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DVD

2006年11月14日 | 日記・エッセイ・コラム
類は類を呼ぶ。こんな言葉あったかな。

古本屋にはよく通う方だと思う。ブックオフなんてよく通っていた時は、
一週間に8日ほど行っていたものだ。

他にも色んな古本屋に行くが、店を出る前には必ず立寄るコーナーがある。

“エロコーナー”

カーテンで仕切られ、幼子や女子に目に触れられないようにしてある。
何とも言えない雰囲気がある。

近頃では、ネットで動画をダウンロードが出来るんで、
わざわざ買う人も少ない。レンタルでも充分だし。
でも立寄ってみると、それなりに人はいる。

しかし、その人達を見ていると何だか共通点があるように思う。
もちろん、その中に自分も含まれるわけで、
それを含めた“戦友”となるわけだ。

昔、レンタルショップで勘弁してほしい客と一緒になった。
ニンニク臭プンプンで、あの後、人に出会ったら、

「あれ? 焼肉食べて来た?」

なんて言われるのが確実な程、そのニオイは店内に充満していた。

(あの人だ!)

臭いの元を辿って行くと、小太りなおじさんに辿り着いた。

そしてその人は、一本のビデオを手に取り、パッケージを必死に
見つめる。
僕ですら無気味に思ったのだから、これを女性方にお見せすれば、
かならず嫌悪感を持たれる事間違いなしの、場面だった。

とにかく鼻息が荒い。鼓動まで聞こえてきそうな鼻息だ。

「すふぅー、すふぅー」

ダースベーダーでも、もうちょっとお上品だろう。

大音量で漏れ続ける鼻息と、ニンニクの臭いに我慢出来なくなった僕は
速効で1本のビデオを手に取ると、そのまま息を止めて店内を出た。

古本屋のエロコーナーでは、こんな経験をした事はないが、
独特の雰囲気がある。

DVDって結構高い。安いものなら3,000までだろうが、
マニアックなものなら、平気で10,000円なんて値札が貼ってある。

それを手にとる作業服姿の男性。
一点を見つめている。
イヤな記憶が甦る。

しかし、鼻息など聞こえて来ない。
冷静だ。
品定めも真剣だが、冷静だ。

レンタルと違って、様々な葛藤があるんだろう。

10,000円なんて、気軽に手を出せる物じゃない。

と思っていると、それを手にレジへと向った彼。

(買うのかぁ!)

感心していると、ふいに立ち止まる。
まだ悩んでいるようだ。

踵を返すと、元あった場所へと進む。

(やっぱ、高いですよねぇ~)

僕も店をあとにしようと進み始めると、
なんと彼はもう1本手に取ったのである。

古本屋のエロコーナー。

それは、金の使い方が豪快なスケベが集まる場所である。