常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

賢者の贈りもの

2020年12月07日 | 日記
エントランスにクリスツリーが飾られた。戸外は雪もないが、これを見ると年の瀬が近いことが知らされる。コロナの第三波がきて、今年のクリスマスを日本の若者たちはどんな風に過ごすのだろうか。先日のハロウィンでは、自粛を呼びかけられたて、コスプレで街に繰り出す人は減ったが、渋谷などの盛り場に若者が集まってくる姿が目についた。クリスマス、ハロウィン、バレンタインデー。どれもキリスト教の欧米の文化だが、何故か日本に入ってきて形を変えて、街のなかで大きな盛り上がりを見せる。日本古来の祭りなどに、もっと若者のエネルギーを注いで欲しいと思うのはひがみ根性であろうか。

O・ヘンリーの短編に『賢者の贈りもの』というのがある。デラとジム。安アパートに住む若い夫婦のクリスマスの話である。クリスマス・イブにはどうしてもジムを驚かせるような贈りものをしたいのだが、手元にあるお金は1ドル87セントだけ。デルは小さなベッドに身を投げ出して泣き出した。二人には大切で自慢できるものを持っていた。デルは褐色の滝のような膝まで伸びる頭髪だ。ジムには父親の形見の金時計である。

泣きながら考えたデルは、鬘屋に髪を売って金を得てジムに贈りものをすることにした。髪の値段は20ドル、その金を持って街を探して買ったのは、ジムの自慢の金時計に着けるプラチナの鎖だ。ところが、ジムもまたデラに贈りものを考えていた。妻がいつも欲しがっていた自慢の髪を梳く鼈甲のブラシセットだ。イブの晩、二人は贈りものを見せ合って、着けるはずの時計と梳くはずの髪を無くしたことに驚くが、デラに向ってジムは言う。「プレゼントは片付けてしばらくそっとしまっておこうよ。今すぐ使うには、上等すぎるよ」

O・ヘンリーは、頓馬な結果に終わったプレゼントであったが、これこそが「賢者の贈りもの」だとしてして話を締めくくっている。

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