友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

突然の電話

2007年05月01日 19時47分59秒 | Weblog
 夕刻、電話がかかってきた。
 澄んだ声だった。名前を聞いてビックリした。先日、中学時代からの友人を訪ねた時、駅で待ち合わせをした。一緒に行く友人が「売店の中を見てみろ」と言うので、覗くとそこに懐かしい顔があった。でも、ちょっと違う。恐る恐る中学時代の名前を言うと、その女性は「それは姉です。姉はここにはいませんが、もし、よろしければお名前を教えてください。姉に伝えます」と言った。

 私たちが子どもの頃はこの駅に隣接して売店があり、パンやお菓子を売っていた。お店の中に机とイスがあり、冬にはおでんが、夏にはカキ氷が食べられた。確か、夜はお酒も出ていた。まだ飲み屋の少ない時代だったから、常連客がママさんを目当てにやって来ていたように記憶している。彼女はその店の長女で、色が白くて丸顔で可愛かった。男の子には人気があり、彼女に憧れていた友人は多かった。

 あの時、名前は名乗ったが、名刺は持たなかったから私の連絡先などは伝えていなかった。それが、突然電話をしてくれたのだから驚いた。驚いた割にはかなり長い時間話をした。なぜ、故郷の町へ行ったかに始まり、中学3年の時の私たちのクラスがとても仲良しでズッーとクラス会を続けていることや、また連休明けにはクラス会の打ち合わせのためにそちらへ出かけるつもりだとか、とりとめもなく話した。

 彼女は60歳の時に、高校の同窓会があったことや、いつの間にか年を重ねてしまったけれど受け入れていく以外にはないと思っているとか、まだ塾をして働いているといったことなどを話してくれた。私が高校の新聞部の集まりは今も続けていると話すと、ビックリしていた。あの日に一緒に友人宅へ出かけた男と彼女は、高校では同じ「文学クラブ」だった。私は「文学クラブ」ではなかったが、なぜか「文学クラブ」の藤村記念館の見学に同行したことを思い出した。

 私は激しい恋に憧れていたので、真面目で清純で可愛い彼女に触手が動くことはなかった。私はカルメンやボバリー夫人との出会いを求めていた。しかし現実と小説とは明らかに違う。恋はしたけれど、聡明で堅実な女性と結婚した。彼女が「こちらにみえることがあったら、ぜひお寄りください」と言ってくれたけれど、結婚した姓を聞かなかったし、連絡先も聞かなかった。彼女はおばあさんになったと言うが、こちらもおじいさんで頭は禿げ上がり、出会ってもわからないかも知れない。でもまた偶然の出会いもあるだろう。
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1 コメント

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ふぅーん (てらまち)
2007-05-02 18:16:33
ごちそうさま。。。
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