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信頼

2007年04月09日 | 日記・エッセイ・コラム
歩いて投票所まで行く事にした。

統一地方選挙。貴重な1票を投じようと出かける。
最近、またまた足の調子が良く無く、痛む足を引きずって
歩いた。

投票所は小学校の体育館。
母校の体育館だ。
通学路だった道を歩いていったが、すっかり変ってしまった
風景に少しがっかりした。
綺麗に舗装された通学路に昔の面影はなくなっていた。

ただ、風の心地良さと緑のにおいは懐かしく感じた。

急ぐ事もなく、ゆっくりと体育館へ向かう。

入口の階段が一番の難関だったが、根性で乗り越えた。

中に入ろうとした時、

「ごくろうさん」

ふいに声をかけられた。

「おぉ! 何してんの?」

自分で聞いておきながら、吹き出してしまった。
選挙に決まってる。投票しに来てるに決まってる。

幼馴染みに久しぶりに出会った。
投票を済ませて外で出ると、彼は煙草を取り出して
僕を待っていた。

「腹減ってへん?」

夕方だったんで、小腹は空いていたが、
痛風の発作があって、飲む事は遠慮したかった。

「オレ、飲まれへんけど?」

「おぉ、オレ車やから、オレも飲めへんで!」

野郎二人でメシだけを喰いに行く事に一抹の寂しさも感じたが、
久々なんで行く事にした。

色んな話をしていると、それなりに盛り上がった。
アルコールなしで会話が弾むなんて事も、久々に経験した。

話は盛り上がりテレビの捏造の話となった。

「せやけど、テレビを信用しすぎるってのも恐い事やと思うで」

彼は昔からテレビッ子だと思っていたが、案外冷静な面も
あるんだなと思った。

「あんまりテレビを信頼したらアカンて言うとったわ」

「ほぉ~、誰が?」

「あぁ、テレビで言うとった」

「・・・・・・」

「テレビで言うとった様に、これからは気をつけななぁっ!」

「・・・・・・」


 
 
 
僕は静かに右手を上げて、一杯だけビールを注文した。