まったく自分でも、中学生やないんやから、なに寂しがってるねん?と思う。
けど、けど、いきなりやってくるこの寂しさはなんやろう。
寂しいったら寂しい。
息をしても寂しい。
なんか見ても寂しい。
聞こえてくる音すべてが寂しい。
空気が寂しいから、だんだん息苦しくなってくる。
吸うたら吸うほど、肺の中が寂しなる。
肺が寂しなったら胸が苦しなる。
そんなふうに、すっかり寂しい繭の中に閉じこもって、体をよじっているところに、旦那とわたしの共通の友人がやって来た。
彼はアメリカ人で、日本人の女性と結婚し、娘がひとりいる。
いろいろ話してる間に、旅行の話になって、彼らの旅行予定を聞いたりした。
日本人の女性とアメリカ人の男性が結婚してるカップル。
そんな何組ものカップルを知ってる。
仲の良い友だちもいる。
みんなそれぞれに、ええ味出しながら暮らしてる。
事情も環境も年令も違う。
けど、その人たちに共通してることがある。
夏休みの、最低6週間、長くて2ヵ月は、子どもと一緒に日本に帰る。
それが当たり前という感覚。
それが当たり前にできる経済力。
そして、妻と子ども(子どもたち)が帰省してる間、こちらに残って働く会社員の夫。
旦那は必ず、ひとりで残ってる友人たちのことを心配して、一緒にどっかに行ったり飲みに誘ったりする。
息子たちがまだ中学生やった頃、自分には、何週間も日本に滞在できると思えんかった。
それだけの経済力もなかった。
夏には必ず減るレッスンやけど、それでもコツコツ教え続け、足らん分はバイトに行ったりした。
そうせんと、たちまち家賃が払えんようになった。
それになによりも、わたしには、気軽に帰れる実家というものが無い。
故郷というものが無い。
逢いたい人はおっても、甘えられるかというとそうでもない。
親が離婚したり、一家離散したりした子の行く末には、どうしようもない寂しさがつきまとう。
それを知ってて自分も離婚した。
そやから、息子らにも多分、大なり小なり、この種類の寂しさがつきまとう。
そんなことをうだうだ考えては寂しがってる日に、旦那の大学時代からの友人カップルからのお誘いで、プリンストン大学とペンシルバニア大学のバスケットチームの試合を観に行った。
行きの道中、車の中で黙ったまんまのわたしを、持て余してる旦那に申し訳なく思うのやけど、口から出てくるのはため息とあくびばっかり。
待ち合わせの時間ギリギリに、プリンストンにある彼らの家に着き、そこから彼らの車に乗っけてもらい、プリンストン大学へ。
友人カップルと旦那は、アイビー大学のひとつ、ペンシルバニア大学出身。
友人は、ベルギーで電話会社を設立し、そこで大成した後こちらに戻り、ここでもまた、巨大企業の長となった成功者。
プリンストンが故郷で、ふたりともに、親兄弟姉妹が近くに住んでいる。
絵に描いたようなハッピー家族やけれども、友人は数年前に、とても厄介な癌が耳の後ろにでき、そのために危うく命を奪われてしまうとこやった。
けれども、財力を惜しみなく使い、最高の医療を受け、右側の頬をえぐり取るという過酷な選択はあったものの、治療は成功した。
ふたりとも、ほんまにええ人たち。
そやけど、3人が一緒になるとやっぱり、懐かしい話でもちきりになる。
大学時代の話、幼馴染みの話、家族の話、その当時のアメリカの話……それらのことが、あって当たり前、覚えてて当たり前の人たち。
他事を考えてるわたしに気がついて、気を遣わせてしまうのがいや。
その瞬間に、空気の質が変わるのがいや。
そやから笑う。
いろんなことを話す。
わたしでも知ってるようなこと、知りたいと思うことを、できるだけ間をあけんようにしてしゃべる。
プリンストン大学の体育館。

中ではおなじみのグッズ販売。

プリンストン大学のチアガールさんたち。

オレンジがプリンストンカラー。試合はもう始まってた。

天井。

ベンチは古き良き時代の木製。

ベンチの後ろでは、室内陸上競技もできる。

一等席に陣取ってノリノリの、プリンストン大学マーチングバンド♪

学生の応援もノリノリ♪

チアガールズもノリノリ♪

それに比べて、二階の、それもえらい隅っこの暗がりに追いやられて演奏する、ペンシルバニア大学のマーチングバンド……ちょっとあからさま過ぎません?

