悪質な反則行為で関学大の選手を負傷させた日大アメフット部の選手が、記者の前に顔と氏名を明らかにして、謝罪し、監督・コーチからの指示だったと述べた。彼は退部届を出しており、アメフットボールは続けられないと覚悟をしていた。日大の内田監督も井上コーチも「反則を指示したことはない」と言うが、「詳しくは24日に文書で回答する」としている。
指示していない、選手が勝手に思い込んだ、監督の意向と選手の受け止めに「乖離があった」と前回、日大は関学大に回答しているから、どうしてそうなったかを詳しく回答するのであろう。日本のスポーツ競技は、小学生から社会人まで、監督・コーチの指導は絶対である。小学校の運動場からも「バカか、何やっとる」と檄が飛ぶし、練習が終われば「ありがとうございました」と一斉に頭を下げる。
監督やコーチは技術や作戦を伝授する訳だから、そこには絶対の自信があり、選手からの信頼が存在する。この上下関係が嫌いだったから、私は団体競技には向かなかった。私は高校で、デザインと美術を教える教師になったが、私が彼らよりも若干年上だから、知識も技術も持ち合わせていたから勤めることができた。生徒たちの知識や技術そして発想を引き出し、これらを高める手助けが自分の役割だと思っていた。
表現や発想で、ひょっとすると私を超えていくかも知れないと思う生徒はいたので、スポーツの監督やコーチのように、頭から怒鳴りつけ、「バカか」と言い放つことは出来なかった。一緒に居て、一緒に考え、一緒に作業することで、彼らが育っていくことを念頭に置いていた。実際、社会人となって活躍するうちに私を超えていった。社会人となればライバルである。優れた技術、発想が常に求められる。私が教師を続けていたら、アーチストとして競い合っただろう。あの時、ケガをしなければ。
別の道を進んだ私を、「先生」と呼んでくれる卒業生をありがたいと思う。