わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

ファインセラミックス 4

2010-10-13 22:31:14 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
従来の天然セラミックスを使う、いわゆる陶芸では、原料(粘土)に、水を含ませる、湿式による成形が、

主な成形方法ですが、「ファインセラミックス」の場合には、主に乾式成形、押し出し成形、厚膜成形が、

行われています。

5) ファインセラミックスの成形方法

   成形とは、原料を焼き固める(焼結)前に、形を整える工程です。
 
 ①  乾式加圧成形

  ) 一軸加圧成形(金型成形)

    粉体(原料)を金型に入れて、加圧し成形する方法です。

    量産性が非常によく、最も一般的な方法ですが、欠点として、成形体の密度は不均一で、強度的に、

    やや弱く成るのと、精密な寸法が必要な、製品には向きません。

    また、単純な形状に限られます。

  ) CIP(シップ)(冷間静水圧成形)

    ゴム型に、粉体又は、顆粒(かりゅう)を充填して、加熱せずに、静水圧を印加して、成形する

    方法です。(尚、顆粒化によって、原料粉末の流動性を、改善できます。)

    成形体の密度は均一で、一軸加圧成形の、欠点を克服しているが、設備に高いコストが、

    掛かります。

  ) HP(ホットプレス)、HIP(熱間静水圧成形)

    HPとは、焼結を伴いながらの、一軸加圧成形です。

    HIP(ヒップ)とは、高温下で焼結を伴いながら、静水圧で成形する方法です。

     熱間静水圧プレス、熱間等方圧焼結とも言います。

   完成品の用途に応じて、様々な、成形方法を使い分けます。

 ②  押出し成形

   適度に可塑性を与えた、混練原料を、シリンダ内のピストン又は、スクリューを利用して、所定の

   断面形状を持つ、口金から、その断面形状を、維持したまま押出し、切断して成形体を、

   得る方法です。   

 ③ 射出成形

   金型内に、熱した混練原料を、射出し、金型内で、冷却固形化させてから、取り出す成形方法です。

 ④ ペイントよる、印刷方法

  )  厚膜印刷法

    ペースト(インク)状にした粉体を、基板上に印刷又は、塗布後、乾燥、焼成して、所定厚さ

    (100μm以下)と、所定形状を持った膜を、作る方法です。

   スクリーン印刷法によって、厚膜ペーストを、セラミック基板上に、機能素子パターンを作り、

    これを焼成して、電子回路基板を、作る方法です。

 ⑤ その他の方法

  ) メタライズ法 ; 金属を主成分とする薄い層を、セラミックスの表面に形成し、これを加熱して

    金属とセラミックスを、相互に接着する方法です。

   気密封着の、電極、配線形成に応用され、高融点金属法、金属酸化物法、活性金属などがあります。

  ) シート成形 : セラミックスのグリーンシート(テープ)を作る方法です。

     又はシートを用いた成形方法。

     シート積層 : グリーンシート又は、厚膜印刷によって、配線の施されたグリーンシートを

     複数枚積み重ね、熱圧着して一体化します。

     積層コンデンサ、積層圧電体、多層配線基板などの、製造に使います。

 成形方法のみでなく、焼成、焼結方法も、色々あり、製品や、用途によって、最適な方法が、

 選ばれています。

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする