わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯の種類と歴史 2(窖窯1)

2010-10-18 21:41:47 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
2) 窖窯(あながま) 

 ① 我が国の、縄文、弥生時代では、まだ「窯」と呼ばれる物は、存在していません。

   いわゆる、野焼きと呼ばれる、方法で、焼成されていました。

   温度も600~700℃程度と、推測できます。風通しが良いので、酸化焼成になり易いです。

 ② 我が国の、最初の窯は、「窖窯(あながま)」で、土器や須恵器が、焼かれていました。

  ) 「窖窯」は、4~5世紀に、朝鮮の百済から、瓦職人(技術者)によって、伝えられます。

      (当時、仏教寺院の屋根瓦として、瓦は多く、焼かれる様に成ります。)

  ) 「窖窯」には、地下式と言い、山の斜面に、穴をくり抜いて、造った物と、半地上式(半地下式)

     と呼ばれる、山の斜面を掘り込み、溝を付け、天井部は、後からアーチ形に、粘土を打ち付けて、

     造りました。この粘土は、焼成する事により、焼き締まり、強固に成ります。

  ) 窯の大きさは、(平均的な物は)長さが4~6m、幅が1~2m程度で、大人がしゃがんで、

     通れる高さです。

  ) 中の構造は、焚口は絞られ、やや細く、作品を入れる胴中は、広くし、最上部の煙出し部は
 
     細く、絞られています。煙出し部は、煙突の役目と伴に、放熱を防ぐ働きを、しています。

     窯床は、有段の物と、無段の物があります。

  ) 窯の傾斜角度は、20~40度程度で、半地上式では、壁の厚みが、20cm位でした。

  ) 焔は、焚口から煙出しまで、真っ直ぐに流れる、横直焔式で、余り効率の良い窯では、

     無かった様です。

  ) 焚き上げまでに、3~4日掛かったようです。

     温度も1200度位まで、上昇した様で、土が良く焼け締まり、密室で煙もこもり、還元焼成に

     なり、焼き肌も、黒ずんでいます。

     この程度の温度で焼かれた、無釉の焼き物を、器(せっき)と言います。

  ) 堀り抜いた窯(地下式窯)は、どうしても、湧き水に、悩まされます。

     水分は、温度上昇を妨げますので、半地下式の様に、少しでも、地上に出し、湿気を少なく

     する事になります。 

     但し、湿気は、素地や釉の反応に、作用して、思わぬ効果を、生み出す要因にも成っています。

  ) 「窖窯」も、次第に改良が加わります。壁や天井は、高温に晒され膨張し、冷えて、収縮します。

     その為、膨張収縮を、何度も繰り返し、崩れ易く成ります。そこで、壁に花崗岩を、貼り付けたり、

     石の塊を、埋め込んだりして、補強し、天井は、より耐火度の有る土を探し、使用します。

    ・ 当初の「窖窯」は、蛙目粘土の層に、掘った様です。この粘土は、耐火度が高く、粘土中に、

      花崗岩の未風化の、粒子が混入していて、膨張収縮に余裕があり、頑丈でした。

以下次回に続きます。

 窖窯

 
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