我が家の電化製品に次々と不具合が生まれてきた。テレビは買い換えたけれど、洗濯機と冷蔵庫と電気釜はそのまま使っている。冷蔵庫は電気屋さんに来てもらって修理したが、調子はよくない。このところ2晩続いて、夜中に大きな物音がしている。カミさんが冷蔵庫と格闘しているのだ。「冷凍室に空気が入って氷が出来て、蓋がキチンと閉まらないから取り除いている」と言う。
真夜中に大きな音を立てたのはご近所迷惑になる。「もう、限界ではないの?」と言うが、「氷を取ればまだ使える」と言って聞かない。アイスピックでそんなに叩いたら、冷凍庫の壁面が傷だらけになってしまうか、穴が開いてしまうが、必死の形相に何も言えない。しかし今日、とうとう諦めたのか、「家電売り場に行ってきた。あなたも見て」と連れていかれる。冷蔵庫を見ていると知人がやって来た。
「製氷機が壊れてしまって」と彼は言う。我が家と同じだ。そう言えば、友だちのふたりも「冷蔵庫を買い換えた」と言っていた。同じような新製品が出て、購入したものが痛み出したのだろう。電化製品はある周期で劣化する。そうならなければ、メーカーとしてはやっていけない。大方に行き渡ってしばらくすると、買い替えの時期になるように出来ているのだ。
合併浄化槽で充分機能を果たせるのに、都市下水がステイタスのようにどこの自治体も下水処理場を建設し、下水管の敷設工事を行っている。全域が完成するまで30年はかかるという。そしてその頃は、下水処理場も新しくしなくてはならないそうだ。こんな風に工事は繰り返され回っている。これが経済活動なのだろう。頂点に達した後は必ず下るわけで、いつも右肩上がりになるのは無理である。
科学が進歩すれば生産能力も上がる。それで人間は自由な時間を手に入れられる。イギリスでもカナダでもアメリカ型社会から手を引く政党が支持を広げている。生きていられるならあくせく儲けなくてもいいと考える人が増えてきているようだ。