風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

世界水泳

2013-08-03 14:21:06 | スポーツ・芸能好き
 バルセロナで水泳の世界選手権が開催され、熱戦が繰り広げられています。これまで、女子では寺川綾さんが50メートルと100メートルの背泳ぎで銅メダル2つ、男子では萩野公介さんが400メートル自由形と200メートル個人メドレーで銀メダル2つを獲得しました。萩野さんに注目しています。
 彼は、高校生で出場した昨年のロンドン五輪400メートル個人メドレーで、フェルプスに競り勝ち、銅メダルを獲得したのが印象的でした。東洋大1年生として出場した、この世界水泳の代表選考を兼ねた4月の日本選手権では、彼自身も尊敬するという入江陵介に200メートル背泳ぎで6冠を阻止されたものの、100メートル背泳ぎ、200&400メートル自由形と200&400メートル個人メドレーの5種目で優勝する圧巻の強さを見せつけました。古くはミュンヘン五輪のマーク・スピッツ、最近では「水の怪物」マイケル・フェルプス(1985年アメリカ生まれ、193センチ、91キロ)やライアン・ロクテ(1984年アメリカ生まれ、188センチ、84キロ)のように、複数種目で活躍する選手が日本でも現れたかと感慨深いものがあります。萩野は、彼らより10歳下で、体格もひと回り小さい(175センチ、70キロ)。それでも、個人6種目にエントリーし、一日に決勝レース2本や、予選と準決勝レース2~3本をこなしながら、これまで5種目全てで決勝に進出し、先ほども触れたように銀メダル2個を獲得する快進撃が続いています。
 それにしても、若いとはいえ、複数種目をこなす体力は大したものです。日本代表をサポートするトレーナーの小沢邦彦氏は、「1本1本のレースで全力を出し切れて、しかも回復が早いという良い質の筋肉を持ってる」「彼の強さを支えているのは、体幹を使った効率のいい泳ぎ」「腕や脚などの細かい筋肉をメーンに使って泳ぐと疲労がたまりやすく、後半の泳ぎに伸びがなくなってしまう。しかし、体の大きな体幹部分を動かして、その力を末端部分に伝える動きができれば、腕や脚の疲労はかなり軽減され、後半にしっかりと力を発揮できる」と言います。また、萩原智子さんも、「水面を滑るように進む彼の泳ぎは、まるでアメンボのように優雅だ」と形容し、彼の泳ぎは「究極のエコ」だと解説されていました。「水泳は、泳ぎの中でどれだけ水の抵抗を減らすかが、大きなポイントになる」、「体が水面によく浮くということは、抵抗の少ない泳ぎができているということ」、では、どうして水面に浮くことができるのかというと、ストロークの際、手が入水しキャッチ(手で水をとらえる動作)する姿勢が、彼の場合、しっかり肩甲骨を広げ、伸びているのにもかかわらず、手―腕―肩の落ち込みが少ないため、水面の高い位置で、手―肩―胴体―足まで一直線に体を保つことができ、水の中を移動するのに一番抵抗が少ない形になっているのだそうです。「その一直線の状態のまま強烈なキックを打つことで、高い推進力が発揮される」というわけです。爆発的なラスト・スパートは、萩野選手の泳ぎが、無駄なエネルギーを使うことがないエコ泳法から生まれていると言えそうです。
 北島康介もそうでしたが、無駄な動きがなく燃費が良い泳ぎというのは、100分の1を争う世界を勝ち抜く一流選手には必須の条件のようですね。水泳だけでなく、体操の内村航平や、ゴルフの松山秀樹など、体格では劣っても技術で十分に世界に伍することが出来ることを実証してくれて、日本人として勇気が出ます。
コメント
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