介護施設に姉を見舞いに行ってきた。玄関で私たちを迎えてくれた姪っ子が、「薬を飲まないから、困っちゃう」と言う。「『90歳までは生きなきゃー』と言ったところ、『そんなに長生きせん』と言うので、『あと2年だから、ちゃんと薬飲んで頑張ってよ』と言うと、『2年なら、頑張る』と言うのに、なんで薬飲んでくれんのだろう」と話す。今日の姉はみんなの話を穏やかに聞いていた。帰り際に、「薬、飲んでいないんだって」と私がそっと聞くと、うなずいて「飲まん」と言う。
腰を動かすことが出来ないので、同じ姿勢が長時間続くと「お尻が痛い」と言い出す。何を言われても、どうすることも出来ない。天命を待つしかない。姉が私を見て、「あんたも髪の毛が白くなったね」と心配してくれる。もう、74歳だ。父親や母親よりも20年も長生きした。一番早く死ぬだろうと言われた姉が最も長生きしているのだから不思議だ。神様がどのような考えからそうされているのか、私には知る余地もない。
「最近、子どもを殺す悲惨な事件が多いね」と義理の弟が言う。新潟の小2の女の子殺害や、義理の弟が姉家族に刃物を振りかざして6歳の女の子を刺し殺したり、流れてくるニュースはそんな陰惨な事件ばかりだ。エルサレムへ大使館を移したアメリカに抗議して、パレスチナの人々がデモを行い、イスラエル軍が実弾で暴徒を抑え込み、何十人も死者が出ている。抗議だけなら整然と行えばいいのに、暴動化すればむしろ餌食になってしまう。
大きな戦争はないけれど、紛争は途絶えることがないし、平和と思われる都市でも自爆テロや殺傷事件が繰り返されている。こんなに平和なのに、なぜか分からないが、人々はイライラしている、そんな感じがする。人間は穏やかに、のんびりと、相手を受け入れることが出来ない動物なのだろうか。情けない。