金堂に続く鎧坂。なかなか歩きにくい石段です。
川沿いに、バス停留所から歩くこと数分。参道と思われる、さほど道幅の広くない通りがあり、草もちや一刀彫りのお店が並んでいます。しかしそれほど賑やかなものではなく、時おり、「できたてのおもちいかがですか!」と声がかかり、なんとなく郷愁を感じさせてくれる、そんな趣がありました。その通りから左手に折れると室生寺に通じる赤い太鼓橋がかかっています。その一番高いところから周囲に目を遣ると、周りを高い山々が取り囲み、木々の若葉の緑もまぶしいばかりに鮮やかです。その橋を降りたところにある石標には女人高野室生寺とありました。女人禁制の高野山に対して、女人も入山してよいという意味だそうです。表門の前では、虚無僧姿の人物が尺八を吹いていました。実に絵になる光景です。尺八がこんなに長いものだったとはと、感心もしました。ここから順路は右に折れ、巨樹が立ち並ぶ向こうに高い仁王門が見えます。
このあたりから境内にシャクナゲが目立つようになりますが、残念ながらほとんど終わっているようです。下に落ちている花弁が、やけに目立ちます。そして金堂へと続く鎧坂、石段のひとつひとつの形や磨耗度、向きによって、見る分にはとても絵になる風景ですが、実際に歩くと、とても歩きにくいものでした。平安期、鎌倉期の国宝の建物が続く伽藍、桧皮葺やこけら葺の屋根と青葉、人さえいなければまるで、その昔にタイムスリップしたような錯覚を覚えます。鎧坂と金堂、そしてその石段の脇に咲く満開のシャクナゲを一枚に収めることができたならば、このうえない喜びです!
そして私が一番撮りたかったシャクナゲと五重塔との組み合わせ、なんとか無理やり1本のシャクナゲを前景に入れて一枚撮ることができました。時間を気にしながら急な奥の院に通じる石段を登るとひざはもうがくがく。
ひと通り撮影を終えて、その余韻に浸る間もなく、寺をあとにしバス乗り場に向かいました。
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