わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代の陶芸248(内田鋼一)

2012-11-30 22:51:25 | 現代陶芸と工芸家達

現代陶芸の、最も有望な若手の一人として注目を集め、人気のある作品を次々に発表しているのが、

三重県四日市市在住の内田鋼一氏です。

1) 内田鋼一(うちだ こういち): 1969年(昭和44) ~

  ① 経歴

  1969年 愛知県名古屋市に生まれます。

  1990年 愛知県立瀬戸窯業高等学校 陶芸専攻科を卒業します。

         三重県の製陶所に勤務し、更に修行を重ねます。

  1992年 三重県四日市に独立します。

  2000年 「うつわをみる 暮らしに息づく工芸展」に出品。(東京国立近代美術館)
     
  2004年 静謐なかたち「内田鋼一 Uchida Kouichi works : 2003-2004展」

         4th MUSEUM リバーリトリート雅樂倶 (富山)

  2006年 「陶芸の現在、そして未来へ Ceramic NOW+」(兵庫 陶芸美術館)

         「SOFAニューヨーク2006」出展

  2008年  「メルボルンアートフェア2008」(オーストラリア)へ 出展

         「Rosso : Uchida Kouichi」Daniela Gregis (ベルガモ、イタリア)

  2012年 新窖窯を築窯:「お茶のこといろいろ、小壷 いろいろ」内田鋼一作品展を開催。

  
  個展: 三重パラミタミュージアム。「内田鋼一 Uchida Kouichi works : 2003-2004展」。 

      その他多数。  

  ② 内田氏の陶芸

     窯を築き、独立後には、日本各地は元よりイタリア・アフリカ・スペイン・オーストラリア・韓国・

     インド・東南アジア・アメリカなど、世界各国の窯場に住み込み修行を重ね、当地で作品を

     発表しています。 その為、特定の師と呼ぶ方はいなかったそうです。

     更に、公募展にも応募せずに、主に個展を中心に作品を発表しています。

   ) 作品は、窖窯、ガス窯、灯油窯を駆使して、鉢、瓶子、茶碗、花入、大壺、ぐい呑、急須など

      茶道具や食器類や壷、花器などが多い様です。

   ) 土は地元の山や近隣の山から掘り出し、轆轤挽き、紐作り、そして叩き技法と多くの方法を

       用いて制作しています。

   ) 釉は黒陶や紅陶、緑青彩、銀彩、錫白釉、そして最近ではプラチナ彩まで創っています。

     世界各地で修行した事が、彼の釉に強く影響している様です。

     「黒陶」は東南アジアやアフリカにいた頃の技術の応用だそうで。

     「緑青」はインドいた時に体験した、原始的な蜜蝋を使う鋳造方法を参考にしたそうです。

     更に、「白錫釉」はヨーロッパの低火度焼成ではなく、1100度に上げて焼成しています。

   ) 古いシンプルな土器や須恵器などで、大きな壷や大甕(かめ)も作っています。

 
  ③ 内田しの作品

    ) ブラチナ彩: ブラチナ彩線刻文鉢、ブラチナ彩線刻文盃、プラチナ彩碗皿など。

    ) 加彩: ざらっとした化粧土に鉄分を混ぜ、赤茶けた肌に仕上げる方法。

       加彩瓶子。加彩高大台皿。加彩線刻文壷などの作品。

    ) 焼締:無釉の焼締陶器で、茶注(急須)は独立後から、長年手掛けている作品です。

       「茶注は使い勝手が良くなければとは思うが、それだけでなく形や土の質感や焼きにも

        自分が見て『心地いい』と思える処を入れていきたい」と述べています。

    ) 内田氏は、見る人にも心地よいシンプルな作品を、心がけて作陶しているとの事です。

       それが「用の美」となり、内田作品の人気の元と成っています。

次回(中川自然坊氏)に続きます。

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