東京スカイツリーが、この22日で開業一周年を迎えました。昨年の夏休みに、街の構造物を写生する宿題が出たときに、中一の子供が選んだのは、懐かしの東京タワーで、子供の目にもスカイツリーは、そういう目で見た面白さには欠けるのでしょうか(それとも単に子供が、誰に似たのか、ひねくれているだけなのでしょうか)。そんな私も、昇らないどころか足元にも近付かない、遠い存在のスカイツリーに、この一年で展望台入場者638万人と言われても焦るような数字ではありませんが、スカイツリータウンの来場者総数5080万人(当初予想の1.6倍)と言われると、なんだか出遅れ感を覚えないわけではありません。これだけの集客力ですから、経済への波及効果は計り知れず、関西大大学院の宮本勝浩教授によると、東京スカイツリータウンへの観光客の買い物や宿泊代などで700億円、その周辺施設だけに来た観光客の消費総額3500億円、更に、これらの仕入れ先などの関連企業への経済循環1700億円、合計5900億円と弾きました(産経新聞)。日本人は金がありますから、そのはけ口さえあれば活性化するという好例でしょう。
そんな私ですから、当日の日経・朝刊で、スカイツリー開業1年の見出しには、さしたる感慨が湧かないのですが、「高い技術力健在」「地元中小に脚光」と題する記事が、地元経済の頁に掲載され、地味ながらつい惹かれました。
一つは、スカイツリー開業式のテープカットに使われたハサミを製作する会社(石宏製作所)です。20年以上にわたり手作業を続け、刃に独特のひねりを付け、軽い力でもよく切れるそうで、普段は手術などに使う医療用が主力ですが、長引く不況で受注が減少していたところ、「スカイツリーに使われた」ことが評判を呼び、最近は「式典で使いたい」という依頼が増えているほか、一般向けにもソラマチ内で販売しているそうです。
二つ目は、スカイツリーの形状をバネで忠実に表現した片手を広げた位の高さのインテリア雑貨を作る会社(楓岡ばね工業)です。名刺やちょっとしたメモを挟めるようになっていて、たかがインテリア雑貨と言っても、下の方こそ三角錐状でも伸びた先はほぼ円柱形になっており、その形の変化を表現するのに、バネの弾力や寸法調整など試行錯誤を繰り返し、培ったノウハウを結集して、完成まで2年もかかったそうで、その甲斐あって、かつては油圧シリンダーや発電所のコイルなど産業向けの売上が8割を占めていましたが、今では雑貨の比率が4割まで高まったそうです。新たな分野に挑戦することで新たなノウハウを身につけ、飛躍した(と言うと大袈裟ですがご褒美を貰った)好例ですね。
三つ目は、地上と展望台を行き来するエレベーター内に装飾されたアートパネルの一つ、「都鳥の空」の真鍮製の鳥を作った会社(東日本金属)です。銀メッキを施し、薬品で黒く燻した後に銀色を磨き出したもので、鋳物を作る際の材料や温度管理などに神経を研ぎ澄ました逸品だそうです。
日本経済は、財閥が強いだけの韓国経済と違って、こうした技術力をもつ町工場の厚みにこそ強みがあると思いますので、スカイツリー効果であろうが、何をキッカケにするにしても、脚光を浴びて、あらためてその技術力が見直されるのは良いことだと思います。どんどん日の目を見させてあげたい。日本には、知られていないだけで、キラリと光る会社は一杯あるのでしょうね。技術好き日本人の面目です。
そんな私ですから、当日の日経・朝刊で、スカイツリー開業1年の見出しには、さしたる感慨が湧かないのですが、「高い技術力健在」「地元中小に脚光」と題する記事が、地元経済の頁に掲載され、地味ながらつい惹かれました。
一つは、スカイツリー開業式のテープカットに使われたハサミを製作する会社(石宏製作所)です。20年以上にわたり手作業を続け、刃に独特のひねりを付け、軽い力でもよく切れるそうで、普段は手術などに使う医療用が主力ですが、長引く不況で受注が減少していたところ、「スカイツリーに使われた」ことが評判を呼び、最近は「式典で使いたい」という依頼が増えているほか、一般向けにもソラマチ内で販売しているそうです。
二つ目は、スカイツリーの形状をバネで忠実に表現した片手を広げた位の高さのインテリア雑貨を作る会社(楓岡ばね工業)です。名刺やちょっとしたメモを挟めるようになっていて、たかがインテリア雑貨と言っても、下の方こそ三角錐状でも伸びた先はほぼ円柱形になっており、その形の変化を表現するのに、バネの弾力や寸法調整など試行錯誤を繰り返し、培ったノウハウを結集して、完成まで2年もかかったそうで、その甲斐あって、かつては油圧シリンダーや発電所のコイルなど産業向けの売上が8割を占めていましたが、今では雑貨の比率が4割まで高まったそうです。新たな分野に挑戦することで新たなノウハウを身につけ、飛躍した(と言うと大袈裟ですがご褒美を貰った)好例ですね。
三つ目は、地上と展望台を行き来するエレベーター内に装飾されたアートパネルの一つ、「都鳥の空」の真鍮製の鳥を作った会社(東日本金属)です。銀メッキを施し、薬品で黒く燻した後に銀色を磨き出したもので、鋳物を作る際の材料や温度管理などに神経を研ぎ澄ました逸品だそうです。
日本経済は、財閥が強いだけの韓国経済と違って、こうした技術力をもつ町工場の厚みにこそ強みがあると思いますので、スカイツリー効果であろうが、何をキッカケにするにしても、脚光を浴びて、あらためてその技術力が見直されるのは良いことだと思います。どんどん日の目を見させてあげたい。日本には、知られていないだけで、キラリと光る会社は一杯あるのでしょうね。技術好き日本人の面目です。