昨夜、ケイタイに「わたし!」ってかかってきた。声を聞けばすぐわかる、中学からの友だちだ。「あのねえ、講演と演奏の集いがあって行ったの。ハーモニカの演奏者が刈谷の人というので紹介してもらったら、英語を教えていた医院のつながりの人なのよ」と早口でまくしたてる。その人とのつながりが分からないが、高校の1年先輩がいて、体育館の全校生徒の前で、ハーモニカの演奏を披露してくれたことがある。
そして今から20年位前に、名古屋の若手経営者の集まりで偶然にもその先輩に出会った。この時もハーモニカを演奏してくれたが、その世界では有名人のようだった。残念ながら名刺交換するほどの人物になれていなかったので、あいさつしただけの出会いだった。私の方はよく覚えていても、先輩が忘れずにいてくれたかは確かでない。話せば、「今何している?」ということになるし、「材木屋はどうなったの?」と聞かれることになる。
自慢できることならきっと人は胸を張って話すだろう。そうでなければ、人目に触れない場所に移動するしかない。友だちは続ける。「あなたも英語塾、一緒だったわよね」と言う。残念ながら私は彼女たちの小学校区に住みながら、別の小学校へ通っていたので、周りの人たちとは交流がなかった。英語塾があることも知らなかった。「きっと、成績のよかった女の子や男の子たちが通っていたと思うよ」と答えると、「わたし、勉強できなかったから」と言う。
中学3年になって同じクラスになったけれど、あの頃は1学年が8クラスもあったから、一度も同じクラスにならずに卒業した子もたくさんいる。高校生になってから知ったが、彼女の長兄はトヨタのエライ人だった。彼女の家に遊びに行った時、その長兄の幼い子が、絵本を開くと文字が読めないのに文章を暗記していたから、「この子は天才ですね」と兄嫁さんに言うと、「子どもはそんなものよ」と教えてくれた。
静岡県の湖西市に住んでいる彼女は、「みんなどうしている?たまにはこちらへ遊びに来てよ」と言う。「日程を決めてくれれば、声はかけるよ」と答えると、「そっちで決めて」と言う。以前、せっかく決めたが、彼女の都合がつかなくて中止になったことなどすっかり忘れている。