お騒がせドゥテルテ大統領が今日、訪日から帰国した。注目の安倍首相との会談の冒頭で、南シナ海問題について(中国では“対話”による解決を探るとしていたのに対し)「“法の支配”のもとに“国際法”に基づいて平和に問題を解決したいと思っている」と語ったようだ。出席者によると「中国が仲裁判決を踏まえてどう対応するか注目している」とまで語ったという。
どうやら大統領の訪日が決まった後で、それを牽制したい中国政府が訪日より先に訪中するよう誘い出し、併せて南シナ海問題に絡む仲裁判決のことに言及しないようクギを刺したようだ。相変わらず中国らしい下手な小細工だが、「中国は経済問題を話し合うために訪れた」と振り返るように、大統領もそれに応じたのだろう。話に一貫性がないだの、暴言だの不規則発言だのと不信感をもって見られる大統領だが、専門家の中には、ダバオ市長を7期務めていきなり大統領になって、外交のことがまだよく分かっておらず、南シナ海問題に対するスタンスもまだ決まっていないのではないかと解説する人がいて、案外、その程度のことかも知れないと思う。実際、地元のメディアは、大統領の訪中が経済支援を勝ち取って大成功だったという論調一色のようで、南シナ海で妥協したという話には全くなっていないようだ。
今回の大統領の訪日で分かったことは、親日家ぶりはどうやら本当のようだが、日・中とはそれぞれ等距離外交を模索しているところからすると、何よりも先ず経済重視であることも明らかのようだ。経団連との昼食会では「日本は信頼できる友人。特別な関係」「日本とのパートナー関係を決して手放さない」などと持ち上げたらしいが、これも経済協力を期待したリップサービスの側面もあるのだろう。問題はフィリピンとアメリカとの関係だ。大統領は、個人的な経験からも、また国家の歴史からも、余程、アメリカが腹に据えかねるらしい。中国に擦り寄り、日本を贔屓するのに比べ、アメリカ(やアメリカ大統領)を罵る言葉は異常だ。アメリカを警戒するばかりに、アメリカが日本を仲介させようとしているのではないかとも警戒しているようだ。そこに日本の立ち位置の難しさがあると同時に、今回、共同声明に「両国の友好関係及び同盟関係のネットワーク(注:日米比関係を含む)が地域の平和、安定、海洋安全保障を促進することに期待を寄せた」と明記させたように、今後の外交的な立ち居振る舞い次第では日本の仲介者としての存在意義もあるということだろう。これはフィリピンだけに限らず、その他のアジア諸国や中東諸国との関係、さらにはロシアとの関係でも妥当する。
どうやら大統領の訪日が決まった後で、それを牽制したい中国政府が訪日より先に訪中するよう誘い出し、併せて南シナ海問題に絡む仲裁判決のことに言及しないようクギを刺したようだ。相変わらず中国らしい下手な小細工だが、「中国は経済問題を話し合うために訪れた」と振り返るように、大統領もそれに応じたのだろう。話に一貫性がないだの、暴言だの不規則発言だのと不信感をもって見られる大統領だが、専門家の中には、ダバオ市長を7期務めていきなり大統領になって、外交のことがまだよく分かっておらず、南シナ海問題に対するスタンスもまだ決まっていないのではないかと解説する人がいて、案外、その程度のことかも知れないと思う。実際、地元のメディアは、大統領の訪中が経済支援を勝ち取って大成功だったという論調一色のようで、南シナ海で妥協したという話には全くなっていないようだ。
今回の大統領の訪日で分かったことは、親日家ぶりはどうやら本当のようだが、日・中とはそれぞれ等距離外交を模索しているところからすると、何よりも先ず経済重視であることも明らかのようだ。経団連との昼食会では「日本は信頼できる友人。特別な関係」「日本とのパートナー関係を決して手放さない」などと持ち上げたらしいが、これも経済協力を期待したリップサービスの側面もあるのだろう。問題はフィリピンとアメリカとの関係だ。大統領は、個人的な経験からも、また国家の歴史からも、余程、アメリカが腹に据えかねるらしい。中国に擦り寄り、日本を贔屓するのに比べ、アメリカ(やアメリカ大統領)を罵る言葉は異常だ。アメリカを警戒するばかりに、アメリカが日本を仲介させようとしているのではないかとも警戒しているようだ。そこに日本の立ち位置の難しさがあると同時に、今回、共同声明に「両国の友好関係及び同盟関係のネットワーク(注:日米比関係を含む)が地域の平和、安定、海洋安全保障を促進することに期待を寄せた」と明記させたように、今後の外交的な立ち居振る舞い次第では日本の仲介者としての存在意義もあるということだろう。これはフィリピンだけに限らず、その他のアジア諸国や中東諸国との関係、さらにはロシアとの関係でも妥当する。