでしたね。
水野:
んーーー、
その後、ま、2カ月弱で、大飯の3号機が再稼働するという形、7月1日に再稼働しましたので、2カ月弱で、全ての原発が停止している状況は日本から消えました。
小出:はい。
水野:
で、その間ね、あの、何があってそういうふうになったのか?って、いろいろ見ていくと、たとえば、大飯の再稼働に反対していた関西広域連合が、
「限定的だったら再稼働は認めざるを得ない」というふうに態度を変えたと、いうような事もあります。
小出:はい、
水野:
そしてどんどん、どんどん雰囲気が変わって行ったんじゃないかと思うんですけれど、小出さんは、そのあたりはどんな風に、日本の人達の気持ちの変化を見ていらっしゃいますか?
小出:
大飯の再稼働という事は、「再稼働をしないと停電になるぞ」という脅しをかけられたのです。
ですね、で、橋下さんなんかは、ころりと再稼働反対から容認に変わってしまうと、いうことになりました。
しかし、事実でいうのであれば、大飯なんか再稼働させなくても、電気は十分足りたのです。
それを、国民がみなさん騙された。
橋下さんも騙されたふりをして、結局認めていくという事になりました。
私は、日本の電力需給の状況というのを、もっとみなさんが、しっかり知らなければいけないと思いますし、
国や電力会社は、正直に、現在の状況というものを説明するべきだ、と私は思います。
水野:
実際、再稼動無しでも、この夏電力不足にならなかったというのは、ま、後で検証してみたらはっきりしたんですよね。
小出:
もちろん、後でしてもハッキリとしましたし、初めから分かっていた事なのです。
水野:
小出先生は、初めから分かっているとおっしゃって、そのベースになるデータは、国が出してるっておっしゃっていましたよね。
小出:
そうです。
国がきちっと、どこの原子力発電所は何万kw、火力発電所が何万kwというデータを公表していますし、
そのデータを見る限りは、現時点で原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなる時も停電にはならないのです。
その事をみなさん、どうしてわかってくれないか、私には大変不思議です。
近藤:
そこのところが先生あれなんでね、選挙の間、そこのところが浸透してたら、また話がちょっと変わってたんだよね。
小出:と思います。
活断層
近藤:
それとね、ぼくね、先程、自民党の責任云々の話で、どうしても今日……付け加えて、先生の事に付け加えて言いたいんだけど、
東通原発の問題で、学者の方全員でしょ、全員が活断層の危険を言うてますよね。
小出:はい
近藤:
にもかかわらず東北電力は、それを「膨潤」だと、地下水を吸ってるんだと、いうことで、要するに、安全なんだという事でまかり通ったでしょ、
で、まかり通した事で、誰の政権の時だったのか?と考えれば、これも自民党ですよね。
そうすると、この手の活断層をめぐるいい加減な、ある意味いい加減な処理の仕方、あるいは、その時何がどうでOKになったのか?という、その経過。
ここらあたりをもう1回やる事がですね、あの、僕、すごく大事じゃないかと最近よく思うんですよ。
こんないい加減な形で、ぼんぼんぼんぼん原発が出来ていったのか、と、
今ぞっとするような感じの、要するに、いわゆる原子力ムラっていうのは、こういうことだったのか?!みたいなね、実態すら、そこに私なんか感じるんですけどね、
小出:
そうですね。
マスコミの方、報道の方にもっとしっかりと、こういう事実をきちっと調べて、報道して欲しいと願います。
近藤:
ほんとうに、今になってね、なんかそういう事を言っても、なんかある種の虚しさがあるんだけども、いまからでも、追及する側としては遅くない気がするんですよね。
小出:そうですね。
民主党の2030年代原発ゼロ
水野:
やらねばならない事ですよね。
あの、そして今年、かえすがえすも、「あの時何でああなったんやろ?」と思いますのは、
民主党がね、2030年代原発ゼロって言っておきながら、閣議決定しませんでしたよね。
あのあたりのところを小出先生はどう見ていらっしゃいますか?
