その昔、ちあきなみの「四つのお願い」という歌があった。何事も「2」では偏って不安定な感じがするため、「3」という鼎の安定感ある数字がよく使われるものだが、「4」というのは珍しい。「お願い」だからもう一つオマケに、といったところか。曲後半のサビのところでその四つのお願いが列挙される。
一つ「優しく愛して」
二つ「ワガママ言わせて」
三つ「寂しくさせないで」
四つ「誰にも秘密にしてね」
という何とも艶やかな(しかしワガママな)ものだ。Wikipediaで調べると、彼女の「4」枚目のシングルで1970年「4」月リリースだという(わざわざ4をカッコ書きにしたが、偶然だろう)。大阪万博の頃のことで、アメリカ館の「月の石」にワクワク胸を躍らせながら、こんな曲を口ずさんでいたのだから、何ともマセたガキだったものだし、今でも諳んじるのだから、どうでもいいことをいつまでもよく記憶しているものだと呆れてしまう。
昨日の日経によると、中国の王毅外相も岸田外相に対して「四つのお願い」をしたらしい。もっとも日経では「四つの“要求”」としていて、実際に王毅外相は会談冒頭で「誠心誠意で来たのであれば歓迎する」などと不遜な態度で吠えたというから、文脈としては“要求”が正しいのだろう。しかし中身を見れば、ちあきなおみの「四つのお願い」レベルである。
一つ「歴史を直視・反省し、(中国と台湾が不可分とする)『一つの中国』政策を守る」
二つ「中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない」
三つ「経済面で中国を対等に扱い協力を推進する」
四つ「地域や国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる」
まさに、台湾と中国の二股かけずに私だけ見て(優しく愛して)、南シナ海への海洋進出は大目に見て(ワガママ言わせて)、もはや低賃金労働が売りの世界の工場ではなく、産業高度化を進めているのだから、労賃(物価)が上がったとか情報漏えいが懸念されるなどチャイナ・リスクがあるとソデにしないで(寂しくさせないで)、AIIBなど地域や国際社会のためとは大義名分で、実は自国の過剰在庫処分や成長のための投資先を求めているだけだとか、だから出資比率の高い中国が牛耳るなどと本音のところは詮索しないで(誰にも秘密にしてね)、という感じだ。
今回の会談で、にこやかな(時に愛想笑いが鼻につく)岸田外相に対して、苦虫を噛み潰したような渋い表情で握手に応じた王毅外相が印象的だった。日中関係停滞の原因を一方的に日本に押しつけ、歴史認識にしても中国脅威論や衰退論にしても、心掛けがよろしくないと、華夷秩序の「中華」が周辺の「蛮族」たる日本を上から目線で指導するかのような高飛車な態度を、わざわざカメラの入った場面で行うのだから、そもそも外交上、非礼であるし、やられた我々としては甚だ不愉快である。四つの“要求”は、むしろ中国に当てはまるものであり、そのまま熨斗をつけて返してやりたいくらいだ。が、翻って、そのときの中国の真意を忖度すると、そのカメラの先に意識していた視線は、日本国民でも国際社会でもなく、中国の民衆なのだろう(毎度のことながら)。だから産経Webが社説(「主張」)で、「岸田文雄外相は、冒頭の王毅発言に、直ちに反論すべきだった(中略)そこで黙すれば相手の言い分を認めたとみなされ、国益を損ないかねない」と怒りたくなるのも無理はないが、逆に、中国は相当焦っているし追い詰められていると考えるべきだろう。エドワード・ルトワック氏が「中国4.0」の中で述べたように、小平氏が「韜光養晦」と称した平和的台頭をかなぐり捨て、2009年以降、対外強硬政策に転じると、安倍政権の地球儀俯瞰外交が成功したところに典型的に見られるように、周辺国は中国への警戒から結束し、ことごとく裏目に出て、何も良いことがないのである。リーマンショックで打ちひしがれた世界を救った英雄気取りでいたら、中国経済は注射(投資)漬けの重症患者になってしまった。
しかも、こうしたオメデタイ(?)場がもたれている間も、中国海警局の船は尖閣諸島周辺の領海外側の接続水域を航行し、海上保安庁の巡視船に警告され続けたのである。過去10日間も・・・。まあ、習近平国家主席が昨年、インドのモディ首相を訪問していた時にも、人民解放軍がカシミールの実効支配線を越えてインド側に侵入していたから、毎度のことと言ってしまえばそれまでであるが。
因みに、件のちあきなおみの曲の三番で、「四つのお願い」は次のように表現される。
一つ「優しくいつでも」
二つ「二人は幸せ」
三つ「いつしか結ばれて」
四つ「貴方と私はひとつ」
