おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

ポイントカード

2007年03月21日 | 日記・エッセイ・コラム
「ポイントカード、作られますか?」

頬を赤らめた女性店員が唐突に聞いてきた。

 
よく行く本屋。もう通うようになって10年程は経つだろうか。
今までなかったポイントカードへの加入を進められた。

実は先日もこの本屋に立寄っていた。
その時も同じように問われたが、急いでいたので、
 
「いえ、結構です」

と断っていた。

今回もレジに並ぶと前回と同じ女性店員。
同じように頬を赤らめている。

(照れてるのかなぁ~)

自分の容姿に無断でそんな考えが浮かんだが、

「ポイントカード、作られますか?」

いかにも事務的な台詞と鋭い視線が甘酸っぱい妄想を吹き飛ばした。

「あっ、ええっと、はい! 作ります」
 
渾身の笑顔で応えると、

「じゃ、そちらで記入してください。」

と、これまた事務的な対応が返ってきた。

いそいそと用紙に住所や氏名を書き込んでいて
ふと、思う事があった。

今まで沢山の“ポイントカード”を作ってきたが、
そのポイントの恩恵に与った事がないことに気付いた。

マイレ-ジも無縁である。飛行機も頻繁には乗らないし、
ETCも付いていない。そもそもカードで買物をする事がない。

ポイントカードも財布の中に5~6程は常駐しているが、
貯めるだけだ。使った事がない。
ポイントってモノを使うのは、携帯を買い増しする時だけだ。

いつも通っているコンビニでは、某巨大レンタル店の会員証でも
ポイントをためる事が出来たが、それも出来なくなるらしい。
新しくポイントカードを作ってくれと言われたが、
その恩恵を受ける機会があるのかと疑問を感じるのである。

以前、せっせとポイントを貯めた事があった。
レコードレンタル店だった。500円以上の支払いでスタンプ捺印。

どれくらい貯めただろうか?

“豪華商品”

の言葉だけを励みに、せっせと貯めた。ために貯めた。


そしてその日はやって来た。

ついにカードのスタンプ欄が朱色のスタンプ印で埋まる。


店員がスタンプを押し終えた後におもむろに振り向き、
記念品を僕に差し出した。

カセットテープだった。


それ以来、ポイントは貯めるが、
使おうとは思わなくなったのかも知れない。

 



コメント
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