小出:
情けないことだと思いました。
もともと民主党政権が、国民にパブリックコメントというのを求めて、2030年にゼロにするのか、15にするのか、25にするのか、と言って意見を求めたのですね。
水野:なん%原発に依存するのか?っていう話ですね。
小出:
そうですね、
そして、その政権の求めに応じて、多くの国民が意見を寄せました。
そして、その大部分はゼロにせよと。
そして、2030年ではなくて、即刻ゼロにしろ、という意見が多かったのです。
水野:そうでしたね、はい。
小出:それを受けて民主党政権は、今度は30年代という、一つ「代」という言葉を付け加えて、
水野:最初は、2030年まででしたよね。
小出:
そうです。
2030年に、と言っていたんですが
水野:
に、ゼロにするというてたのに、気が付いたら2030年代に、10年も増えていましたよね
小出:
2039年12月31日までに延ばしてしまった。
つまり、10年そこで、パッとサバを読んでしまったわけで、それでもま、一応はゼロを目指すと言ったのですね。
だから、その閣議決定すらが出来ないという状態で、情けない政権だな、と私は思いました。
近藤:
これは先生、すごく大きかったんですよ。
僕は、民主党政権の普天間の問題もおかしかった。
そして、八ッ場ダムもおかしかった。
そこへもってきて、30年代でぼやけてしまって、閣議決定しなかったでしょう。
そういう連続の中で、主党に対するイメージって言いますかね、なんかこう、ぼやけちゃったですね。
小出:
そうでしょうね、こんな政権はやはり支持を失う、と私は思います。
福一廃炉の費用は国が負担
水野:
その間ですね、株式市場でなにが起こったか?
東京電力の株価はですね、ま、事故後ずーっと落ちて言ったわけですけど、今やですね、一番低かった夏場の株価の、倍以上に跳ね上がりました。
えー、安倍さん達自民党が圧勝、と伝えられた直後の東京電力の株価は、もうこれ以上値がつけられませんというストップ高にまでなるという、跳ね上がったんですよね。
で、小出先生ね、さらにこんなことを、安倍さんは言っています。
「福島第一原発の廃炉の作業を、政府が全面支援する」というふうに言っているんですね。
「政府として、それはやってもらわなきゃあかん」という気がする一方で、
という事は東電が廃炉にしていく費用を税金、つまり、私らのお金で負担していくっていう事になるん違うんですかね。
小出:
そうですね、
「私らの」と水野さんのお金でもあるわけだし、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、
何よりも、福島第一原子力発電の事故で、今家を奪われて流浪化している人たち、そして、汚染地帯に捨てられてしまった人たち、
そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済するということをやるのです。
水野:
そういう事になりますよね。
ハァー、廃炉に、福島についてもね、「廃炉にホンマにできるんですか?」と聞いていらっしゃいますけど、それぐらい思うような廃炉って、お金はどのくらいかかるんですか?
小出:
わからないのです。
ようするに、人間が初めて遭遇した事なのですね、今。
一度に4基もの原子炉が溶け落ちてしまって、放射能がそこから噴き出してきている、という状況になってきてしまっているわけで、
一体どうやれば廃炉に出来るのか?その事自身が分からないのです。
もちろん、東京電力が、自分でやろうとすれば簡単に倒産するいう、それほど難しい事なのであって、
日本の国家が、もちろん、なにがしかの財政負担もやらなければならないというのは当然なことなのですけれども、
こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、
その全ての負担を、国民、そして今苦しめられている人たちに、また負わせようとしているのです。
ーCM-
「原発推進」なんでこうなるの?
水野:
小出さ~ん、引き続き伺いたいんですけれども、多くの方達が脱原発を望んだ、という事実があります。
しかしながら、今になったらですね、選挙で大勝した政権のリーダーは、「新しく作っていく」ということに意欲を示しているという、これがいま日本の実情なんですよね。
小出:そうですね。
水野:
「なんでこんなことになるのか?」ということを、ま、いろんな見方があると思いますけど、小出さんはどう思います?
