わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯の種類と歴史 12 (電気窯)

2010-10-28 21:29:40 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
電気を使った窯は、意外と古く、大正時代に京都で、上絵付け用の窯として、使用されていました。

 ・ 当時は、ニクロム線(ニッケルとクロムの合金)による発熱で、最高温度も、1000℃程度が、

   限界でした。

 ・ 現在では、1300℃位までは、カンタル線を、1300~1400℃位までは、炭化珪素発熱体

  (商品名、エレマ、シリコニット、グローバーなど)が使われ、1400℃以上では、白金や、白金と

  ロジウムの合金が、使われます。(但し、炭化珪素発熱体は、金属ではなく、柔軟性に欠けます。)

  陶磁器を焼く場合には、問題なく使われています。耐久性にも優れ、100回程度の焼成を、

  繰り返しても、電線が切れる事は、少ないそうです。

 ・ 又、柔軟性に富み、ある程度の屈折にも耐え、窯の内側に、止め具(絶縁ノップ)で、自由に配線も

  出来ます。 昭和40年代になって素焼、本焼などにも一般的に、使用される様に成ります。

 ⑤ 電気窯

  電気の窯の特徴は、

  ) 燃料ではなく、電気ですので、配線すれば、エネルギーを、供給する手間はありませ。

  ) 空気を必要としませんから、煙突も不要で、室内に設置できます。

     匂いも、ほとんど出ずに、環境にも優しく、都会のビルの中でも、設置が可能と成ります。

     (小型な窯が多く、アマチュア陶芸家向きの、窯とも言えます。)

  ) 基本的には、酸化焼成で、他の窯より、酸化がしっかり出ます。

  ) 操作が簡単である事。これが一番の特徴です。

     自動燃焼が可能で、コンピュータにより、プログラムに沿って、焼成できます。

     それ故、常に人が見張って、温度の管理や、大きな地震などの対応も、する必要は、無くなり

     大幅な、省力に成ります。 

   ) 比較的小さい窯に、適しますので、窯を焚く回数の、多い方には、小回りが利き、便利ですし、

      少ないアンペア数(基本料金に関係)で、基本料金も、燃料費も安くなります。

  電気窯の欠点

  ) 窯の大きさにもよりますが、家庭用の単相100Vでは、電力不足です。

     (湯飲み茶碗が、数個入る程度の窯でしたら、100Vでも使用可能です。)

     少なくても、単相200Vが必要で、できれば三相200Vを、新たに、導入する必要が有ります。

  ) 基本的には、焔が出ない窯ですので、焼き上がりに、窯変などの、面白味が出ません。
 
     窯変は、還元焼成で出易く、電気の窯に、燃焼物(炭など)を置いたり、ガスを注入する必要が

     有ります。(ガスが注入できる窯も、市販されています。)

    ・ 但し、燃焼物を、使う事は、確実に電熱線を、傷める事に成ります。

  ) 窯の中では、空気の対流が起き難く、大きな窯では、均一の温度に成りません。

     それ故、対流を起し、温度を均一にする、装置が付いた、窯も有ります。 

  ) 電気窯自体の価格は、同じ熱量のガス窯と比べると、格段に高くなります。

  ) 燃料費については 、電気とガスでは、 月に何回、窯を焚くかによって、燃料費は変化します。

     即ち、電気には使用しなくても、基本料金が掛かります。又アンペア数によっても、

     基本料金は違います。

   ・ 同じ位の小型の窯で、同じ程度の使用頻度では、電気を使用した方が、「若干高め」の様です。

 ⑥ その他の窯

以下次回に続きます。

 電気窯
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする