ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「原子爆弾の製造に、ドイツ人が成功しないと知ってたら、指一本動かすんではなかった」

2013年01月06日 | 日本とわたし
みっつの、東京新聞紙面に掲載された記事を、書き起こしました。




原発 良識ある撤退 鎌田 慧(かまた さとし)

明けましておめでとうございます。
といいながらも、「めでたさも中くらいなりおらが春」と反芻している。
あと100日ほどで、福島原発爆発事故から2周年。
いまだ収束のメドたたず、多くのひとびとが苦しみと不安のうちに年を越した。
「高濃度放射能放出事件」ともいえる歴史的な大事故は、目下継続中だが、忘れたがっているひともいる。

「官軍と夷虜(いりょ)の死の事古来幾多(いくた)なり。毛羽鱗介(もううりんかい)の屠(と)を受けし過現無量(かげんむりょう)なり」

岩手県平泉にある世界文化遺産・中尊寺の落慶供養に寄せた初代・藤原清衡の「願文(がんもん)」である。

東北を攻めたてた官軍と蝦夷(えみし)軍の戦死者は、古来膨大な数だった。
そればかりか、鳥獣魚介類の死もまた無数、すべての生きとし生けるものを浄土へ導きたい、とする祈りである。

空を飛ぶ鳥、海を泳ぐ魚、森を走る小動物、川岸で歌う昆虫や田園の作物、その地下に生息するチョウやセミの幼虫、ミミズの果てにいたるまで、わたしたちの世界はいのちの連環でつながっている。
そのすべてが、世にもおぞましい放射能に冒されている事実に、思いを馳(は)せることなく、まだ原発をつづけようとするものがいる。
神を畏れぬ傲慢(ごうまん)、といっていい。

核実験を成功させた瞬間、科学者たちは、そのあまりにも強大な破壊力に恐懼(きょうく)し、アラジンのランプから、この世に魔物を引きだしてしまった、と後悔した。


アインシュタインを原爆開発に動かしたのは、ナチスが先にウラン爆弾を成功させることの恐怖からだった。
「原子爆弾の製造にドイツ人が成功しないということを知っていたら、指一本動かすんではなかった」とほぞを噛(か)む思いで語った(ロベルト・ユンク『千の太陽よりも明るく』菊森英夫訳)

恐怖の妄想から原爆が生みだされ、広島、長崎市民の頭上に投下された。
原爆は、悪魔的な産物の廃棄利用だったのだから、正当性のあるものではない。


「原発で、手足ちぎられ酪農家」と、牛舎の黒板に書きつけて自殺した農民の悲劇を、わたしたちは忘れている。
たくさんの牛や豚や、小動物が死んだ。
津波で押し流された家族を探すのを阻んだのは、放射能の壁だった。
原発は、多くのひとたちを絶望させた。


新政権が、原発再稼動を強行したがっている。
経営的理由からだ。
しかし、事故後の収束作業で、すでに数人の労働者が、心筋梗塞などで死亡した。
原発は、人間の働くところではない。
非人間的な労働環境に、むりやり労働者を送り込むのは、非人間的行為である。
被曝(ひばく)労働者の犠牲によって維持される「快適な生活」を、このままつづけたくない。


原発労働者の家族が、夫や子どもの死を、「被曝死」として訴えても、この国の裁判官は認めなかった。
原発40年の歴史で、労災認定者は、たった13人だけである。


この地震列島に原発をもちこみ、54基も建設させたのは、わたしたちの無知だった。
核廃棄物は、わたしたちの無知だった。
核廃棄物は、10万年後の子孫まで恐怖させる。
原発は、瞬間的な快楽だった。
道徳的な頽廃(たいはい)だった、と気づいたいま、犠牲を子孫にまで先送りするのはやめよう。
脱原発は、歴史的責任である。




険しい廃炉 福島第一 東京新聞紙面より

東京電力福島第一原発は、大事故から二度目の正月を迎えた。
政府は一昨年暮れに「事故収束」を宣言したが、現場は高い放射線量のため立ち入れない場所が多く、
核燃料がどう溶け落ちたのか、原子炉はどう壊れているのか、ほとんど分かっていない。
廃炉への道のりは、険しさや高さも不明な未知の山に登るようなものだ。

水素爆発でぼろぼろになった3,4号機の、原子炉建屋の見た目は大きく変わった。
核燃料を取り出すためのクレーンを内蔵した、骨組みの建設準備が進んでいる。
両号機のプールには、計2千体超の使用済み核燃料があり、取り出しは非常に重要。
ただ、行程全体では、ふもとを少し登った辺りだろう。

その先、登山が続けられるかどうか、最も重要な分かれ目は、損傷した原子炉格納容器の修復だ。

圧力容器は、溶けた核燃料の熱で底が抜けた状態で、格納容器も穴や亀裂がある。
高い放射線量を放つ核燃料を取り出し、山頂に近づくには、格納容器に水を張って、圧力容器ごと水没させる条件をクリアすることが必須になる。
今は、汚染水の一部をくみ出して浄化し、冷却水に再利用し、使い切れない水は敷地内のタンクにためているが、限界が近い。

中腹に立ちはだかる難題は、格納容器に溶け落ちた核燃料の取り出し。
世界でも前例がない。
山頂に近づくと、廃炉による高レベルの放射性ごみの処分方法を確立する難関も待ちかまえている。




「あのときのおらたちは、浅はかだった」

原発マネーでハコモノ…住民に負の遺産

原発が立地する自治体は、受け入れの見返りに、財政的な優遇を受け、それを元手にさまざまな施設を建てた。
しかし、今やその維持費などがかさみ、ただでさえ厳しい地方の財政を、さらに厳しくしている。
その現場を見た。(小野沢健太・清水祐樹)