小出:
まぁ、また騙されたのですね。
水野:
また騙された。ですか。
小出:
要するに、近藤さんが先程、きちっとおっしゃって下さったけれども、選挙の時には、自民党が明白に、自分たちは進めるという事は言わなかった。
水野:
ま、「10年でいろいろ考えます」、みたいな話でしたね。
小出:
でも、初めから進めるという事を、彼らは明白に腹をくくっていた訳ですし、それを言わないまま選挙というものが行われて、国民がまた騙されたという事です。
水野:
あの、このぅ、「騙された」という感覚ね、
ん……確かにそれは騙されたかもしれないけれど、わたしは、自民党は、こんなふうに原発政策を考えているだろうというのを、安倍さんがハッキリおっしゃらなくても感じていましたよ。
小出:
そうですね( ´艸`)★。、::。.::・'゜
水野:
小出先生ももちろん、小出先生はもちろんですけれど、感じている人は私だけじゃなくて、「あ、自民党は多分こうするんだろうな」って、感じてたんじゃないですかぁ?
近藤:
騙されたっていうかね、要するに、優先度が下がったんですよ。
国民の意識の中で、自民党のものの言い方で。
水野:
もう、今すぐ株をあげて欲しい、自分の暮らしをよくしてほしい意識が上がったっていう事ですか?
近藤:
うん、そっちの方がむしろ、いわゆる生活者レベルの方の感覚の方が上にあがっちゃったんだね。
そやけど、本当言うと、やっぱり主権者、主権者としての感覚が、一番優先されなければならない総選挙だったんだわ。
水野:本当はね。
近藤:うん。
水野:
そこのところを騙された。
騙されてしまう私たちっていうところを、小出さんはどう見ていらっしゃるのか。
小出先生もね、子どもの頃は騙されたっておっしゃってたじゃないですか。
戦後間もない時代にね、子ども時代を迎えられて、あの、戦争の話とこの原発の話って、ちょっと似ているところがありませんか?
小出:
はい、私はずっとそう言ってきましたし、私が関わり続けてきた原子力の歴史というものを見ると、「戦争の時とそっくりだな」と思い続けてきましたし、今でもそう思います。
水野:
どういう事でしょう?
小出:
要するに、国家という存在が戦争をやると決める。
あるいは、原子力をやると決めて、いわゆる体制というものが全部で、それにのめり込んでいくという、そういう流れだったのだと思います。
戦争はもちろんそうでしたし、原子力もそうでした。
マスコミも含めてみんなが、原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れをつくってしまって、
国民の多くは、それをただただ信じてきてしまった、という流れだったと思います。
でも、少なくても、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです。
苦しみがなにも軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と、私はお願いしたいと思います。
水野:
何で私たちは、騙されてしまうんでしょうか?
小出:
今、近藤さんがおっしゃって下さったけれども、やはり生活、日々の生活。
もっと景気が良くならないかとか、そういう事にやはり、どうしても引きずられてしまうということが、一番大きな要因だと思います。
水野:
ん……あの、戦争についても近藤さん、あれですね、「責任をちゃんと取れているのか?」という事を、ずっと問われ続けてきた日本ですよね。
近藤:
ええ、広島・長崎を見て、そして福島を見た訳ですよ。
これは要するに核と原子力の負の連鎖ですよね。
こんな国ないですよ!
水野:うん
近藤:
ない!
時に選挙があったんだけど、その答えが出なかった。
水野:
私達は出せなかった、
近藤:
そうですね、そういうことがね、辛いところです
水野:
自民党の得票率が、ね、決して上がっている訳ではないという事実が、そこにあるわけですね。
えー、小出さん、あの、この番組は「来年どうなっていくのか?」という話をみなさんに伺っているんですが、
小出さんはこの原発問題に関して、どう見ていらっしゃいますか?
