おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

ウソ

2007年04月02日 | 日記・エッセイ・コラム
エイプリルフールの思い出。

成り立ちも意味も、何故なんだ!と言う事もまったく
知らない。ただ昔から

「ウソを言っても許される日」

と変な解釈が自分の中で定着している。

とは言う物の、出来るだけ真面目に生きて
人に迷惑をかけてはいけません!と厳しく両親に育てられた
僕にとって、どうでもいい日の一つだ。

ただ、思春期とは罪深い時期であり、
僕も好奇心が押さえきれずに、小さな“ウソ”を言った事がある。

会社にいた頃、野球部に入っていた。
もちろん、ノンプロでもなく実業団でもない。
ただ、趣味にちょっと毛の生えた程度だったけど、
誰もが野球を愛するがあまり、ちょっと真剣度が他の

“同好会的な雰囲気”

を醸し出す他チームとは一線を画していた。

そんなチームメイトの一人に
独身寮でひとり素振りをする先輩がいた。
お酒も煙草も飲まない。女性関係はそこそこ派手だったと思うが、
毎日、仕事を終えて寮に帰ると素振りをしていた。

「来週の日曜日、練習試合って知ってます?」

昼休み、何気なく先輩に声をかけた。

少し口元に笑みが漏れていたかも知れない。
その日は4月1日。
そう、僕はエイプリルフールにならって、その先輩に少しウソを
ついた。

しかし、日頃からウソをつき慣れていない僕にとって、
その後の展開をどうすればよかった分からなかったし、
先輩も、普段ウソも付けない真面目な僕を知っていたので、
完全に信じてしまった。

その日から素振りの回数が倍になった。


数日後、同僚から先輩に謝ってこいと言われた。

あるモノを無いと言った訳じゃなく、
無いモノをあると言ったのだから、実害は少ないと
思っていたが、先輩の野球に対する気持ちは
そんな半端なモノではなかったと気付かされた。


ドアを開けるとユニフォーム姿で素振りをする先輩がいた。