わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

国宝の焼き物 (仁清2)

2010-10-05 22:00:24 | 国宝の焼き物
国宝 色絵 藤花文茶壺

 江戸時代初期(16~17世紀)  京焼 野々村仁清作 

  丸亀藩、京極家伝来。 MOA美術館蔵 (静岡県熱海市)

 大きさ: 高 28.8cm、 口径 10.1cm、 胴径 27.3cm、 底径 101.5cm

 ・ 茶壺(ちゃつぼ)とは、葉茶を保管する為に、用いられる壺で、「葉茶壺」又は、「大壺」と呼ばれ

   この壺から、取り出した茶葉を、石臼で擂り潰し、茶の湯に使用する、抹茶にします。

    (現在では、ほとんど、使われなくた物です。)

 1) 藤花文茶壺の特徴

   ① ふっくらと丸い、大きな壺です。

     この茶壺の形は、ルソン壺と呼ばれ、室町時代末期から、桃山期にかけて、多数輸入されていた

     南中国産の壺の姿を、模した物と、言われています。

     なで肩で、穏やかな、張りのある形となっています。

     造りは薄く、轆轤(ろくろ)の仁清と、言われる技が、冴えています。

   ② 素地は灰白色の陶器で、淡い灰黄味を帯びた、白釉が腰まで掛かり、全面に貫入が見られます。

     釉を掛けていない、腰以下の部分は、赤褐色となっています。

   ③ 肩から胴にかけて、垂れ下がる、藤花文が、曲面に巧みに描かれ、構図、彩色とも極めて巧妙

     に造られています。

   ④ 藤の花は赤、紫、金及び、赤の輪郭線でくくり、銀で彩り、蔓は赤で描き、黒で輪郭を取って

     います。藤の葉の葉脈の、表現に用いられた、「針掻き」という技法は、葉脈を白く表し何百枚

     かの葉には、一枚一枚葉脈を施し、まったく乱れる事なく、整然と表されています。

   ⑤ 肩に、覆(おお)いを結び止める、把手(はしゅ)、耳が4個が、十文字方向に付いています。

     底は平底で、左脇に、小判形の「仁清」の、大印があります。  

   ⑥ 葉は明るい緑、蔓(つる)は赤茶、花は赤、薄紫、銀で彩色され、赤い花には金の、薄紫と

      銀の花は、赤の縁取りです。

 2) 仁清は、 国宝のこの壺の他に、多くの茶壺を残しています。

   ① 色絵 吉野山図茶壺 (重文・静嘉堂文庫美術館)

   ② 色絵、芥子文(けしもん)茶壺 (重文・出光美術館)

   ③ 色絵、月梅図(げつばいず)茶壺 (重文・東京国立博物館)

   ④ 色絵、山寺図茶壺 (重文・根津美術館)

   などが知られますが、形の美しさと、文様の豊さで、藤花文茶壺に、及ぶ物はないと、言われ

   仁清作の中でも、傑出したものです。 京風文化の、象徴的作品とも、言える作品です。


 これで、国宝の焼き物の話を、終わりますが、

 次回は、国宝などの、文化財保護法などについて、述べます。

 国宝 色絵 藤花文茶壺
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