わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 15 理想的な釉の厚みとは?

2014-11-01 21:55:12 | 素朴な疑問
施釉する際、釉の濃さと厚みに苦慮する事も多いです。

施釉の方法は色々ありますし、釉の種類も多いので、釉の濃さを一概にこの厚さが良いとは言え

ませんが、昔から言われている理想の厚さは、葉書一枚の厚さが良いと言われています。

但し、これはあくまでも一つの目安でしか有りません。

1) 釉の濃淡に付いて。

 カタログを見ると、市販されている釉では、厚掛け、薄掛け、並掛け三通に分類されている場合が

 多いです。指定された厚みで施釉すれば、所定の色や光沢が出る事になります。

 ① 釉を薄く掛けるとどうなるか?

  ) ガラス質が薄くなりますので、表面の艶が少なく、「ザラツク」感じになります。

    又、機械強度も弱くなります。

  ) どの様な釉でも薄く掛けると、所定の色が出ず、茶色又は茶褐色になります。

    緋襷(ひだすき)釉の名前で市販されている釉は、固形部分が極端に少なく、ほとんどが

    水です。即ち、釉が極端に薄くなった状態で、赤褐色に発色する釉です。

  ) 藁(わら)白等の乳濁釉でも、薄く掛けると透明釉の様になります。下絵付けした作品は

    透明釉を掛けるのが一般的ですが、釉の面白味が出ない場合には、藁白などを薄めに掛け

    ても、絵柄は表現できます。志野釉を薄く掛けても、透明釉に近い色に成ります。

 ② 釉を薄く掛ける方法。

  ) 釉そのものを薄くする。 釉が薄ければ当然、施釉の厚みは薄くなります。

  ) 作品を水で濡らす。

    釉が作品の表面に貼り付くのは、素地が釉中の水分を吸収するからです。素地が乾燥して

    いる程、吸収する力が強く厚く塗る事が出来ますが、予め素地に水分を吸収させておくと、

    吸収力は落ち、釉は薄く掛かる事に成ります。

  ) 漬け掛け(浸し掛け)の場合、釉に漬ける時間を短くする。

    漬ける時間に比例して、釉の厚みは増します。但し、素地が薄い場合などで、水の吸収力が

    弱い場合には、長く漬けると逆に釉が薄くなります。

  ) 普通の濃さの釉で、漬け掛けの場合、薄く掛ける場合には2~3秒程度にします。

  ) 流し掛けは、漬け掛けよりも、釉の厚みは薄くなります。

    釉が作品の表面を流れ落ちる時間ですので、漬けるよりも短時間に成ります。

  ) 霧吹きを使う吹き掛けは、釉が細かい霧状になりますので、釉の層は薄くなります。

    但し、吹き掛けると直ぐに乾燥しますので、任意の回数吹き掛け釉の厚みを調節する事が

    可能です。 

  ) 刷毛(はけ)塗りは、濃い目に塗っても薄くなりがちです。 

    重ね塗りをしても、下に塗った釉を剥ぎ取る場合がありますので、薄くなりがちです。

    尚、刷毛塗りの欠点として、塗り斑(むら)が生じ易い事です。

 ③ 釉を厚く掛けるとどうなるか?

  ) 厚くし過ぎると、素地から釉が「めくれ」、最悪剥がれ落ちます。

  ) 結晶釉の様に流動し易い釉を厚く掛けると、棚板まで釉が流れ落ちて、処置に困ります。

  ) 斑(まだら)に厚掛けした場合、厚い部分の熔けが不十分になる事もあります。

    又流動性が無い釉(志野など)では、表面が平滑にならず、アバタ状態になる事もあります

 ④ 釉を厚く掛ける方法。

  ) 濃い目に釉を使う。

    濃い目の釉は、釉禿げの原因に成り易いですので、余り薦められません。

  ) 漬け掛けの場合、最大でも5~6秒です。それ以上は逆に薄くなる事が多いです。

  ) 普通の濃さの釉を二重掛けする。

    一度施釉し、表面が持てる程度に乾燥したら、更に釉を掛ける方法です。

  ) 刷毛塗りで重ね塗りする。

   重ね塗りをしても、下に塗った釉を剥ぎ取る場合がありますので、剥ぎ取らない様に注意が

   必要です。 

2) 釉の厚みの確認。

  ① 下絵が見える場合は、釉が薄いです。

    呉須や鬼板などで、下絵を施した作品に、透明釉などで施釉した場合、絵付けの模様が

    透けて見える時は、釉が薄過ぎる事になります。一般には、下絵の模様は見えません。

  ② 昔から行われている方法に、素焼きしたテストピースを使う方法があります。

   テストピースを浸し掛けし、乾燥後に表面を針等で引っかき、その断面から厚みを確認する

   方法です。但し、施釉に慣れた方はこの様な面倒な事は行いません。経験からおおよその

   厚みが予想できるからです。
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