風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

バンクーバー・オリンピック(前編)

2010-02-20 03:38:33 | スポーツ・芸能好き
 事前にはいまひとつ盛り上がりに欠けたオリンピックでしたが、いざ始まってみると、いつもの高揚感があり、それぞれの背後に隠れたドラマを含めて食い入るように見入ってしまいます。オリンピックは四年に一度、しかも一瞬の芸事だけに、結末に至る経緯、それぞれの物語を知りたいと思うのは人情なのでしょう。
 前半戦を振返ると、さすがにメダルを獲得したスピード・スケート男子500メートルとフィギュア・スケート男子は見応えがありました。長島・加藤両選手の走りには感動しましたが、両選手が属するスケート部を守り続けた日本電産サンキョーという会社の存在も有難く、二人三脚の勝利となったところが、他人事ながら嬉しく思いました。フィギュアの高橋選手は、一年前の今頃は、練習中に転倒して右膝の前十字靭帯を断裂した後のリハビリ中で、リンクに戻ったのは4月のことでした。その後の驚くべき回復があったればこそと思えるような、失敗を恐れず果敢に4回転に挑戦した姿勢は清々しく、見ていて気持ちが良かったですね。期待されながらメダルに届かなかったフリースタイルスキー女子モーグルも印象に残ります。得意のエアだけでなく、ターンの技術を必死に磨いてスピードを身につけ世界選手権を制した上村選手は、一年前であれば確実に優勝できたであろうに、その後の一年で後続のキャッチアップを許してしまった、この世界の競争の激しさ、勝負の非情さを思い知らされます。かつての金メダリストでありながら、なお里谷選手の捨て身のスピードもなかなか迫力がありました。全般的に、もはや日の丸を背負う悲壮感はなく、ゲームを楽しんでいるとインタビューに応える若い選手が多かったのが、時代が変わったことを感じさせます。
 そういう意味で、だらしない服装だと世間の非難を浴びたスノーボード男子ハーフパイプの国母選手には、ちょっと同情します。特別に変っているわけでもなく、ごくありきたりの、いまどきの若者に見えるからです。しかし、着こなしはTPOが重要です。世間の多くは、今なおオリンピックが他の競技会とは明確に異なり、四年に一度の国別対抗のお祭りだと多かれ少なかれ思っているわけで、そういう晴れの舞台に相応しい身なりを期待する国民感情、最近の言葉で言うと空気を、しっかり読むべきでした。
 いずれにしても、長い物語の末に結実する、この一瞬に賭けるそれぞれの思いが伝わって来て、水野晴郎さんではないですが、いやあ、オリンピックって本当にいいもんですね~!(ちょっと古い)
コメント
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