小出:
少なくとも、自民党が政権を取ったわけですから、脱原発、あるいは、原子力をゼロに目指していくという流れは、「大きく変えられてしまうだろう」と、私は思います。
ただし、このまま反省のないまま、また、新しい、再稼動どころでないんですね、自民党の場合は。
水野:
新しくつくるんですから。
小出:
そうです、再稼働なんか当たり前で、さらにまた、新しくつくるというような事を、自民党という政党が言っているわけですね。
私は、そんな事は到底させたくないと思っていますし、次の参議院選挙がまたあるわけですから、きちっと皆さん考えていただきたいと思います。
水野:
そうですね、また来年7月に、私たちが問われる段階がやってくるんですね。
小出:
そうですね。
水野:でも、その時また、あの、この……原発の問題は隠れるかもしれませんね。
小出:
また、自民党は多分、参議院選挙までは、あまり明確に、進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうような事になれば、「もうそれで終わり」という事になると思います。
水野:
小出さん、あのー、また、来年「希望のある話を聞かせて下さい」なんて簡単に言えないんですけれど、何とか希望のある話が出来ればと願っております。
小出:
と、思います。
水野:
どうもありがとうございました。
京都大学原子炉実験所小出裕章さんに伺いました。
ーーー
安倍さんは、2012年4月5日報道ステーションで、原発に関してこう語っていらっしゃいました。
「えーっと、わたくしはですね、賛成とか、反対とかいう事ではなくて、再稼働が必要であると考えています」
我々は、過酷な事故を経験したが、それに委縮することなく、わたしたちの知恵と技術で克服していこう。
「原発再稼働わたしはこう思う」安倍晋三4/5(動画・内容書き出し)
この時はまさか、安倍さんが、また総理大臣になる日が来るなんて、想像力が豊かな私にも想像できませんでした。
これほどの圧勝で自民党が勝つという事も、私には想像できませんでした。
(私の想像力もショボい(。♋ฺ‸♋ฺ。)ウルウル)
投票所は、今までと違う年齢層の、小さな子どもを連れた人々で、長い長い行列が出来ていました。
あの方々は、みんな自民党に入れたのでしょうか?
開票速報も、開票率が10%なのに確定が出ています。
やっぱり、どうしても気になります。
投票用紙は、人々の手で、2日ぐらいかかってもいいからキッチリと数えて欲しい、と思っているのですが……。
国民は本当に、そんなに簡単に騙されてしまうものなのでしょうか?
だけど、私の周りを見てみると、騙されているのかもしれないとも思います。
騙されているというか、なんにも考えていないんじゃないかな?と。
やっぱコロコロ騙されてしまうようなおバカなんだなぁ~きっと(◞‸◟ㆀ)。
おバカというよりも、自分の事以外に関心がないのかも、と思います。
危機感も無いのかな?とも思います。
参議院選挙までに国民の目を覚まさせるためには、何が出来るんだろうか?
