起き抜けにみた東の空は美しいピンク色に染まっていた。朝のゴールデンタイムは短い。カメラを取りに部屋に戻ったわずかの時間にそのピンク色は消え去り普通の日の出前の空に変わっていた。外へ出てみると、雨の水たまりが道にできている。さっきまで雨が降っていたのだろう。雨上がりに吹く風が肌に心地いい。昨夜の睡眠が足りたせいか足が軽い。草むらのコスモスが美しい花をさかせ満開の萩の花がこぼれて道をピンクに染めている。今朝も朝飯前に3000歩を歩いた。家に帰ってハーブの鉢に水やり、仏壇に線香を焚き、切り花をさし変える。朝のひと仕事が済むと気持ちいい一日が始まる。
夕べ、ドアの外で虫の声を聞いた。ドアを開けて壁をみると、青い小さな虫が壁に止まって鳴いている。思わず写真に撮り検索したみた。出てきたのはマツムシ。草むらにいてはその姿は確認できないが白い壁の上で初めてその姿をとらえることができた。先日、生涯にわたって編集を研究した松岡正剛氏の訃報に接した。ネットで「千夜千冊」というサイトを設け、毎日読んだ本を多方面に子細に説きつくす大仕事だ。このサイトの読者になって、氏の読書量とそれをネットに書き連ねていく時間をどうやって生み出すのか、想像をこえるものがあった。著書『花鳥風月の科学』に「日本人と風」という一節がある。
「花鳥風月のなかでも、風は特別の地位を占めます。それは風が目に見えないからです。花や鳥や月は見えるものなのに、風は見えません。そこでほかの動きや流れに風を感じることになる。たとえば風流人がお茶を飲むのは「いま竹藪に風が通りましたな」というようなことを言うために、ただそれだけのために、そのお茶を飲むわけです。」
この千夜千冊も大部の本になって出版された。また、昔読んだサイトを開いて氏の謦咳に接してみたい。