Dr.コトーと並んで、楽しみにしているドラマがある。
フジテレビの「役者魂」
秋の改編で、各局一押しのドラマが並ぶ。
キャスティングでの話題性や、脚本の秀逸性を全面に出す
ドラマがあるなか、話題にのぼりにくいドラマが
どの季節でも、1本や2本はある。
別にこのドラマのキャスティングや、脚本が好きな訳で無く、
劇中で、松たか子扮する主役が、
通りすがりの人の妄想をするシーンがオキニなのだ。
何故か?
簡単。
僕も、困っている人や喜んでいる人を見かけると自分勝手に
“妄想”
するからである。
僕の住む田舎にもCDレンタル店が出来た時のお話。
連日、高校生で賑わう店内。
そんな中に、一組の親子が居た。そしてその男の子を見ながら妄想した。
彼は学校帰りにもこの店に立寄った。
しかしお金がなかった。
家に帰って、人知れず愚痴っていると、
母親から一緒に行こうと言われた。
少しふて腐れている彼ではあるが、内心は飛び上がりたいほど
嬉しかったはずだ。
だがいざ店に付くと、自分のチョイスにいちいちクエスチョンする母親。
「そんなん知らんわ」
別に親と聞く訳ではないと思っているが、
何枚かのうち、1枚は親でもわかるCDを借りる事にする。
ダビング用にとカセットテープを物色。
すると母親が、その横に売っているモノの説明を求めた。
なんて言うのかな? カセットのケースの中にいれる絵がついたヤツ。
文字のシールも一緒にあって、曲名を自分で貼付けるヤツ。
彼も当然、買うと決めていたが母親がいらないと言って聞かない。
その時、彼ははじめて僕の視線に気付く。
「もう、コレも買わなあかんのや!」
小さな声で言ったのは、周りの目を気にしたから。
きっと彼は家に帰ったあと、ちょっと母親に小言をいったはずだ。
小学校の時、運動会で出番のため入場門に集まっていると、
一人であるいているおじいさんを見かける。ここで妄想。
初孫が運動会に出るんで、前から楽しみにしていた。
しかしお嫁さんとの仲が良くなく、この日もお嫁さんから
「来なくてもいいですよ」
なんて言われたのかも知れない。
でも、どうしても孫が走っている姿を見たくて、
歩いて学校まで来たんだろう。
孫の姿は見たい。でも嫁に見つかっては、また小言を言われる。
人目をさけるようにうろうろしていると、
1年生のかけっこが始まる。
腰もまがり、人影が邪魔でなかなか見るコトが出来ない。
そんな状況に、おじいさんは諦めてまた来た道を帰ろうと
振り返ると、そこにはお嫁さんが立っていた。
「あっ、いや、もう帰るから」
そんなおじいさんに笑顔も見せず、ぶっきらぼうにお嫁さんが口を開く。
「お弁当が残ってるから、それ食べてから帰ってください」
そう言われて、とぼとぼ嫁の後を付いて行く。
するとそこはテントの最前列。
特等席である。
「がんばれぇ!」
お嫁さんが大きな声を出した。
それに気付いた孫は、最前列に座っているおじいさんの姿を見つける。
満面の笑みで、力いっぱい手を振って声援に答える孫。
おじいさんは涙が邪魔になって、せっかくの孫の勇姿を直視出来ない。
「はい!」
ぶっきらぼうに差し出した弁当は、きちんと四分の一だけ残っていた。
四人分だった弁当。四人家族。
「帰りは四人で帰ろう」
息子がカメラを片手にぼそっと言った。
よかったね、おじいさん。
そんなコトを思いながら僕は、入場門へと走った。
フジテレビの「役者魂」
秋の改編で、各局一押しのドラマが並ぶ。
キャスティングでの話題性や、脚本の秀逸性を全面に出す
ドラマがあるなか、話題にのぼりにくいドラマが
どの季節でも、1本や2本はある。
別にこのドラマのキャスティングや、脚本が好きな訳で無く、
劇中で、松たか子扮する主役が、
通りすがりの人の妄想をするシーンがオキニなのだ。
何故か?
簡単。
僕も、困っている人や喜んでいる人を見かけると自分勝手に
“妄想”
するからである。
僕の住む田舎にもCDレンタル店が出来た時のお話。
連日、高校生で賑わう店内。
そんな中に、一組の親子が居た。そしてその男の子を見ながら妄想した。
彼は学校帰りにもこの店に立寄った。
しかしお金がなかった。
家に帰って、人知れず愚痴っていると、
母親から一緒に行こうと言われた。
少しふて腐れている彼ではあるが、内心は飛び上がりたいほど
嬉しかったはずだ。
だがいざ店に付くと、自分のチョイスにいちいちクエスチョンする母親。
「そんなん知らんわ」
別に親と聞く訳ではないと思っているが、
何枚かのうち、1枚は親でもわかるCDを借りる事にする。
ダビング用にとカセットテープを物色。
すると母親が、その横に売っているモノの説明を求めた。
なんて言うのかな? カセットのケースの中にいれる絵がついたヤツ。
文字のシールも一緒にあって、曲名を自分で貼付けるヤツ。
彼も当然、買うと決めていたが母親がいらないと言って聞かない。
その時、彼ははじめて僕の視線に気付く。
「もう、コレも買わなあかんのや!」
小さな声で言ったのは、周りの目を気にしたから。
きっと彼は家に帰ったあと、ちょっと母親に小言をいったはずだ。
小学校の時、運動会で出番のため入場門に集まっていると、
一人であるいているおじいさんを見かける。ここで妄想。
初孫が運動会に出るんで、前から楽しみにしていた。
しかしお嫁さんとの仲が良くなく、この日もお嫁さんから
「来なくてもいいですよ」
なんて言われたのかも知れない。
でも、どうしても孫が走っている姿を見たくて、
歩いて学校まで来たんだろう。
孫の姿は見たい。でも嫁に見つかっては、また小言を言われる。
人目をさけるようにうろうろしていると、
1年生のかけっこが始まる。
腰もまがり、人影が邪魔でなかなか見るコトが出来ない。
そんな状況に、おじいさんは諦めてまた来た道を帰ろうと
振り返ると、そこにはお嫁さんが立っていた。
「あっ、いや、もう帰るから」
そんなおじいさんに笑顔も見せず、ぶっきらぼうにお嫁さんが口を開く。
「お弁当が残ってるから、それ食べてから帰ってください」
そう言われて、とぼとぼ嫁の後を付いて行く。
するとそこはテントの最前列。
特等席である。
「がんばれぇ!」
お嫁さんが大きな声を出した。
それに気付いた孫は、最前列に座っているおじいさんの姿を見つける。
満面の笑みで、力いっぱい手を振って声援に答える孫。
おじいさんは涙が邪魔になって、せっかくの孫の勇姿を直視出来ない。
「はい!」
ぶっきらぼうに差し出した弁当は、きちんと四分の一だけ残っていた。
四人分だった弁当。四人家族。
「帰りは四人で帰ろう」
息子がカメラを片手にぼそっと言った。
よかったね、おじいさん。
そんなコトを思いながら僕は、入場門へと走った。