粋な暖簾のカフェ
連休中の天気予報は、曇り時々雨でかんばしいものではありませんでしたが、暑い夏の季節、このくらいの方が、カンカン照りよりはましかも、と出かけることにしました。今回の訪問先は、高知県安芸市です。武家屋敷の残る土居廓中(どいかちゅう)と呼ばれる家臣たちの屋敷跡、岩崎弥太郎の生家、安芸市のシンボル・野良時計、そしてモネの庭で有名な、北川村の「モネの庭マルモッタン」です。そして、いろいろ調べて行くうちに、もう少し先の室戸市吉良川町に、重要伝統的建造物群保存地区の「吉良川の町並み」があることに気づきました。これははずせないな、ということで、まず一番遠い吉良川の町並みを訪ね、そのあとモネの庭、そして安芸市を訪ねるという、かなりの強行軍となってしまいました。
笠岡ICから高速に乗って、南国ICで降りますが、流れに合わせて走ると、井原からこの間の所要時間が約2時間、ここから、吉良川町までさらに1時間半かかってしまいました。瀬戸大橋を渡るころには晴れ間ものぞいていましたが、トンネルを抜け南に行くにしたがって、空はどんよりとして、今にも雨が降ってきそうな天気になってきました。ということで、降らないうちにひとつでも早くにと、とにかく焦っていました。
55号線は、ときどき右手に太平洋が見え、なかなかの快適道路です。
そして、やっと吉良川の町並みに到着しました。大きな「重要伝統的建造物保存地区」とかかれた看板が目を引きます。ここに20台ぐらいの駐車場がありました。
町並みは、とても閑散としています。私の他に観光客の姿は一名のみでした。こちらの町並みの一番の特徴が、水切り瓦と呼ばれる壁の途中にある何層もの瓦。太平洋に直に面している町。そういえば、昔、甚大な被害をもたらした室戸台風というのもありました。これらのはげしい暴風雨から家々を守るための、このような先人の知恵と工夫が随所に見受けられます。
他の重伝建地区に見られる町並みとどこか趣が異なります。観光客をあて込んだ喫茶店やお土産物のお店は、ほとんどありません。現代の静かな町並みという感じですが、ところどころ白壁の土蔵や町屋が点々とあるぐらい。と思いきや、一軒だけ、旧家と土蔵を活用した、とてもしゃれたお店がありました。時間があれば、是非、おいしいコーヒーで一服したかったのですが、なにせ、天気が気になり、ここはパスすることに。この白い漆喰壁の町並みは、吉良川で廻船業が盛んになった明治中期に形成されたようです。吉良川産の備長炭を船で京阪神に運び、帰りに日曜雑貨を積み込む。富を得た商家が、浜地区と呼ばれる旧街道沿いに家を建てたのです。
町並み館でいただいたパンフレットに、「石ぐろ」と呼ばれるこの地方独特の石垣が載っていました。それではと、路地を少し入り坂道を登ると、この「石ぐろ」を配した通りや民家が随所に見受けられました。
この石は、浜辺や河原で拾い集めたものだそうです。こうして急ぎ散策すること約30分。とにかく、雨が降らなくてよかったと、次の目的地「北川村 モネの庭 マルモッタン」に向かいました。(つづく)
御田八幡宮への参道付近は、景観が素晴らしい