わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の焼き物 (仁清1)

2010-10-04 21:31:24 | 国宝の焼き物
国宝 色絵 雉香炉(きじこうろ)

 江戸時代前期 野々村仁清作 京焼 石川県立美術館蔵

 大きさ : 幅 48.3cm、 奥行 12.5 cm 、高 18.1cm

  (国宝 昭和26年6月9日指定)

 ・ 色絵とは、本焼きした、釉の上から、絵具で文様を描き、もう一度、低い温度で焼き、発色させた物、

   即ち、上絵付けによる、技法です。

 1) 特徴

  ① 陶器製の香炉で、大きさは、ほぼ等身大の、雉(きじ)の形をしています。 

    飛び立つ、直前の姿を写し、尾を水平に保ち、安定感があります。

    造形や、焼成などに、難しい技が、駆使されています。

  ② 背部と腹部の上下に分かれ、腹部の内側に、凸部の合せがあり、背部が噛み合う様に、

    成っています。

    蓋になる背部には、4個の半月状の、煙出し穴が開けられ、香炉としての機能が、見られます。

  ③ 素地は、わずかに黄色味を帯び、一面に粗い貫入が入り、その上に緑、紺青、紫、赤、黒、

    金の絵具を使って、目、鶏冠(とさか)、耳、羽根、羽毛などを、豪華な極彩色で描いています。

    顔を赤で彩色し、羽毛は青・緑・赤・黒・金の5色で、鮮やかに表現して、「色絵技法」を発揮した

    作品です。

  ④ 背部と腹部の内側に、それぞれ、「仁清の」刻印が、捺されています。

    実際に、香炉として、使用する事よりも、置物を意識して、造られたのでないかと、思われます。

 2) 色絵 雌雉香炉について

   国宝の雉香炉と、1対に成った、「仁清」作の、重要文化財の「色絵 雌の香炉」が、同じ

   石川県立美術館に、収蔵されています。

   大きさ: 幅 37.5 cm、 奥行 11 cm 、 高 22.2 cm

  ・ この1対の香炉は、仁清の彫塑的作品の、代表的傑作として、広く知られる名品です。

  ① 等身大の大きさで、後を振り返り、その嘴(くちばし)の先は、左背の羽毛に掛かり、

    尾は約45度の傾斜で、ピンと張ています。

    顔面部は、赤や金彩で、眼の縁は、僅か青の絵具を用いる他は、体の全体を、濃淡の銀彩と

    成っています。 それが酸化の為、やや黒味を帯びています。

  ② 蓋の背の箇所に、羽毛の形をした、煙出し用の孔が、4個開けられ、裏部は、頸に相当する部分

    から孔部にかけ、白釉が掛かり、それ以外は、無釉と成っています。

  ③ また、身部の底を露胎とし、前方胸寄りに、「仁清」印が、捺されています。

 3) 石川県立美術館の、茶道美術は「山川コレクション」が中心で、金沢の素封家、「山川家」が三代に

   渡って収集伝世した物です。仁清の「国宝 色絵雉香炉」は山川家、初代甚兵の収集品です。

以下次回に続きます。

国宝 色絵 雉香炉

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