ペンシルバニア大学のチアガールズさんも頑張る!

ペンシルバニア危うし!

作戦タイム!

ハーフタイムに、いきなり出てきたバーガーさん。スポンサーに、町のバーガー屋さんがいるらしい。

フリースローもあり、

最初のうちは、ちょいと固かった選手達も、だいぶ動きが出てきた。
みんな、近くで見たらデカイ。

ハーフタイムには、バンジージャンプがあるという情報があり、いったいどこからジャンプするんかいな?と訝ってたら、なんとチビッコたちによる縄跳びの演技披露。

これがまたすごかった。
日本では当たり前の縄跳びやけど、こちらの小学校では、縄跳びの練習など一切無し。
そやから、跳び方を知らんまんま大人になった人が多い。
だからこの子たちは、町の縄跳びクラブに入り、いろんな跳び方を習ってる。
ビデオに撮れんかったのがめちゃくちゃ残念!
なんでそんなことできるん?という、スーパー縄跳びが続出した。
試合は、残念ながら、ペンシルバニア大学の負け。会場は大いに盛り上がる。

お、ペンシルバニアも踏ん張ってる。

などと、写真を撮って気を紛らわしてるわたしを、心配そうにチラチラと観察する旦那。
かんにんね。
悪いなあと思てるのやけど、寂し病にかかったら、しばらくは放っといて。
これはわたしの心の問題やから。
気が済むだけ寂しがったら、ごめんなって言うから。
けど、けど、いきなりやってくるこの寂しさはなんやろう。
寂しいったら寂しい。
息をしても寂しい。
なんか見ても寂しい。
聞こえてくる音すべてが寂しい。
空気が寂しいから、だんだん息苦しくなってくる。
吸うたら吸うほど、肺の中が寂しなる。
肺が寂しなったら胸が苦しなる。
そんなふうに、すっかり寂しい繭の中に閉じこもって、体をよじっているところに、旦那とわたしの共通の友人がやって来た。
彼はアメリカ人で、日本人の女性と結婚し、娘がひとりいる。
いろいろ話してる間に、旅行の話になって、彼らの旅行予定を聞いたりした。
日本人の女性とアメリカ人の男性が結婚してるカップル。
そんな何組ものカップルを知ってる。
仲の良い友だちもいる。
みんなそれぞれに、ええ味出しながら暮らしてる。
事情も環境も年令も違う。
けど、その人たちに共通してることがある。
夏休みの、最低6週間、長くて2ヵ月は、子どもと一緒に日本に帰る。
それが当たり前という感覚。
それが当たり前にできる経済力。
そして、妻と子ども(子どもたち)が帰省してる間、こちらに残って働く会社員の夫。
旦那は必ず、ひとりで残ってる友人たちのことを心配して、一緒にどっかに行ったり飲みに誘ったりする。
息子たちがまだ中学生やった頃、自分には、何週間も日本に滞在できると思えんかった。
それだけの経済力もなかった。
夏には必ず減るレッスンやけど、それでもコツコツ教え続け、足らん分はバイトに行ったりした。
そうせんと、たちまち家賃が払えんようになった。
それになによりも、わたしには、気軽に帰れる実家というものが無い。
故郷というものが無い。
逢いたい人はおっても、甘えられるかというとそうでもない。
親が離婚したり、一家離散したりした子の行く末には、どうしようもない寂しさがつきまとう。
それを知ってて自分も離婚した。
そやから、息子らにも多分、大なり小なり、この種類の寂しさがつきまとう。
そんなことをうだうだ考えては寂しがってる日に、旦那の大学時代からの友人カップルからのお誘いで、プリンストン大学とペンシルバニア大学のバスケットチームの試合を観に行った。
行きの道中、車の中で黙ったまんまのわたしを、持て余してる旦那に申し訳なく思うのやけど、口から出てくるのはため息とあくびばっかり。
待ち合わせの時間ギリギリに、プリンストンにある彼らの家に着き、そこから彼らの車に乗っけてもらい、プリンストン大学へ。
友人カップルと旦那は、アイビー大学のひとつ、ペンシルバニア大学出身。
友人は、ベルギーで電話会社を設立し、そこで大成した後こちらに戻り、ここでもまた、巨大企業の長となった成功者。
プリンストンが故郷で、ふたりともに、親兄弟姉妹が近くに住んでいる。
絵に描いたようなハッピー家族やけれども、友人は数年前に、とても厄介な癌が耳の後ろにでき、そのために危うく命を奪われてしまうとこやった。
けれども、財力を惜しみなく使い、最高の医療を受け、右側の頬をえぐり取るという過酷な選択はあったものの、治療は成功した。
ふたりとも、ほんまにええ人たち。
そやけど、3人が一緒になるとやっぱり、懐かしい話でもちきりになる。
大学時代の話、幼馴染みの話、家族の話、その当時のアメリカの話……それらのことが、あって当たり前、覚えてて当たり前の人たち。
他事を考えてるわたしに気がついて、気を遣わせてしまうのがいや。
その瞬間に、空気の質が変わるのがいや。
そやから笑う。
いろんなことを話す。
わたしでも知ってるようなこと、知りたいと思うことを、できるだけ間をあけんようにしてしゃべる。
プリンストン大学の体育館。

