日本建築に欠かせない建材のひとつの竹。その種類は、本当にたくさん…。
ミモロは、ある日、京都御苑の西側に位置するエリアにある「横山竹材店」を尋ねました。
ここは、昨日ご紹介した竹工芸品のお店「TAKENOKO]の本社です。
創業は大正8年(1919)で、現在4代目の横山さんがミモロを迎えてくださいました。
まずは、竹材が並ぶ倉庫へ。
「わ~いっぱい竹が並んでる~」とミモロは、キョロキョロしながら歩き回ります。
「あの~何種類ぐらい竹があるんですか?」とミモロ。「う~数えたことないから…1000種類はあるんじゃないかな~」と横山さん。倉庫はここだけでなく、他の場所にもあるのだそう。
夏冬の気温の温暖差が激しい京都は、良質の竹の産地なのだとか。「やっぱり厳しい自然環境の中で鍛えられるんだ~でも、ネコにはキツイ!」と夏の暑さが苦手なミモロです。
日本建築で竹は、外の垣や壁面をはじめ、内装の天井や床の間などさまざまな場所に使われる建材。
竹のもつ清々しさが好まれるだけでなく、資材として比較的手に入りやすかったことや真っすぐで使い勝手がよかったことなども、建材に好まれた理由とも言えます。
「いろんな竹の製品作るんですか?」とミモロ。「う~竹工芸品は、まぁごく一部で、うちは主に内装などの施工が仕事です」と横山さん。
ホテルや飲食店など、竹材の内装は、日本らしさを感じさせるものとして大人気。でも、そこには消防法の厳しい防火基準があり、可燃性の竹材の使用は制限されていたのです。
そこで、ここ「横山竹材店」は、独自の加工技術と最新テクノロジーの融合で、燃えにくい竹「防炎竹」を開発。それにより、竹材の内装の幅は、拡大し、さまざまな趣ある竹の内装が可能になりました。
自然素材を建築に活用なさる建築家・隈研吾さんとも、いろいろなお仕事をなさっているそう。
自社の竹林も所有し、良質な真竹や孟宗竹を育てているそう。「ミモロ、竹林には、筍狩りによく行くの…」と、もっぱら竹林では、筍に興味があるミモロ。横山さんの場合は、育った竹が大切です。
一か月で15mも成長する竹。その中で、竹材として最適なのは、3年目くらいの竹で、人間でいえば20歳くらいの若い竹。
「それくらいが、竹としての強さもあり、また表面が美しいんです。それ以上になると、表面があまりきれいじゃなくなることが多いんですよ」と横山さん。
「え~なんかそれ人間のお肌と同じみたい…年を重ねると、シミができて、肌の張りがなくなってくるでしょ…」と、横目で私の顔を見上げるミモロ。う~竹もそうなんだ~。
さらに美しい肌をもつ竹は、やはり美しい竹を生み出すそうで、美しい肌の竹が育つように、竹林を管理しているのだとか。
ミモロが筍狩りに行く竹林とは、管理の仕方が異なるとか。
「でも、やっぱり春になると筍でるよね~美しい肌の竹の筍って美味しいのかな?」と、やはり食べることが気になるミモロでした。
竹林から切り出した竹は、そのままでは、竹材になりません。火で表面をあぶり、油を抜き、天日干しにする作業を経て、やっと建材などに使える竹になるのです。
いろいろな異なった表情がある竹材。その中でも、今や特に貴重なのが煤竹で、これはかつて囲炉裏があった家の天井材として長年使用され、独特の艶と趣を備えたもの。
「これは今からは作れない竹材で、昔ながらの家が取り壊されると聞くと出かけるんですが、なかなかいいものに出会うことがないんです」と横山さん。「そうだよね~囲炉裏があるおうちって、珍しいもの…」とミモロが思い浮かべるのは、里山に建つ茅葺の農家です。でも、多くの農家は住みやすいように改修工事などが行われ、竹材の天井であるとは限りません。
また、床柱などに使われる亀甲竹を見て、「これもここまで大きいの珍しいかも…」とミモロ。
ところで竹の断面は、丸ですが、筍の時代に、枠をおいて丸以外の形にすることもできるのだそう。
木肌の表面を加工しながら育てるのは、北山杉も同様で、趣ある表情をつくるため、成長過程に手を加えます。
さて、竹の場合、横山さんがトライしたのは、三角や四角の竹づくり。
「ということは、お星さまの形も作れるの?」とミモロ。「う~あまり細かいのは無理ですね~。四角や三角の竹も、近くで見ないとよくわからないかも…まあ、あまり需要がないので…」と。
竹材の中で、今、材料の調達が難しいのが、実は竹箒の素材。また、これを作る職人さんも少ないのだそう。
「え~これからお庭お掃除するのに竹箒使えなくなるかもしれないの…大変…」。日本産の竹箒は、そのうち貴重になるのかも…。
熱帯、亜熱帯のアジアに主に分布する竹は、イネ科の植物で、稲作が行われる地域には分布しています。
種類も数百を超えると言われますが、日本は、その種類の多い国なのです。
日本の分布の北限は、東北地方で、北海道には笹はありますが、竹林はありません。
「パンダが食べるのは笹で、竹じゃないんだ~」とミモロ。「ホントは、筍好きかも…食べたことないから知らないだけなんじゃない」と変なことを想像します。
日本の文化と深い関わりのある竹。横山さんから「道」と付くものとの関わりが深いと伺いました。
華道・茶道・剣道・弓道、書道…「なるほど竹刀や弓矢も竹だ~」と、改めて竹の用途の広さを認識したミモロでした。
それから、物干し竿、ものさし、孫の手、扇子や団扇の骨、筆の軸、尺八、横笛など、次々に思い浮かべます。
今、日本には、手つかずのまま放置された竹林も多いそう。竹の可能性って、いろいろあるようで、使える資源が放置されていることになるのかもしれません。「もったいないね~」とミモロ。
竹のことをいろいろ教えて頂いた、楽しい時間を過ごしたミモロは、再びショップへ向かい、そこで職人さんの作業を見学することに…
*「横山竹材店」の詳しい情報はホームページで
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