言論NPOと中国国際出版集団が先ごろ発表した共同世論調査の結果によると、日本に「良い」「どちらかといえば良い」との印象を持つ中国人は42・2%で、前年比10・7ポイント増と大幅に上昇したらしい。日本に「良い」印象を持つ中国人が4割を超えるのは、実に2005年の調査開始以来初めてのことだそうだ。他方、中国に「良い」「どちらかといえば良い」印象を持つ日本人は13・1%で、同1・6ポイントの微増にとどまったという。日本人にとって日中関係は何も変わり映えはしないし、従って対中感情も変わりようがない。変わったのは、報道されている通り、米中貿易戦争という名前を借りた覇権争いで身動きがとれなくなっていることや、一帯一路の美名に隠れた借金漬けの新・植民地主義が破綻しつつあることや、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒弾圧で欧米から非難を浴びていることなど、全て中国の自業自得である。とりわけ日本は米中関係の従属変数でしかないとは以前から言われてきたように、今回、まさにその事実を突き付けられたことになる。心にもない日中友好を演出しての米国牽制、対米関係で困ったときの対日宥和・擦り寄り・微笑外交、裏にある日米分断・・・言い回しはいろいろだが、2005年や2012年の官製デモからも分かるように、状況に応じて中国共産党が如何ようにでも世論操作していることも明らかだ。なんとも遣り切れなくなってしまうが、日本を訪問する中国人が増えれば、もともと悪い対日感情がさらに悪化することはなく、上向くばかりのはず、というのが、私たち日本人にはせめてもの救いと言えようか。
こうして、数日前、日本の首相として7年ぶりとなる安倍首相の中国公式訪問も実現した。
2012年の尖閣諸島国有化で日中関係は一気に冷え込み、同年12月に第二次安倍政権が発足しても、中国は、大日本帝国をあろうことかナチス・ドイツと同一視し、安倍首相のことを危険な軍国主義者などと言いがかりをつけ、日中首脳会談に応じるためには、首相が靖国神社に参拝しないことを確約することや、尖閣諸島の領有権問題の存在を認めることなど、無理な要求を突きつけては突っぱねてきた。2014年11月にようやく日中首脳会談が実現したが、そのときの習近平国家主席の仏頂面ったらなかった。なんと大人げない(苦笑)。
安倍首相が周辺に漏らしているホンネとやらが伝わっている。一帯一路に関しては、「別にこちらが前のめりということではない。リップサービスをしているだけだ。中国にカネをやるわけでも出すわけでもない」「実際に中国に何かサービスをしているわけではない。こっちの利益になることは一緒にやってもいいというだけだ」ということらしいし、パンダについては「地方自治体の要請で外務省が勝手に進めていることで、私は知らなかった。そんなこと頼みたくもない」ということらしい。経済人が1000人も金魚の糞のように首相にくっついて行ったことには、いまだに夢を見ているのかとガッカリしたが、そうではなく、メンツを重んじる中国への手土産だったのかも知れない。そういう次第であれば、今回の訪中に関してトランプ大統領とも事前に調整済みだろう。
こうした日中の歩み寄りに対し、朝鮮日報は「日本はトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談プロセスから疎外されたことなどから、外交の多様化を模索」しており、海外市場で日中が協力する流れが固まる場合、「競合する韓国が困難に直面するのは避けられない」との見方を示したらしいし、中央日報は「北朝鮮の非核化や拉致問題で際立った成果を出せず、外交的成果に飢えた安倍首相が中国との関係改善に乗り出した側面も大きい」と伝えたらしい。さすがに大統領が北のスポークス・パーソンを任じる国で、相変わらず自国中心のオメデタイ、状況が読めない国だと感心してしまう。非核化という国際的な問題に焦点が当たっている今は、基本的に日本の主権侵害である拉致問題を持ち出す時ではなく、晴れて国際復帰する北朝鮮に対して日本が復興支援するときの前提条件とすべきことだ。
さすがに米中露は心得ている。人民日報系の環球時報は「日本が対中関係の改善を進めているのは(短期の)戦術的な調整で、戦略的転換ではない」との有識者の分析を紹介し、ニューヨーク・タイムズは「アジアの大国同士が即席のパートナーとなり、和解できるとは誰も思わないが、『トランプの時代』の中で双方が若干の正常化を探っている」と報じ、ロシアの中央紙・独立新聞は「日本はトランプ米大統領の対中政策を無視できない」として、日中接近は限定的との見通しを示したらしい。