中ではおなじみのグッズ販売。

プリンストン大学のチアガールさんたち。

オレンジがプリンストンカラー。試合はもう始まってた。

天井。

ベンチは古き良き時代の木製。

ベンチの後ろでは、室内陸上競技もできる。

一等席に陣取ってノリノリの、プリンストン大学マーチングバンド♪


学生の応援もノリノリ♪

チアガールズもノリノリ♪

それに比べて、二階の、それもえらい隅っこの暗がりに追いやられて演奏する、ペンシルバニア大学のマーチングバンド……ちょっとあからさま過ぎません?

ペンシルバニア大学のチアガールズさんも頑張る!


ペンシルバニア危うし!

作戦タイム!


ハーフタイムに、いきなり出てきたバーガーさん。スポンサーに、町のバーガー屋さんがいるらしい。

フリースローもあり、

最初のうちは、ちょいと固かった選手達も、だいぶ動きが出てきた。
みんな、近くで見たらデカイ。

ハーフタイムには、バンジージャンプがあるという情報があり、いったいどこからジャンプするんかいな?と訝ってたら、なんとチビッコたちによる縄跳びの演技披露。

これがまたすごかった。
日本では当たり前の縄跳びやけど、こちらの小学校では、縄跳びの練習など一切無し。
そやから、跳び方を知らんまんま大人になった人が多い。
だからこの子たちは、町の縄跳びクラブに入り、いろんな跳び方を習ってる。
ビデオに撮れんかったのがめちゃくちゃ残念!
なんでそんなことできるん?という、スーパー縄跳びが続出した。
試合は、残念ながら、ペンシルバニア大学の負け。会場は大いに盛り上がる。

お、ペンシルバニアも踏ん張ってる。

などと、写真を撮って気を紛らわしてるわたしを、心配そうにチラチラと観察する旦那。
かんにんね。
悪いなあと思てるのやけど、寂し病にかかったら、しばらくは放っといて。
これはわたしの心の問題やから。
気が済むだけ寂しがったら、ごめんなって言うから。