風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ラスト・クリスマス

2016-12-26 23:03:26 | 日々の生活
 暮れの慌ただしいときに、国際情勢は何かと騒々しくて、米中の鞘当て(特に中国空母「遼寧」の航行が初めて確認されたこと)でも書こうと思いながら、一日遅れると、別のニュースが飛び込んできて釘付けになってしまった。ワム!のジョージ・マイケルが死亡したという。同世代であること、そして若かりし頃によく聞いた音楽に絡むだけに、ショックは大きい。
 当時、レコード・レンタル屋でワム!のアルバムを借りたとき、たまたま会った近所のおばさんに「それ何?」と聞かれて、若作りして(!)ジャズ・ダンスにいそしむおばさんでも知らないのかと不思議に思ったのが妙に記憶に残っている。中学から大学まで、ラジオの「ながら族」で、勉強しながら、ぼんやりしながら、酒飲みながら、ウトウトしながら、なんとなく耳に入れて、1970年代後半から1980年代前半に流行った曲のメロディーはなんとなく覚えている程度で、いまだに洋楽のベストはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」と言って憚らない洋楽オンチの私にしては、ワム!の名前と曲名のいくつかは覚えている。「Careless Whisper」はそれだけ衝撃的だった。クリスマス・ソングの定番と言えば、私の世代にとっては今なお、山下達郎「クリスマス・イブ」(1983年)とユーミン「恋人がサンタクロース」(1980年)とワム!「Last Christmans」(1984年)がベスト3だ。
 本名ヨルゴス・キリアコス・パナイオトゥーとは知らなかった。ギリシャ系キプロス人の父と、ユダヤ人の血を引くイングランド人の母との間の子で、「子供の頃から内気」で、「自分の中で『ジョージ・マイケル』という架空のヒーローを想像し続け、後に自分がデビューしてから、もう一人の架空の自分であるとして、『ジョージ・マイケル』を名乗る」ようになったという(Wikipedia)。その後、薬物に溺れ、同性愛者であることを公表したのも、なんとなく頷けるような、やや複雑な生い立ちを感じさせる。
 調べてみると彼には、ワム!時代を含めて「ソロシンガーとして80年代における全米No.1シングル数8曲」という記録があり、マイケル・ジャクソンの9曲に次いで2位だという(フィル・コリンズと並ぶ)。ソロになってからの彼のことは(私も就職してそれどころではなくなって)疎くて知らなかったが、私が思っている以上にスゴいシンガーソングライターだったようだ。
 広報担当者は「自宅で安らかに息を引き取った」と発表したのが、せめてもの慰めだと思うのだが、死因について何かと取り沙汰されている。折しもクリスマスの25日である。因縁めいたものを感じるのは私だけではないだろう。彼にとって本当の意味での「Last Christmans」になってしまった。ご冥福をお祈りしたい。合掌。
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