わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸242(澤清嗣、澤克典)

2012-11-21 21:58:04 | 現代陶芸と工芸家達

信楽は瀬戸、備前などと並ぶ日本六古窯の一つで、歴史は鎌倉時代に遡ります。

壷や甕(かめ)、擂鉢(すりばち)等が焼かれ、江戸時代には大量生産に適した登窯が登場し、

最盛期には100基以上の窯が有ったと言われている、一大陶器の生産地で、現在でも多くの陶芸家

と窯を有しています。

その中で、登窯や窖窯による焼締めの大物の壷を作っている人に澤清嗣氏がいます。

1) 澤清嗣(さわ きよつぐ): 1948年(昭和23)~

  ① 経歴

   1948年 滋賀県甲賀市信楽町に生まれる。

   1967年 滋賀県立 信楽高等学校窯業科を卒業します。

   1968年 京都府陶工職業訓練所を修了します。

    同じ年 京都・泉湧寺の窯元(尚泉)に入社します。

   1969年 信楽に戻り、高橋春斎氏に師事しながら作品造りに入ります。

   1981年 登窯と窖窯を築き独立します。

   2001年 滋賀県立陶芸の森「大信楽展」出品が、買上となります。     

   2005年 「日本のやきもの8人展」(新潟十日町)に出品します。

   2006年 「大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ 2006」に出品。
 
     同年 澤清嗣 還暦記念 「六十壷展」を開催します。サン・ギャラリー住恵(名古屋)

   2009年 信楽陶芸の森で、古来の様式をもつ金山窯を使い焼成します。

   2010年 静岡 ギャラリー文夢にて個展。大丸心斎橋本店にて「信楽 澤清嗣 作陶展ー不動ー」

     を開催しています。

   ・ 東京、名古屋、京都、大阪、ニューヨーク等 各地で個展を多数開催しています。

  ② 澤清嗣氏の陶芸

    ) 土は主に窯の近くから採取した、信楽の原土を精製せずに用い、力強い信楽焼を

        生み出しています。

    ) 窖窯や登窯による無釉の焼締めで、土の色と自然釉(灰)の緑、素地や灰が焦げ表面には

       噴出した白い長石が、美しい景色を作り出した作品になっています。

       約1200℃の高温で2~3日以上焼き上げるとの事です。約10分間隔で薪をくべる必要が

       ありますが、「薪は入れ過ぎてもダメ。耳を澄ますことが大事」と述べています。

     ) 作品は大壷などの大物作りを、得意とし、1m以上の作品も手掛けていますが、コーヒー

        カップや信楽徳利、盃、汲出茶碗などの小物も作っています。

        又、個性的でユーモアのある「信楽ツノ盃・笑う馬」の様な作品もあります。      

2) 澤 克典 (さわ かつのり) : 1980年(昭和55) ~

    若手陶芸家の中で、次代を担う旗手として注目される人に、信楽の澤清嗣氏の長男澤克典氏
 
    がいます。
 
    窖窯で焼成された窯変の美い作品や、鈴木五郎氏の弟子として身につけた遊び心が溢れる
 
    織部の器も手掛けています。

  ① 略歴

    1980年 滋賀県甲賀市信楽町に、澤清嗣の長男として生まれます。

    2002年 滋賀県立窯業試験場修了し、鈴木五郎氏に師事します。

    2005年 滋賀県信楽町に独立します。

    2006年 ギャラリー陶園 にて個展。 東京 ギャラリー陶彩 にてグループ展

         大阪 大丸心斎橋店現代陶芸サロン桃青 にて個展(毎年開催)。 名古屋 サンギャラリー

         住恵 にて父子展。 京都 ギャラリーシュマン にて個展

     以後 発表の場は個展を中心に活躍しています。

    2007年 信楽 陶成アートギャラリー 。東京 瑞玉ギャラリー 。 名古屋 サンギャラリー住恵。

    2008年 兵庫 宝塚ギャラリーリラン 。大阪 山木美術 にてグループ展。京都 延寿堂ギャラリー

     ソフォラ 。

    2009年 鎌倉 かまくら陶芯 。 千葉 ギャラリー。  その他、個展グループ展多数。

  ② 澤克典氏の陶芸

   ) 引出技法: 楽焼で行われている「引出黒」の技法と同じ方法です。

     即ち、高温の窯の中から、窯の外へ引き出す事により、独特の綺麗な「黒」や「ビードロ」色を

     発色させます。 窯の雰囲気が酸化の状態では「黒」になり、還元状態では透明感のある

     緑色の「ビ-ドロ」や、トンボ玉などが現れます。

    ) 焼締め以外にも、織部、特に鳴海や弥七田織部に力を入れています。

    今後の活躍が期待される作家です。  

次回(坂本瀧山氏)に続きます。  

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