風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ブリヂストン美術館

2013-05-30 23:48:55 | たまに文学・歴史・芸術も
 「Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945」と題する企画展を見ました。明治維新以降、西洋文化に憧れ、追いつき追い越すことを目標としていた日本人画家が、初めて大挙して訪れた5回目のパリ万博から第一次世界大戦までの時期(1900~1914)と、戦勝国となった日本が経済発展を背景にして、画家の渡仏を再開し飛躍的に増加した1920年代から第二次世界大戦までの両大戦間期(1918~1945)との二つの時期に分けた展示で、初めの内は、確かに西洋美術を学びとろうとする健気な姿勢やある種の意識の昂揚が前面に出ているのが感じられたのに対し、やがて、西洋美術を取り入れながらも新たな個性として昇華する、藤田嗣治や佐伯祐三のような伸びやかな筆が現れたのを感じ、時代の流れをうまく捉えた構成になっていることに感心しました。
 しかし、ブリヂストン美術館で驚かされたのは、象徴派をはじめとする常設展の方でした。コロー「森の中の若い女」、モネ「黄昏 ヴェネツィア」「睡蓮の池」、セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、モディリアーニ「若い農夫」、ピカソ「女の顔」「腕を組んですわるサルタン・バンク」「ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙」、マリー・ローランサン「二人の少女」など、中学生の頃、誰もが美術の教科書でお馴染みだった絵に、再び出会えてびっくりすることでしょう。あぁ、あれがこれか・・・と、常設展ながらその数と、数だけではない品質の高さに圧倒され、大原美術館の大原孫三郎に、自身がパトロンとしても援助していた洋画家・児島虎次郎がいたように、石橋正二郎にも余程の目利きがいたであろうことを想像させるほどの充実度です。
 僅か800円の入場料ですから、たとえ企画展に満足しなくても、常設展には満足すること請け合い・・・何かの機会に是非、訪れてみて下さい。今回の企画展は6月9日までです。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする