風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

禁煙のおもいで

2010-02-19 01:17:18 | 時事放談
 厚生労働省は、ようやく重い腰をあげ、飲食店や学校・病院などの公共施設を全面禁煙とするよう求める通知を自治体に出すことを決めたと報じられました。これには駅、空港、ターミナルのほか、宿泊施設、遊技場、劇場、百貨店、鉄道・バス・タクシーも含まれるそうです。日本も加盟しているWHOのタバコ規制枠組み条約で、2010年2月までに全ての公共の建物内を完全禁煙とするガイドラインに従ったものと思われます。自民党政府はガイドラインに拘束力はないと開き直っていましたが、これも政権交代の効果と言えましょうか。もっとも健康増進法は罰則を設けていないため、今回の通知違反にも罰則はないそうです。そうした姿勢を示すことが重要だと厚労省は主張しているようですが、罰則がなくてどこまで実効性があるものやら。
 私が会社に入った四半世紀以上前には、机の上に灰皿があって、オフィス内は煙っていました。末席に座らされた新入社員の私は、女性の先輩社員に囲まれて、禁煙を迫られてイジメられたことを懐かしく思い出します。実際に私は間もなく禁煙しましたが、いつの間にかオフィスでも分煙が進んだように、時代の流れだったのでしょう。その分煙も、ドアの開閉で煙が禁煙区域に流れるのを防ぎきれないため、喫煙をしない周囲の人が煙を吸わされる「受動喫煙」対策として十分ではなく、全面禁煙の実施こそ、受動喫煙の被害から人々を守る唯一の効果的な方法だと、WHOは報告しています。
 当時から、アメリカではオフィスの建物自体が禁煙で、喫煙者は不自由しているということを、現地駐在日本人から伝え聞いていました。ヨーロッパでも既に何年も前から禁煙法を制定する国が増え、つい2~3年前、禁煙活動に積極的ではないと言われたイギリスでさえも、パブやカフェ、レストランが禁煙になったことが話題になりました。それに引き換え日本では禁煙の動きが鈍く、喫煙率は低下傾向とは言え依然20%(男性39%、女性12%)と、男性の喫煙率だけ見ると欧米の二倍の高水準を維持しています。最近、煙草の値上げについても報道されていましたが、かつては海外出張の土産として煙草は定番だったのに、今では日本の煙草の方が安く、欧米の三分の一と、いつの間にか逆転しています。欧米がやることは何でも正しいとか、グローバル・スタンダードだから従うべきなどと子供じみたことを言うつもりはありませんが、グローバルに人が行き交う世の中では、世界の常識をもっと気にして然るべきだろうと思います。
コメント
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