② 三輪龍作氏の陶芸
) 初期の作品は、「エロスと死」が混在する青春期の「不安の感情」を、自己告白的に形象化
しているものと言われています。
c) 「紳士の為に」(1969年)の作品。
この作品は、丸い頭と細長い体(又は首か?)が垂直に立っています。
赤、青、黄、白の丸い頭(顔)には、目や鼻が無く、真っ赤な大きな唇や、縦に開かれた女性器
が顔の真ん中に表現されています。但し、側面にはしっかり耳が取り付けられています。
この作品は、彼の頭の中は常に女性の事がいっぱいである事を、告白している様にも見え
ます。 耳は女性の声(嬌声)を聞く為に、大切な要素として表現されています。
発表された1969年は、龍作氏が29歳頃となります。健康で健全な青年ならば、誰でも考えて
いる事で、彼が特別変態でもなく、ごく普通の紳士である事を、自ら告白した作品と成って
います。 大きさ: 85.5 x 47 cm。 艶のある釉が掛けられています。
d) 「M氏夫妻」の作品: 死を扱った作品に見えます。(1978年)
金彩を施した、二個の頭部の像で、顔面が腐敗し鼻は大きな穴となり、口周辺の肉も落ち
骨が露出している作品です。なぜかメガネを掛けています。
e) 「女帝」、「古代の人」の作品(1979年): 「エロスと死」との思考が深められていく作品です
・ 「女帝」は、金彩が施された四角い陶板を三段重ねた作品で、女帝が座る敷物を表現して
います。その中央に上を向いた女性器が一つ口を開いて置かれています。
上下の陶板には、連続模様が施され、中段の陶板には雲形の様な文様が彫り込まれて
います。 いずれも、女帝を権威付ける為の文様と成っています。
大きさ: 180 x 250 cm 。
・ 「古代の人 王墓。 古代の人 王妃墓」の作品:
黄金の骨と成った王と王妃を表現し、胸の部分には、割れた四角い墓碑の陶板が置かれて
います。両腕の骨と、大腿骨、更には何故か腐敗しない男性器(王妃には女性器)が添え
られています。王の左腕には、錆びて折れた剣が、王妃の両腕には花が添えられ、頭部
周辺には、櫛と銅鏡が置かれています。
王の墓碑銘には、「R.MIWA 1940 ~ 2940 」と有り、王妃の墓碑銘には、「T.MIWA
1945 ~ 2940」の文字(即ち千年生きた事になります。)と、英文で綴られた文字が彫り込
まれています。
この作品は王は龍作氏を、王妃は彼の妻を表し、千年の愛を誓ったものかも知れません。
大きさ: 180 x 380 cm。(金彩、一部コンクリート製)
f) 個展の「白嶺展」:(1984年、日本橋三越本店)では、「白嶺」と題するシリーズの作品を発表
します。この作品は、ヒマラヤやアルプスと思われる急峻な白嶺に対峙する、弱い人間の
存在の思いを表現していると言われています。
g) 個展の「三輪龍作 天・地・人 展」:(1986年、京王百貨店(東京)、高島屋(京都)
この頃より、仏教(宗教)的模索が始まります。その結果は1988~1994年の東京などの
以下の個展で「卑弥呼」シリーズとして結集します。
「三輪龍作 卑弥呼」、「三輪龍作 卑弥呼山展」、「三輪龍作 卑弥呼の書展」、「三輪龍作
続・卑弥呼の書展」、「卑弥呼(ひみこ)シリーズ展」。
・ 「卑弥呼山」と題する作品は、槍の穂先の様に聳(そび)え立つ、数個の屏風ふうのブロック
から成り、その表面は不定形の亀甲模様に金彩が施されている作品です。
「卑弥呼山」: 205 x 218 x 90 cm。
・ 「卑弥呼の書」: 書物が鳥の様に、大きく翼を広げて羽ばたく様に見えます。
ここでも、その中央に、女性器の穴が開けられています。
大きさ: 47 x 51 x 40 cm。
他の「卑弥呼の書」では、数枚のページが重なり、表面のノページには、文字と見られる見知
らぬ文様が書き連ねています。
大きな断片に壊れ、その中央には、女性器がしっかり彫られています。
大きさ: 195 x 650 x 300 cm と巨大です。(黒陶)
龍作氏は、2003年に十二代、三輪休雪を襲名しましたので、これからは、一段と伝統ある萩焼への
道を進む義務が生じるかも知れません。
但し、従来の萩焼とは一味違った作品になると思わ、期待もされています。
次回(市野茂良氏)に続きます。