和歌山県の山中で、夫は主に無釉の焼き締め陶器を、妻は白磁を制作し、個展を中心に活躍
しているのが、森岡成好・由利子夫妻です。
1) 森岡成好(もろおか しげよし): 1948年(昭和23)~
① 経歴
1948年 奈良県に生まれ、和歌山県で育ちます。
幼児より山に親しみ高校、大学時代山岳部に入部し、登山に没頭します。
1973年 高野山で陶芸を学びます。
1974年 和歌山県伊都郡かつらぎ町下天野に築窯し、種子島を訪れ南蛮焼き締めと出会い、
沖縄の窯場を訪ねます。以後、焼き締めを中心に作陶を続け、国内はもとより、外国の
窯場に出掛け陶器や、土器作りの実際を学びます。
北、中米。韓国。東南アジア、タイ。インドネシア。インド、スリランカ。台湾、沖縄などで
陶芸を学びます。
2000年 バンコクにてグループ展
2001年 ニューヨーク、コネチカットにて個展
2010年 八重山古陶復活を目指し、石垣島に工房と鉄砲窯(薪窯)を築きます。
ここでは、八重山焼き、南蛮焼き締め、黒釉、灰釉、透明釉などの作品を作ります。
2012年 石垣島での初窯の作品は、ギャラリー夢雲(奈良県) で「南蛮と白磁展」を
発表しています。
・ 個展: 東京、南青山グリーンギャラリー。ニュウヨーク、アーロン・フェイバーギャラリー。
渋谷西武百貨店、池袋西武百貨店。熊谷守一美術館ギャラリーなど多数開催しています。
・ ニュウヨーク近代美術館パーマネントコレクションとして大壷をお買い上げと成っています。
② 森岡氏の陶芸
彼は主に、南蛮焼締め、南蛮黒釉、南蛮灰釉の陶器を手掛けています。
) 作品は、鶴首の器、徳利、ぐい呑み、壷、どら鉢、お椀等の器や、急須、土瓶、丸皿、
角皿、葉皿などの日常雑器が多い様です。
) 別のジャンルとして、遊び心満載の置物などの作品を作っています。
・ 「やまのかみ」や「かんき」と題する家の模型と、その中に住む男女の浮き彫りや、道祖神を
思わせる作品、更には、「とり」と題する作品では、糸で吊るされた、グロテスクな鳥が
宙に浮いています。
・ 「さかな」と題する作品は、見慣れない平べったい大きな魚や、頭部の大きな深海魚らしき
作品もあります。これらの一部は皿としての役目があるかも知れません。
・ 「はととっくり」と題する徳利は、脚と尻尾があり、斜めに置く徳利に成っています。
注: 彼の作品名はほとんどが、「ひらがな表記」と成っています。
) 作品の種類に応じて数基の窯を使い分けています。
・ 和歌山県天野での鉄砲窯(薪窯)は、南蛮焼き締めを主に焼いています。
・ 同所にあるスコタイ窯は、南蛮焼き締め、南蛮黒釉、南蛮灰釉、南蛮白化粧釉などを
焼いています。
・ 天野の倒炎式窯は、白磁、灰釉などの施釉した作品を焼いています。
2) 森岡 由利子(もりおか ゆりこ): 1955年(昭和30) ~
① 経歴
1955 年 岩手県に生まれます。
1978年 早池峯(はやちね)に登り、以来山登りをする様になります。(日本山岳会会員)
1982年 焼き締め、土器制作を経て、白磁制作を始めます。 韓国の窯場を訪れ陶器作りの
実際を学びます。
1985年 李朝の陶器に魅かれ、薪窯での磁器制作を続け、現在に至っています。
2012年 「森岡成好・由利子展」を、あるぴぃの銀花ギャラリー(埼玉・大宮)で開催。
その他、国内外で多数個展を開催しています。
次回(大嶺 實清氏)に続きます。