雨が降る。秋だというのに梅雨の末期のような雨だ。庄内に線状降水帯が発生したようで洪水警報が出ている。なかなか穏やかな秋というわけにはいかない。テレビをつけるとドジャースの大谷選手が50-50達成のニュースが飛び込んできた。50本塁打、50盗塁という記録で長いメジャー球史のなかで誰も達成したことのない偉業だ。さらに加えて1本塁打1盗塁。いとも簡単にやってのけた。野球解説の誰かが言っていた。「最後の1本で苦しむ。50ー50の可能性は30%。」あと9試合、前人未到の記録はどこまで伸びるか。秋雨前線の憂鬱も、大谷の快挙で吹き飛んだ。彼にはもうひとつ投手という才能がある。手術のために今年は投手を封印している。投手の代わりに足で稼ぐ盗塁という技術を身につけた。もう野球界の天才というほかはない。大谷には寺山修司の名言が似合う。
どこでもいいから遠くへ行きたい。
遠くへ行けるのは天才だけだ。(「煙草」から)