そして、安倍首相は中国訪問から帰国した翌日、インド・モディ首相をもてなした。モディ首相は出国に先立って、印PTI通信に「日本とは理想的な連携が実現している。経済と技術の近代化での最も信頼できるパートナーだ」と強調したらしいし、安倍首相はモディ首相を山梨の自らの別荘に招待し夕食会を開いた。日本にしてはなかなかしたたかなメッセージだ。日中はようやく数年前に戻って、昔からの戦略的互恵関係・・・お互いに協力し合えるところで利用し合うだけで喧嘩を控えるオトナの関係に戻っただけだったが、日印は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を共有し、確実に関係が深まっている。
こうして、数日前、日本の首相として7年ぶりとなる安倍首相の中国公式訪問も実現した。
2012年の尖閣諸島国有化で日中関係は一気に冷え込み、同年12月に第二次安倍政権が発足しても、中国は、大日本帝国をあろうことかナチス・ドイツと同一視し、安倍首相のことを危険な軍国主義者などと言いがかりをつけ、日中首脳会談に応じるためには、首相が靖国神社に参拝しないことを確約することや、尖閣諸島の領有権問題の存在を認めることなど、無理な要求を突きつけては突っぱねてきた。2014年11月にようやく日中首脳会談が実現したが、そのときの習近平国家主席の仏頂面ったらなかった。なんと大人げない(苦笑)。
安倍首相が周辺に漏らしているホンネとやらが伝わっている。一帯一路に関しては、「別にこちらが前のめりということではない。リップサービスをしているだけだ。中国にカネをやるわけでも出すわけでもない」「実際に中国に何かサービスをしているわけではない。こっちの利益になることは一緒にやってもいいというだけだ」ということらしいし、パンダについては「地方自治体の要請で外務省が勝手に進めていることで、私は知らなかった。そんなこと頼みたくもない」ということらしい。経済人が1000人も金魚の糞のように首相にくっついて行ったことには、いまだに夢を見ているのかとガッカリしたが、そうではなく、メンツを重んじる中国への手土産だったのかも知れない。そういう次第であれば、今回の訪中に関してトランプ大統領とも事前に調整済みだろう。
こうした日中の歩み寄りに対し、朝鮮日報は「日本はトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談プロセスから疎外されたことなどから、外交の多様化を模索」しており、海外市場で日中が協力する流れが固まる場合、「競合する韓国が困難に直面するのは避けられない」との見方を示したらしいし、中央日報は「北朝鮮の非核化や拉致問題で際立った成果を出せず、外交的成果に飢えた安倍首相が中国との関係改善に乗り出した側面も大きい」と伝えたらしい。さすがに大統領が北のスポークス・パーソンを任じる国で、相変わらず自国中心のオメデタイ、状況が読めない国だと感心してしまう。非核化という国際的な問題に焦点が当たっている今は、基本的に日本の主権侵害である拉致問題を持ち出す時ではなく、晴れて国際復帰する北朝鮮に対して日本が復興支援するときの前提条件とすべきことだ。
さすがに米中露は心得ている。人民日報系の環球時報は「日本が対中関係の改善を進めているのは(短期の)戦術的な調整で、戦略的転換ではない」との有識者の分析を紹介し、ニューヨーク・タイムズは「アジアの大国同士が即席のパートナーとなり、和解できるとは誰も思わないが、『トランプの時代』の中で双方が若干の正常化を探っている」と報じ、ロシアの中央紙・独立新聞は「日本はトランプ米大統領の対中政策を無視できない」として、日中接近は限定的との見通しを示したらしい。
そして、安倍首相は中国訪問から帰国した翌日、インド・モディ首相をもてなした。モディ首相は出国に先立って、印PTI通信に「日本とは理想的な連携が実現している。経済と技術の近代化での最も信頼できるパートナーだ」と強調したらしいし、安倍首相はモディ首相を山梨の自らの別荘に招待し夕食会を開いた。日本にしてはなかなかしたたかなメッセージだ。日中はようやく数年前に戻って、昔からの戦略的互恵関係・・・お互いに協力し合えるところで利用し合うだけで喧嘩を控えるオトナの関係に戻っただけだったが、日印は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を共有し、確実に関係が深まっている。