安倍首相:「国民的な理解を得て」…原発新増設に前向き
毎日新聞 2012年12月30日 21時23分(最終更新 12月30日 23時06分)
安倍晋三首相は30日、首相官邸でTBSのインタビューに応じ、今後の原子力政策について
「新たにつくっていく原発は、40年前の古いもの、事故を起こした(東京電力)福島第1原発のものとは全然違う。
何が違うのかについて国民的な理解を得ながら、それは新規につくっていくことになるのだろう」
と述べ、新増設に前向きな考えを示した。
首相は21日の記者会見で、原発の新増設を原則認めないとした民主党政権の方針について「もう一度見直していきたい」と述べ、新増設を認める可能性を示唆していた。
首相は、
「当面の電力需要にどう対応していくかが国民も不安なのだろう。
だから、簡単に『脱原発』『卒原発』と、やや言葉遊びに近い形で言ってのける人たちは、(衆院選で)信用されなかったのだろう」とも述べた。
茂木敏充経済産業相も、27日の記者会見で、既に着工しているJパワー(電源開発)大間原発と、中国電力島根原発3号機の建設を容認する方針を表明。
着工前の原発の新増設についても、「専門的知見を十分蓄積したうえで、政治判断していきたい」と含みを持たせていた。
国内には、未着工の原発建設計画が9基ある。
大半は、開発当初の設計に安全性や効率面で改良を加えた「改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)」「改良型加圧水型軽水炉(APWR)」と呼ばれる原子炉を採用している。
新増設を認めた場合、「2030年代に原発稼働ゼロ」という民主党政権の方針は、白紙に戻る。
首相は29日、
「直ちに政策になっていくということではない」と述べゼロ方針を踏襲しない意向で、「脱原発依存」の転換を図る姿勢が鮮明になっている。
ただ、自民、公明両党は、連立政権合意に「可能な限り原発依存度を減らす」ことを盛り込んだ。
公明党は新増設に反対の立場で、原発政策を巡り温度差が生じている。【中島和哉】
よく、戦争の時とそっくりやと言うのを聞く。
わたしは戦争を知らんと生きてきた。
けども、こちらで、イラク戦争になだれ込んでいった時の、なんとも言えん、抵抗の仕様がない、反対しても全く歯が立たんという実感、
国や軍みたいな、ものすごく大きな権力を持つ人間が一旦決めたら、もうどうにもならんという現実をまざまざと見せつけられたあの虚無感、
ハンパやない人数の市民が、多分特に両海岸の人間が、必死になって訴えて、それが全国に広がってって、あちこちで声が上がったのに、
マスコミのプロパガンダの凄さと、テロで生じた怒りや悲しみを巧妙に利用する狡さと、テロがまた起こるというデマを流しては恐怖心を煽る横暴さでもって見事に潰された。
あの、まさに、坂道をころころと転げ落ちていくような感じ、しかも後になるほど加速していく恐怖感を、今の日本に感じてしまう。
小出氏の言葉から抜粋してもういっぺん。お願いやから、よう読んで、よう考えて、周りをよう見てください。
「国がきちっと、どこの原子力発電所は何万kw、火力発電所が何万kwというデータを公表していますし、
そのデータを見る限りは、現時点で原子力発電所を即刻全て止めたところで、いついかなる時も停電にはならないのです。
その事をみなさん、どうしてわかってくれないか、私には大変不思議です」
「要するに、国家という存在が戦争をやると決める。
あるいは、原子力をやると決めて、いわゆる体制というものが全部で、それにのめり込んでいくという、そういう流れだったのだと思います。
戦争はもちろんそうでしたし、原子力もそうでした。
マスコミも含めてみんなが、原子力こそ夢のエネルギーで、事故など決して起こさないというような宣伝、流れをつくってしまって、
国民の多くは、それをただただ信じてきてしまった、という流れだったと思います。
でも、少なくても、原子力に関しては、福島第一原子力発電所の事故というものが起こって、今現在進行しているのです。
苦しみがなにも軽減されないまま、人々の苦しみが続いているわけで、「せめてしっかりと目を見開いてみて下さい」と、私はお願いしたいと思います」
「こんなことを引き起こした責任というものをまず、東京電力も、そして自民党という政党も、自覚をしなければいけないと思いますし、
その全ての負担を、国民、そして今苦しめられている人たちに、また負わせようとしている」
「東電が廃炉にしていく費用を税金、つまり「私らの」と水野さんのお金でもあるわけだし、私のお金、近藤さんのお金でもあるわけだし、
何よりも、福島第一原子力発電の事故で、今家を奪われて流浪化している人たち、そして、汚染地帯に捨てられてしまった人たち、
そういう人たちのお金を使って、東京電力を救済する」
「また、自民党は多分、参議院選挙までは、あまり明確に、進める進めると言わない作戦に出るんだろうなと思っています。
そして、また国民が騙されて、自民党を支持してしまうような事になれば、「もうそれで終わり」という事になると思います」
今度の選挙だけはもう、どないしても「あ~あ」では済まされへん。
そう、腹の底から思う。