中国と日本がこれでは、なんだか気持ち悪いが、いやいや中国にしてみれば、日本を完全な属国としてハイクオリティの技術から人材まで全て征服したい(もっと言えば日本など呑み込んで消し去ってしまいたい=貴方と私はひとつ)といったあたりに、本音があるのかも知れない。冗談ではないが・・・
一つ「優しく愛して」
二つ「ワガママ言わせて」
三つ「寂しくさせないで」
四つ「誰にも秘密にしてね」
という何とも艶やかな(しかしワガママな)ものだ。Wikipediaで調べると、彼女の「4」枚目のシングルで1970年「4」月リリースだという(わざわざ4をカッコ書きにしたが、偶然だろう)。大阪万博の頃のことで、アメリカ館の「月の石」にワクワク胸を躍らせながら、こんな曲を口ずさんでいたのだから、何ともマセたガキだったものだし、今でも諳んじるのだから、どうでもいいことをいつまでもよく記憶しているものだと呆れてしまう。
昨日の日経によると、中国の王毅外相も岸田外相に対して「四つのお願い」をしたらしい。もっとも日経では「四つの“要求”」としていて、実際に王毅外相は会談冒頭で「誠心誠意で来たのであれば歓迎する」などと不遜な態度で吠えたというから、文脈としては“要求”が正しいのだろう。しかし中身を見れば、ちあきなおみの「四つのお願い」レベルである。
一つ「歴史を直視・反省し、(中国と台湾が不可分とする)『一つの中国』政策を守る」
二つ「中国脅威論や中国経済衰退論をまき散らさない」
三つ「経済面で中国を対等に扱い協力を推進する」
四つ「地域や国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる」
まさに、台湾と中国の二股かけずに私だけ見て(優しく愛して)、南シナ海への海洋進出は大目に見て(ワガママ言わせて)、もはや低賃金労働が売りの世界の工場ではなく、産業高度化を進めているのだから、労賃(物価)が上がったとか情報漏えいが懸念されるなどチャイナ・リスクがあるとソデにしないで(寂しくさせないで)、AIIBなど地域や国際社会のためとは大義名分で、実は自国の過剰在庫処分や成長のための投資先を求めているだけだとか、だから出資比率の高い中国が牛耳るなどと本音のところは詮索しないで(誰にも秘密にしてね)、という感じだ。
今回の会談で、にこやかな(時に愛想笑いが鼻につく)岸田外相に対して、苦虫を噛み潰したような渋い表情で握手に応じた王毅外相が印象的だった。日中関係停滞の原因を一方的に日本に押しつけ、歴史認識にしても中国脅威論や衰退論にしても、心掛けがよろしくないと、華夷秩序の「中華」が周辺の「蛮族」たる日本を上から目線で指導するかのような高飛車な態度を、わざわざカメラの入った場面で行うのだから、そもそも外交上、非礼であるし、やられた我々としては甚だ不愉快である。四つの“要求”は、むしろ中国に当てはまるものであり、そのまま熨斗をつけて返してやりたいくらいだ。が、翻って、そのときの中国の真意を忖度すると、そのカメラの先に意識していた視線は、日本国民でも国際社会でもなく、中国の民衆なのだろう(毎度のことながら)。だから産経Webが社説(「主張」)で、「岸田文雄外相は、冒頭の王毅発言に、直ちに反論すべきだった(中略)そこで黙すれば相手の言い分を認めたとみなされ、国益を損ないかねない」と怒りたくなるのも無理はないが、逆に、中国は相当焦っているし追い詰められていると考えるべきだろう。エドワード・ルトワック氏が「中国4.0」の中で述べたように、小平氏が「韜光養晦」と称した平和的台頭をかなぐり捨て、2009年以降、対外強硬政策に転じると、安倍政権の地球儀俯瞰外交が成功したところに典型的に見られるように、周辺国は中国への警戒から結束し、ことごとく裏目に出て、何も良いことがないのである。リーマンショックで打ちひしがれた世界を救った英雄気取りでいたら、中国経済は注射(投資)漬けの重症患者になってしまった。
しかも、こうしたオメデタイ(?)場がもたれている間も、中国海警局の船は尖閣諸島周辺の領海外側の接続水域を航行し、海上保安庁の巡視船に警告され続けたのである。過去10日間も・・・。まあ、習近平国家主席が昨年、インドのモディ首相を訪問していた時にも、人民解放軍がカシミールの実効支配線を越えてインド側に侵入していたから、毎度のことと言ってしまえばそれまでであるが。
因みに、件のちあきなおみの曲の三番で、「四つのお願い」は次のように表現される。
一つ「優しくいつでも」
二つ「二人は幸せ」
三つ「いつしか結ばれて」
四つ「貴方と私はひとつ」
中国と日本がこれでは、なんだか気持ち悪いが、いやいや中国にしてみれば、日本を完全な属国としてハイクオリティの技術から人材まで全て征服したい(もっと言えば日本など呑み込んで消し去ってしまいたい=貴方と私はひとつ)といったあたりに、本音があるのかも知れない。冗談ではないが・・・