風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アジア太平洋の旅(中)

2015-06-30 00:01:16 | 永遠の旅人
 今回は食のつれづれ。
 月曜の夜行便で出て、翌朝、NZ・オークランドに到着し、さらにウェリントン行きの国内線ターミナルへは、バスが周回しているほか、歩いて10分、路面に緑の線が引いてあるので、子供でも間違えない・・・というので、3時間の時差で寝惚けた身体を起こすのに丁度よいと、てくてく歩くことにした(写真 上)。そういえばボストンのダウンタウンにも、歴史的な建造物を巡って歩くのに、路面に線を引いて誘導していたのが、外国人には便利だった。観光立国を目指す日本でも覚えておいて損はない知恵ではないか。
 そのオークランドの国内線ターミナルには、マクドナルドの横にHAYAMAなる日本食レストランがあった。まだ目が覚めていない身体は、ハンバーガーより、うどんを欲して、これも市場調査だと自分に言い訳して、日本食レストランに向かった。きつねうどん12ドルは高いと、一瞬、思ってはみたものの、先進国の、しかも空港という立地で、同じ空港のコーヒーの値段の3倍程度であれば、目くじら立てることではないのだろう。レトルト麺だが、麺つゆは関西風であっさりしていて、機内で上手く寝付けなかった身体に優しかった。
 食べ終わって食器を片付けようと立ち上がって、さて、ここはNZだと思い直した。アメリカでもマレーシアでもオーストラリアでもそうだったが、片付ける人の仕事を奪ってはいけないのである。言葉は悪いが低階層の人に仕事を分け与えるという意味で、移民社会の合理的な知恵と言うべきなのだろうが、一億総中流を自負してきた日本人には、いまひとつ居心地がよいものではない。しかしピケティさんが言うように、資本主義に内在する格差の現実に、日本人はいつまで目をつぶっていられるのか(それとも日本の資本主義はやはり異質なのか)。
 1時間のフライトでウェリントンに到着したあと、シンガポールから合流する同僚と会うまでちょっと時間があったので、軽い昼食でも取ろうと、ホテル付近をぶらぶらして、When Hanoi meets Parisなどと小じゃれたサブタイトルが付いたベトナム料理の店を見つけて、つい引き寄せられるように入ってしまった。なるほど洗練されているが、確かなアジア的な美味しさにホッとする。それでもNZの夜は、せっかくだからと、地元のシーフードレストランでカニを楽しんだ。ワインは何故か(シンガポールの同僚の勧めで)安いチリ・ワインにしてしまって、何故、多少高くとも地元ワインにしなかったかと後悔したが、料理はなかなか美味かった(ワインはいまひとつだった)。
 その後、バンコクに到着した夜は、前回のブログでぼやいたように韓国料理で、翌日の昼はささやかにローカルのタイ料理を楽しんだものの、夜は再び日本風居酒屋で、翌日ジャカルタに移動した昼も日本食で、夜も日本風居酒屋で・・・とまあ、駐在員の勧めに応じているとは言い訳で、敢えてローカル・フードにチャレンジすることなく流れに身を委ねるのが楽でいい・・・といった気持ちに囚われて、ことほどさように、歳をとると、食事に柔軟性がなくなって行くのが寂しくもある。
 そんなこんなで地上での食事は我が儘のし放題だが、機内食はチョイスが限られるので、そもそも期待しないことにしている。というのも実は強がりで、特にアジア系の航空会社には、同じアジア人(などという存在はただの幻でしかないが)として秘かに恃むところがあって、実際に、タイ航空で行くバンコク~ジャカルタ間は朝食にChicken Porridge(粥)が出たのが嬉しかった。さらに微笑みの国そのままに、飲み物はどうかと何度も笑顔で勧めてくれるので、つい調子に乗ってワインを何杯も重ねてご機嫌だった。続いてジャカルタからの帰国便はJALで、本格的な牛丼が出たのが、疲労困憊した身体に嬉しかった。なでしこジャパンが「JALで移動中」などとTVコマーシャルが流れているが、海外生活が長くて倦んだ人、外の食に珍しさを感じない人、そして私のように歳を重ねて我が儘な身体を持て余す人には、ナショナル・フラッグのJALがいいと、つくづく思う今日この頃である。Star Alliance加盟の航空会社では、米国駐在当時からユナイテッドのFrequent Flyer Programに参加していて、買い物ポイントも含めて今でも25万マイル以上貯めているが、こちらもそろそろANAに切り替えようかと思案しているところ(因みにJALはoneworld加盟)。この歳になると、やっぱり自分は日本人なのだと思う。
コメント
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