◇東通村
東北電力東通原発に加え、東京電力も含め、残り三基の新増設計画がある青森県東通村。
原発マネーを当て込み、役場周辺をモダンな町並みにしようとしてきたが、原発敷地内の断層問題で暗雲が立ちこめている。

役場近くには、人口増を見込んで、6億円かけ造成した分譲住宅地が円弧状に広がるが、120区画のうち42区画しか売れていない。
スーパーの出店計画も頓挫。
村には、年間約500万円の利子の支払いが残された。

村内の小中学校を一カ所に統合した立派な村立東通小・中学校も、役場近くにある。

児童生徒は各地からスクールバスで通学するが、500人の児童生徒は29の集落に分散。
バスは14台が必要で、年間の運行経費は約1億1600万円に上る。
この経費も、ほぼ全額を、電源立地地域対策交付金に依存。
これがなくなれば、教育も立ちゆかなくなる。

「娘が入学することに、きちんと運営できているのかしら」。
隣接の認定こども園で、3才の長女のお遊戯会を見に来た主婦・新谷美紀さん(42)は、不安そうに話した。

かつて、原発推進の旗振り役の一人だったという男性(72)は、役場近くにある温泉施設を訪れつぶやいた。
「あのときのおらたちは、浅はかだった」


◇玄海町
巨船のように、佐賀県玄海町の海にせり出す温泉施設『玄海海上温泉バレア』の姿に、同県神埼市の江頭忠男さん(77)がうなった。
「やっぱり原発絡みか。普通はこんな立派なもんは建てられんだろう」

人口6400人弱の町が2004年、観光客を呼び込もうと交付金で建設した。
だが、思惑は外れ、民間事業者に毎年約3000万円を支払って運営委託しても赤字続き。
最初の事業者は、2年で撤退するほどだった。
近くで貸しボート業を営んでいる中島治善さん(74)は、
「あれができて活気づいたなんてことはない」と、ため息をついた。
たまにバレアを利用するという高校生岩本愛里さん(18)は、
「何もない町だから、これくらいはあってもいい。原発が動けば何とかなるのでは」と話した。

ただ、このままの状態では、運営委託料と赤字は、町民がかぶり続けることになる。
町は、施設の目的を『地元の福祉』に変えたが、長期的な展望はない。
コメント (2)
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さんぽ日和な日曜日

2013年01月06日 | ひとりごと
昨日から、散歩日和が続いていて、こうなると家の中におられへんおっさんが若干一名。
先に外に出た。
この寒さに負けず、青々なカリフラワーさん。いっこも実をつけてくれんかったけど、この葉っぱだけでしゃ~わせ♪


見よ、このみずみずしさを!さぶいのに……。


旦那がてきと~に植えてしもたカエデの赤ちゃん。これがここまで育ってしもて……もうしっかり木やおまへんか……。


紫陽花は、どんな姿でも美しい。


松ぼっくりも美しい。


溶けしなの雪も美しい。


お昼寝石を侵略しようとしてる緑までもが美しい。



セントラルパークでぶらぶらするか、それともチャウなタウン、いや、ちゃうちゃう、チャイナタウンでぶらぶらするか、それを車ん中で決めよってことで出かけた。

旦那が、たったの一回だけ行って惚れ込んだカフェ。


古い古いホテルの中にある。


やめたのに、これはあかん、がまんするにもほどがある……あっさりと負け。


バラバラのテーブル、バラバラの椅子、バラバラのソファ。天井を見上げる。


2時間ぐらい平気かも。


あまりの美味しさに、コーヒーをおかわりしちゃった旦那、Oh My God! I'm flying! っちゅう歌を作ってたら……OMGが突如目の前に!


チャイニーズのおっちゃんおばちゃんが、おおいに盛り上がる公園。


ど真ん中にはなにやらステージのようなもんが。


上ってみた。こんな天井にはほれぼれ。


太極拳をする人ひとり。


そっから見た盛り上がりの図。


すぅ~っとしみこむ胡弓の音色。おっちゃん楽しそう♪


わしゃスズメや、文句あっか?


ちょっとあんた、一個わたしに分けてんか?


老人中心!


手作りビーフジャーキー。


美味そすぎな肉まん。


なんでも乾かしまっせ!


小腹が空いてきたので、飲茶のお店でちょっと一休み。


ひとり5ドル以下はお断りなり。昔の我が家の決まりはひとり400円まで。追い出されまくり。


麺を噛みしめると、ほのかに胡麻の香りがする。初めての食感。湯気でピンぼけ。


ショーウィンドで見た豚のひき肉スープ入り餃子。はふはふといただいた。


刑務所に入る前に入るとこ。←旦那の説明。


ボクはなにも悪いことしてません。


むむっ……通りの奥に見えるのは……。


この盛り上がり方はいかに……。


剣術の特訓中なり。ちょっと腰ひけてまっせ。


マンハッタンもクリスマスツリーの回収時を迎え、通りのあっちこっちでもみの木がごろんごろん。


ユダヤ教の建物なり。


地下鉄も週末はスカスカ。


チャイナタウンに行くと必ず髪の毛を切ってもらう旦那。短う切られ過ぎて寒いからって……。


その散髪中(というても、チャイナタウンの散髪屋さんは仕事が早い!ものの10分もかからへん)に、オーガニックのお茶屋さんで買うたお茶三種。

ハニーブッシュ。


心身ともに傷ついた人のためのお茶、REIKI(多分霊気のことか?)。


疲れを取り、気持ちを落ち着かせるためのお茶。


う~ん、いい香り。

しっかり休んで、明日からまた仕事仕事!
コメント (4)
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