今日、24節季の白露。散歩道の草むらに露が降りるようになった。虫の音が秋を感じさせるが、朝焼けのなかに萩の花がたくさん咲いていた。萩の花は万葉の時代から日本人に愛されてきた花だ。山上憶良に秋の七草を詠んだ歌がある。
萩の花尾花葛花なでしこの花
をみなえしまた藤袴朝顔の花 憶良
朝の気温は20℃ほどで歩くには一番心地よい。家事で妻を手伝うようになった一日の時間が一段と早く過ぎるように感じる。昨日、本屋で土井善晴の『一汁一菜でよいと至るまで』というエッセイを買った。料理家がさまざまな料理を極めた後にたどり着いた境地が一汁一菜であった。それは高齢になって活動量が減るとやむを得ず行きつく境地でもある。汁は味噌汁をさす。何を入れても美味しい味噌汁は具だくさんの栄養も補給できる魔法の汁だ。土井は相撲部屋のちゃんこ鍋をこの汁に入れている。あの大きな身体をも支えるのが一汁である。毎日の食事に手間をかけずにできる究極の家庭料理である。
菜はと言えば漬物である。糠みその漬物。冬の白菜漬け。どれも我が家で何十年も食べているものだ。土井善晴の言葉。「一汁一菜を用意すれば、食事づくりのノルマは完了です。一汁一菜を続ければ、体調がよくなり、健康になります。おかずをプラスするのは、自分の心に、時間に、お金に、余裕があるときでよいのです。」妻にあまり手間をかけさせたくないと考えればこの言葉は福音である。