わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 28 採取した粘土は使えるか2?

2014-11-15 22:00:45 | 素朴な疑問
 ② 採取した粘土が使えるかどうかは、実際に作品を作り、焼成して確認する事です。

   (前回の続きです。)

  ) 焼成(試し焼き)による確認。

   試し焼きは最初素焼きを行い、結果が良ければ、本焼きへと続けます。

   a) 素焼きは700~800℃で行うのが一般的です。鉄分を多く含む赤土などでは、素焼きの

    段階で、綺麗な赤色に発色する事があります。それ故、本焼きに向かない土でも、素焼きの

    作品を作るのに適すかも知れません。

   b) 素焼きの段階では土はさほど焼き締まりませんが、強度的には強くなります。

    但し、素焼きの段階で大きな割れが発生する場合も有ります。この様な土は素焼きにも

    適さないかも知れません。他の利用方法を考えます。

   c) 本焼きは、採取した土100%で行う物と、普段使用している粘土と半々に混ぜ合わせた

    土、更には7~8割混ぜ合わせた土に、透明釉を掛け、いつもの温度で一緒に焼成します。

   d) 100%の土の作品を焼成する場合は、受け皿の上で焼成する事です。

    耐火度の低い粘土では、いつもの温度で焼成すると、形が崩れ水飴の様に熔ける事も珍しく

    は有りません。熔けた土が棚板に流れ、棚板を痛める事を防ぎます。

   e) 窯出し後に、土の様子を観察します。先ず100%の土で作った作品は、無事に形を保って

     いるか? 本焼き後の素地の色はどのように発色しているか?。赤土の場合、素焼きでは

     綺麗な赤色であっても、本焼きでは黒くなりがちです。更に、本焼きで表面に黒い斑点や

     痘痕(あばた)が出ていないか?。即ち表面が泡を吹いた様に荒れていないか?

     痘痕があるのは、粘土に有機物や不純物、さらには、水溶性のアルカリ成分が含まれて

     いる為ですので、水簸(すいひ)等の処理を行う必要があります。

   f) 釉との相性はどうか?。釉剥げ等が無く、素地に密着しているか?等を観察します。

    これは、土の収縮率と関係します。土が十分に焼き締まらない場合には、釉に貫入が入り

    易く、縮み率が大きい時は。釉が表面に密着せず、釉剥げの原因に成ります。

    それ故、本焼き後の縮率を見る為に、作品の寸法を測ります。

   g) 100%の土では、良い結果が出なくても、いつも使っている土を半々に混ぜた物や、

     7~8割り混ぜた物(採取した土が2~3割)が使えるかを観察します。

     耐熱性(作品が歪まない事)や釉との相性など問題が無ければ、この土単独では無理

     ですが、他の耐火性のある土と混ぜ合わせれば使える事に成ります。

  ③ どんな粘土であっても、基本的には作品作りに使えます。

   ) 例えば、耐火度の低い土でも、低い温度で焼成すれば、形を保ったまま焼成できますが

    一窯その土のみで焼成する事になります。多くの場合、色々の土と一緒に焼成しますので、

    その温度で焼成できる様に、採取した土を調整する必要があります。

   ) 低い温度で焼成すると成ると、釉の熔ける温度も調整する必要があります。

    こうなると、結構手間隙の掛かる事になります。それ故、大量に採取できる土で有れば

    そこまで行う価値が有るかも知れませんが、少量の場合は他の土と混ぜ合わせて使う事です

   ) 身近な所から、今までに無い土を見出す事もありますので、少量であっても試してみる

     価値がありそうです。

コメント
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